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魔王とは

塔の上から私たちの行動を見ていたのか扉は開かれていて、導かれるまま道を進むと、シオンの部屋とは違う何というか操縦室のような部屋へたどり着いた

そこで待っていた眼鏡の男が白衣を翻しながらこちらに一歩近づいてシオンをみると、シオンは頷いてそちらに歩いて行った。

その間、弓に手をかけたアキラが私達を守るように前に出てくれたけれど向こうには敵意はなさそうだ。



「流石だね、勇者御一行様。」


「ロイ、」


「ああ、わかってるシオン。」



塔にいる人はシオンと同じくテレパスかと思っていたし、何なら魔王もテレパスかと思っていたけれど、どうやら違うらしい。

見た所研究者と言った所で、彼に近づいたシオンが口で説明しようとした、ということはテレパスではない様子。塔を出る前なんだかんだ私達とシオンはずっと一緒にいた為、シオンとテレパス同士の通信をしたのかと思っていたが、その線は無くなった。

正直な所、シオンが自分で行動したとも考えにくい、ということは、前々からこの状況になった場合の作戦は練られていたという事だ。

向こうから何かを話す気はないらしいので、こちらから話すことにする。



「シビ…このキュウビもそちらからの刺客ってとこね。勇者が現れるのはあの森のあの当たり、だと予測していた貴方達が警戒させていた、とか。」


「え!」


「あと、シオンから見させてもらったアイテムだけれど、何の力も感じないアクセサリだったわ。勇者は魔王へたどり着くために特定のアイテムを手に入れなければならないって言う伝承も貴方達が作ったものね。」


「ほう…」



あの場に偶然居合わせたアキラのことも一応警戒しておいた方がいいかと思ったんだけれど、彼の驚いた様子は本当に驚いた、という顔にしか見えなかった為、これが演技だとは思いたくないので、信頼しておくことにする。

私の話を聞いて興味深そうに相槌を打ったところを見ると、このまま続けてもよさそうだ。



「私の考えだけれど、アイテムなんて存在しない。シビや、シオン、そして貴方やまだいるかもしれない他の魔王側の者達を説得しなくては魔王の元へたどり着けない。私たちが森をさまよっていたように。」


「なるほど。」


「ロキと呼ばれていたわね、貴方、不思議な魔力の流れを感じるわ。見た目は人間の様だけれど…多分、魔王とは…魔物を人間にする研究をしているのね。普通の人間は魔力の違いなんて分からないもの。確かに人間からしたら脅威だわ。貴方達の目的が人間を支配することや疑心暗鬼に陥れて人間社会を崩壊させることだとしたら…」


「すごいな、勇者はそこまでわかってしまうのか。」



あはは、と楽しそうに笑うロキに、こぶしを握ってこちらにキラキラした視線を送ってくるシオン。恐らくあれはカレン!すごい!と思ってくれている。



「お察しの通り、僕は魔物だよ。元、だけど。」


「「え!?」」


「さて、僕達が願っているのは共存できる世界だ。と言って、信じてもらえるかな?」


「ええ。」


「驚いた。ずいぶん早い返事だな。」


「信じなければ、信じてもらえないでしょう。人間について研究しているのならわかっているかもしれないけれど、そういうものよ。」



目があったアキラとサーシャも頷いていたので、向こうの話を聞こう、ということには異論はないという事であろう。



「なあ、どっか座って話そうぜ、ずっと歩いてたから結構疲れてんだ。な。」


「う、うん。出来れば少し休みたいかな。」



武器を下したアキラとサーシャがそういうと、それもそうか、とこの前来たシオンの部屋に移動することになった。さりげなく前を歩いてくれるアキラはまだ向こうへの警戒を解いていないけれど、それもありがたかった。

お茶を出してくれるというロキに、勝手知ったる人の部屋で自分も手伝うべくキッチンに立つ。サーシャは相当疲れている様子が見て取れていたので、座っていて、と座らせておいた。



「それにしても驚いたよ。帰ってきたらシオンはいないし食材はないし。」


「それに関しては悪かったわ。貴方、食事大丈夫だった?」


「ちょうど買い出しに行って帰ってきたところだったからね。」


「お茶請けももらうわね。」


「キミ結構図々しいね。」



以前来た時にお菓子はここにある、と教えてくれた場所から拝借すると、ロキが眼鏡をあげながら呆れた声を出してきた。



「だって、貴方も一緒に来てくれるでしょ?じゃあやっぱり食材残して置いたらもったいないじゃない。」


「…なるほど?」



一呼吸置いた後に、頷いたロキは少し笑っていたので、その笑みがいい笑みだといいんだけど、と思いながら私も笑ってクッキーをつまみ食いした。


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