アキラとシオン
意外にも力強く握られた手と女子と同じベッドという緊張感で眠れるわけがないと思ったが、オレ以外誰も気にして無さすぎて意外と寝れた。
自分が起きた時、既に自分以外は起床していて、起きて目に入ったのは、後ろからカレンに覆い被さるように手元を覗き込んでいるシオンだった。
「美味しそう。」
「ダメ。朝ごはんもサーシャが用意してくれてるから。」
「…」
「しょうがないわね、1口だけよ。」
「うん。」
「おい。」
いわゆるあーんを目の前で繰り広げられる前にカレンからシオンをひっぺがした。
「起きたのね、おはよう。」
「ああ、おはよう。」
「カレン、ご飯、食べたい。」
おかずを持ち上げたカレンが不思議そうにこちらを振り返る様はすごくグッと来るものが正直ある。
シオンも同様なのかその長い髪の毛の間からオレを恨めしそうに見てきた。
昨日は武器を手にするや否や襲いかかって来るほど警戒していたのに、急変しすぎではないか?怪しいしおかしいが、気にしているのがまたもやオレだけの様子…いや、シビも同意見らしい。いつもは1尾の状態だが、4尾になって警戒している様子だ。
「まあ、ちょうどいいわ。アキラ、これよろしく。」
そう言って手渡されたのは青いリボンだった。カレンが髪の毛を結うのに使っているものだった気がする。
「え?」
「これから動くのに支障がありそうだから、シオンの髪の毛しばってあげて。そういうの得意でしょ?多分。」
「まあ、出来なくはないと思うが…」
「終わる頃にはできてると思うから、よろしくね。」
言って何事もなかったかのように弁当箱に詰める作業を再開したカレンにはいはい、と返してお腹を鳴らしているシオンをひっぱってソファに座らせた。
「一応聞くが、どんな感じがいい?」
「…わからない」
「じゃあ、とりあえず後ろで纏めるぞ。」
「うん。」
カレン相手に随分気を許したと思ったが、オレの声にも素直に返事を返すシオンに、手を繋いで寝た効果か?
と思いつつ、まあ嫌な気はしなかったので、もらったリボンでひとつにまとめてやる。
前髪は耳にかけて、出来た、と肩を叩くと、こちらを見上げて素直にありがとう、というので思わず頭を撫でてハッとした。カレンの気持ちがすごくわかる。
でかい弟が出来た気持ちである。
ここまで素直なら疑うより聞いてしまった方が良いのでは、と隣に座ってシオンを見上げた。
「なんでそんな素直なんだ?」
「血の匂い、しないし、強い。」
「強い?」
「オレ、強いやつ好き、だから、カレンに着いていきたい、言ってる。」
「ほう?」
「ボク、喋る、苦手、怒らない、殴らない、好き。」
今までそういうヤツらとしか出会ったことがなかったのか、と思い立った所で胸が痛くなりとっさに普通は殴らねぇよ、と返すと、首を傾げてこちらを見たシオンが、にっこり微笑んだ。美少年眩しすぎ。
「アキラも、好き。」
「はいはい、ありがとよ。」
まあ、あんな笑顔見せるこいつを疑うより信じてやりたい気持ちのが強かったので、とりあえず保留、ということにしておいた。
サーシャ手伝いに行くか。




