ここはどこ?
木の匂いと鳥の鳴き声で目が覚めて、自分のことに頭をフル回転させた。
薄目を開けて確認した所どうやら木の家の硬い布の上に横になっているようだ。
どうして自分がここに、と眠る直前のことを思い出そうとしたのだが、ぼんやりとした記憶しか思い出せず、混乱する。
誰もいないことを確認して、自分の状態を確認してみる。
持っていたはずの荷物こそ無いものの、服装のみだれは恐らくここに運ばれるまでの間に出来たであろうくらいの少しのものであったし、傷も見当たらない。
となると、ここに運んでくれたどちら様かは私に危害を加える相手でなく、助けてくれたのであろうことが推測される。
改めて寝ていた場所を確認すると、木の家と言うより、木の内部らしい事に気がつく。
丸く切り取られている出入口であろう部分にかかっている布をペラリとめくってみたら綺麗な青空…は見えず、生い茂った木が見えた。完全に森の中である。
硬い木の床でどのくらい横になっていたのであろうか、体の痛みもそこそこの為、とりあえず布をふわふわしたものに変化させようとしたが、肌身離さず持っていたはずの杖が杖のケースごと見当たらない。杖なしで魔法を使うのは結構気力がいるため、一応今後のためにとっておくことにして、恩人か、敵かの帰宅を待つことにした。
「お、気がついたのか」
待ってる間に自分の記憶を思い出そうとしたが、記憶はもやもやとモヤがかかったように綺麗に思い出せないと悩んでいる内に布をペラリとめくりこちらを覗き込んだのは…アキラだった。
そうだ、私は魔王を倒すために、説得するために旅をしていて…
「大丈夫か?お前土の上で蒼白な顔して倒れてたからさ。」
「貴方が助けてくれたのね、ありがとう。」
「いや、無事ならよかった。」
二カリと笑ったアキラに違和感がある。
彼とはずっと行動を共にしていたはずなのに、土の上に倒れてた?
私が魔法を使わないことに何も言わないアキラに、彼の名前をつぐんだ。
もしかして彼も記憶が飛んでいるのかもしれない。それか、まさか、時間が巻き戻っている?
「あの、サーシャは…?」
「サーシャ?オレが見つけた時は既に1人だったぞ?」
「なるほど…」
「?」
「いいえ、ありがとう。助かったわ。私はカレン。あなたは?」
「カレンか!オレはアキラ。この辺で狩人やってる。」
「申し訳ないんだけど、私、記憶が曖昧で、荷物も無くなってるしお礼で渡すものがないのよ。」
「いいよ、オレはここに運んだだけだし…あ、相棒にもお礼を言ってやってくれないか?あんたを見つけたのもそいつなんだ。」
「ええ、もちろん。是非お礼を言わせて頂きたいわ。」
おーい、と外に呼びかけたアキラに答えた相手は、
『シビ…』




