戻るが正解
「シオンの能力は魔法じゃないのよね。」
「うん。」
「じゃあ、これも魔法じゃないのよ。通りで気づかないはずだわ。」
朝、おはようと挨拶をした後、みんなで円になりながら話した。
そうでしょ、とシオンを確認すると目を逸らして黙ってしまった。
大分私たちに慣れてくれたとはいえ恐らく相手は小さい時からの知り合い、教えられないのもしょうがないわね。
「アキラ、貴方シオンから聞いた方角に進んでたのよね。」
「ああ…北に進んでたはずだけど?」
「その方位磁石もシオンに貰ったものよね?」
「ん?ああ…ってまさか!?」
「昨日サーシャの魔力が放出した時、一瞬聞こえたのよ、シオンの声。どうしよう、ってね。」
昨日のサーシャの魔力の放出で触れ合っていた私になんらかのバフがかかったことで身体機能が一時的に上がり、耳に聞こえた声だったのだろう。
聞こえたシオンの声からすると、共犯ではあると思うのだが、そうするとおかしなことがある。アキラと共に私を誘導していたシビだ。
鼻が利くはずのシビが同じ場所を辿っていたのに気づかないはずがない。
ならば、シビも共犯。
シオンがシビにテレパスで交渉した可能性もあるが、見た所そういった知恵が働くようには見えない。
ということで、塔が見えないということは塔に何かしらの仕掛けがあると考えて、恐らく塔にいるシオンの恩人?もテレパスで、シオンやシビに指示をしたって所かしら。
「なるほどな…」
昨日寝る前にまとめた推理をみんなに伝えると、シオンは項垂れて、シビはごめんなさいとばかりに頭を私に擦り付けてきた。シビの頭を撫でながらシオンの背中を撫でる。
「恐がらなくていいのよ、怒っているわけじゃないの。ただ、説明して欲しいだけ。」
「!」
心からの声をシオンに伝えると、シビが鳴いてシオンが抱えていた膝を叩いた。
おそるおそるこちらを見たシオンがおずおずと手を出したので、頬を引っ張った。
「!っ!」
「怒ってはないけれど、疲れてはいるのよ。だからシオンも疲れるように。ゆっくりでいいわ、言葉で話して。サーシャにもアキラにも伝わるように。」
「カレン、」
手を握ってテレパスで伝えようとしたんだろうが、いい機会だと思う。
言葉にすることを少しづつしていって、話す事に慣れていって欲しい。
「そんなビクビクしなくたって…オレたちも別に怒ってねぇよ。な、サーシャ。」
「う、うん。」
おずおずとサーシャとアキラを見たシオンにそう伝えた2人に頷いたシオンが口にしたのはやはり私が思っていた通りのことだったので今度はシオンとシビの案内で塔に戻ることにする。
荷物をまとめていると、やたらと私の周りをまわって見上げてくるシビにも、大丈夫、怒ってないわ、と微笑んだら安心したようになくもんだからもふもふした。うん、許せるわね。




