4-21.朝のご褒美と書き込めない魔法
目が覚めると、珍しく腕の感覚がちゃんとあった。
毎度毎度俺の腕を枕にしては袖に涎を垂らしていたティオだったが、今朝はシーツの上でネコのように丸まった状態で眠っていた。
「本当に、可愛いな……」
朝日を浴びて玲瓏に弾ける桃色の髪を撫で、幸せそうに眠るティオの顔を眺める。
あどけない面差しに、布団に籠った体温のためかほんのりと染まった柔らかそうなほっぺた。
どこをとっても、魅力的な女の子だと思う。
暫くその寝顔に見惚れていると、桃色の天使はくっと身体を伸ばして小さく欠伸をしてみせた。
眦に雫が滲み、薄紅色の双眸がゆっくりと開き、視線が絡み合う。
数秒ほど半眼のまま虚ろな目をしていたが、やがて目の前に寝転がる者が俺だと気が付いたのか、嬉しそうに頬を緩めて身体を起こした。
「おはよ、アヤメお兄さん」
布団に塗れてボサついた美髪に、眠気の残る気怠げな面差し。せっかくだから、いつものをしてもらおう。
「いつもの、してくれるか?」
「うん」
嫌がる素振りも見せず、ティオは迷うことなく俺の膝の上に乗っかった。
腕を回され、首筋にティオの腕が絡みつく。
力を込めれば折れてしまいそうなティオの体躯を抱き寄せ、いつものやつを行う。
といっても、昨日までのおつとめとはまた違った感慨がある。
昨日までは、可愛くて小動物を愛でるような感覚で接していたティオと、朝の触れ合いをするために行っていたものだった。
だが俺は昨日の朝、ティオに抱いていた恋慕のような感情にようやく気が付いたのだ。
今俺が抱きしめて唇を交わしているのは、メイドとして扱っているどこにでもいるような一人の少女ではなく、ティオという名の大切な女の子だ。
形式的なそれではなく、愛念や恋慕の籠った特別なもの。
心地良さに瞑目すると、柔らかな温もりを体躯の前面に感じ、瞳を開くと桃色の頭が視界を揺らめく。
「――――今日はちょっと、長かったね」
ティオはほんのりと頬を赤らめ、照れ隠しか口元を指でなぞってみせた。
うん、長かった。
激しいことをしたとかそういうんじゃ無いけど、出来るだけティオの温もりを感じていたかったから。
ティオと見つめ合い、さて今日も頑張ろうなどと思いながら布団をどけると、興味津々といった様子で笑みを零すラスティと目が合った。
ティオの次はラスティである。朝から二人の童女と目が合うなんて、これは幼女神がおぼしめした運命なのではないか。
とかふざけている場合ではない。
純粋に、ティオとしているところを、ラスティに見られただけだ。
「……どこから見てました?」
「にぃ様がティオ殿の衣服の裾に手をかけ、それをいやらしく脱がしたあたりかの」
「正直言うと?」
「冗談の通じないにぃ様じゃの。……眠っているティオ殿の頭を、にぃ様が優しく撫でていたところからじゃよ」
最初っからじゃないですか。
それどころかその話だと、俺より先に目覚めてたってことですよね。
声でもかけてくれれば良かったのに。
そんな思いを視線に乗せてラスティを見やると、ラスティはやれやれといった様子で瞑目した。
「邪魔しては悪いと思ってな」
「べ、別に、そういった意味でしていたわけじゃないので、大丈夫であることなのですよ!?」
まあ確かに、よからぬことも考えてたけど。
可愛い可愛いティオと朝一番にこういうことが出来て幸せだなとか、思ったけど。
このまま二人っきりの世界で、一日中ベタベタするのも良いなとか思ったけど。
プリムヴェールとティオとの三人で、イチャイチャな毎日を過ごしたいなとか、思ってしまいましたけど!
「そ、そうだよ、ラスティちゃん。こ、これはアヤメお兄さんとの朝のご挨拶だよ。いけないことなんて、してないんだよ!」
真っ赤な顔で、ぶんぶんと顔を振ってみせる。
その反動で、桃色の髪がバサバサと揺れ動く。
そこまであからさまに否定されるのも、何か少し寂しいけど。
余計にボサボサになってしまったから、後で綺麗に梳かしてあげよう。
そんなことを考えながらティオとラスティを見やってると、不意に腕を掴まれ、ラスティと向き直させられた。
「そうだったか、朝の挨拶じゃったか。ならば、妾ともする道理があるの。なあ、にぃ様よ」
アマラントの瞳が煌めき、口端から甘い吐息が漏れる。
肉食獣の眼だ。ティオやターニャが見せるような幼気な好奇心ではなく、リリムとしての本能的な欲求だ。
そうこう分析している間にも、ラスティの顔がじりじりと近づいてくる――が、別に逃げたり避けたりする必要などないのではないかとも思えてくる。
別に、ちょっと触れ合うだけだし。
構わないよね、うん。
半分くらいは、純粋ロリと長寿ロリの感触はどのように違うのかな――なんて、不純な好奇心が生じたのが理由だが。
ラスティも端麗で可愛らしい顔をしているし。
甘えさせてくれるお姉さんとか、小動物的なティオなどとはまた違ったタイプだけど。
悪くはない。
それにほら、唇交わす程度なら、精力やら何やらは奪われないだろうしさ。
「そうじゃ、それで良いんじゃよ。欲望に背かず、されるがままになれば良い」
そうこうしている間に、ラスティに唇を奪われた。のだが。
――え、あ、あれ?
首筋に腕を回され、踊るように軽やかな手つきで指先が絡められる。
口元も、何となくくっつけ合っているとか、そんなレベルではない。
何て言うか、柔らかくて温かいものが口の中を暴れるっていうか。
なんか、え? 嘘! 待って待って、俺、そんなの無理、ちょっと、タン――!
思わずシーツを掴み、皺が寄る。
次いで握る力も抜け、肩から腕がだらりと下がった。
温もりと感触が放れ、満足げに目を細めるラスティの姿が視界に入った。
「……満足か?」
「……………………あー、うー」
何か、とんでもないことをされたような気がする。
されるがままになれば良い、か。ははは、全くその通りだったよ。
朝から刺激的なものを、本当に、……。
「ふむ、中々良いものじゃった。翌日からも、楽しみにしておるぞ」
カラカラと笑い、ラスティは普段のボンデージファッションのまま、部屋を出て階段を降りて行った。
俺はその姿を、茫然と眺めるしかなかったのだ。
何て言うかほら、あれだよ。
朝のご褒美が一個増えた。
◇ ◇ ◇
「二人とも、ちょっと良いかな」
朝飯が終わった頃、食休み中のティオとラスティに声をかけた。
ちなみにラスティも、俺と同じく小食気味だった。若い頃はもっと食べれたのだがとか言っていたので、今でも充分若いでしょうと言ったら、どうやらそういう意味では無かったらしい。
何でもラスティの体躯は、男性の精気を注がずにいると、少しずつ身体が成長していくのだとか。
性的好奇心の塊であるリリムが禁欲するなど考えられなかったのだが、流石のリリムにだって常識やデリカシーはある。
最愛の恋人であるサザンガンフォルトが死去してから、数十年――百年近く。
ラスティは誰にも身体を許さず、最低限存命する程度のまぐわりしか行わなかった時期があったのだとか。
リリムという種族柄、致さなければ通常の魔族並みに身体は成長していく。
純粋な人族と比べれば遅いが、ある程度の成長はする。
故に当時のラスティは、人族で言うところの二十代くらいの容姿にまで成長していたのだとか。
今でこそ起伏のない幼女体型をしているが、当時のラスティはそれはそれは魅惑的な肉体をしていたらしい。
現在身に着けているレザーボンデージのサイズ違いに身を包み、起伏の激しい女性的な身体を揺らして火大陸を闊歩していたのだとか。
そういったわけで、二十代から十代後半程度の姿を保っている期間は、もう少し食す量は多かった。
だが現在は身体が小さいため、あまり食べられないと、そういった理由らしい。
「何じゃろうか、にぃ様よ」
「アヤメお兄さん、どうしたの?」
二人はゆったりとくつろぎながらこっちを見た。
「ラスティもこの家に慣れてきたみたいだし、少し進めておきたい話があるんだけど」
話というのは、他でもない魔導書のことだ。
魔族を代表する英雄サザンガンフォルトが所有し、ラスティが半生を捧げて追い求めたユグドラシルの魔導書。
数多の人々の手を渡り、ここまで辿り着いたのだ。
魔導書について分かったことは割と多いが、今までの知識はこれ以上先では通用しない。
書き込まれた魔法がこの世界に誕生するから、この世界に存在する魔法が全て記されている。
大抵の書物に記されているのは、全ての魔法が記されているという事実や結果のみだ。
俺が知りたいのは、その先。
書き込める魔法と、書き込むことのできない魔法の違い。
俺が、この書物を手にした――この世界の住人ではない俺が、魔導書に選ばれた理由。
召喚・転移魔法の無いはずのこの世界に、俺が転移した原因。
そして、この魔導書がどういう理由で誕生したのか。いつからあるものなのか。
ラスティが今までに培った知識と情報だけでは、知りえぬ現象もあるだろう。
とはいえ、分かることも多いはずだ。
事実ラスティは、サザンガンフォルトが魔導書を手にしてからその身を失命するまでの長い期間、その魔導書とともに生きてきたのだ。
それから今までに魔導書の持ち主と出会ったかどうかは知らないが、ともかく俺以上の知識や情報を所持していることは、確かなはずだ。
何から聞こうかなとじっと見つめていると、ラスティの頬が赤く染まった。
「さっきのは、朝だけじゃぞ?」
「何をイッテイルのかワカリマせんが、多分そのことじゃ無いです」
思い出すだけで口元が緩んでしまう事象だったが、今はそれは関係ない。
「これについて、聞きたいことがあるんです」
ローブのポケットから魔導書を取り出し、ラスティに見せる。
次いでそれを食卓の上に置いて、ティオを含めた三人で魔導書を囲む。
幼女二人に挟まれるという感覚もまた、いとをかし。
「火大陸魔帝サザンガンフォルトが書いた頁は、どの辺りなんでしょうか」
「サザンが書き込んだ魔法のページか? ――ちぃと待っとれ」
ラスティは魔導書を両手で持つと、パラパラと捲り始めた。
ちゃんと内容に目を通しているようには見えないが、それで良いのだろう。
俺からは全て同じような言語に見えるが、プリムヴェール曰くこの魔導書に記されている文字は、ページによって違うらしい。
無論同種族の文字もあるにはあるらしいが、全てというわけではない。
サザンガンフォルトは純粋な魔族だ。魔族の言語で書かれたページだけ探せば、すぐに見つかるのだろう。
「……あった。この辺りじゃの」
五分もしない内に、ラスティは目的のページを見つけることが出来た。
三人で顔を寄せ合って、魔導書のページを覗き込む。
書かれていたのは、死骸から純粋なオドを吸い上げ、己のものとする鬼畜な魔法だった。
これは俺が初めてこの世界に来たときにも、お目にかかったページの一つだ。
死人の肢体から魔力を吸い上げ、自分のものにする。――身近なもので喩えると、ゲームなんかでドレイン系の技を使ったような感覚に近いのか。
厳密に言えば『死んだ者』から奪うので、ちょっぴり喩えとは齟齬が出るかもしれないが、似たようなものだ。
他人の魔力を奪い取る――字面だけ見るとそこまでの凶悪さは感じさせないが、しかし。
「これも、魔帝サザンガンフォルトが書き込んだ魔法なんですか……」
そういえば二階にあった書物の一節に、『月夜の晩に、寝室で女人の生き血とオドを吸い取っていた』というのがあったな。
これが、それだったのか。
「そのページが最初じゃの。そいで、あとはここまでじゃ」
数ページ挟んだまま、ラスティは魔導書を捲ってみせる。
次に現れたのは、他者の血液――他者の体内を巡るオドを暴れさせて、体液を瞬時に凍らせる魔法とやらだった。
これも多分、最初に見た魔法だ。
ラスティが摘まんだページに指を挟み、その間に挟まれた別の頁を開いてみる。
“オドの吸い上げ”から“瞬間凍結”の間には、魔物を含む他種族を従えさせる魔法や、サザンガンフォルトの代名詞とも言われる天候操作の魔法など、豪快かつ自分勝手な魔法が書かれていた。
そして全てに共通しているのが、破格の純度を持ったオドが無ければ使用できない、というところだ。
「これらの魔法は、ラスティさんでも使えるのですか?」
ラスティはこう見えても、サキュバス系統の上級魔族リリムだ。
天候操作だとかオドの吸い上げのような規格外魔法はともかく、瞬間凍結の魔法などはもしかして使うことができるのではないか。
「まさか。その中で妾が使えるのは、魔物を従えさせる魔法だけじゃよ。塵芥と存在する上級魔族程度の魔力では、サザンが記した魔法を使うことなどできるはずがない」
なるほど、上級魔族では使用できない。ということは。
「最上級魔族なら、使えると?」
「最上級魔族という呼び名は、魔王や魔帝と成り上がった上級魔族をその他の魔族と区別するために作られた、謂わば階級みたいなものじゃからの。オドの純度だけで言えば、上級魔族と全く同じじゃな。
――サザンが、サザンだけが特別じゃったんじゃよ。歴史上トップクラスのオド純度と、それをいかにして使えば効率が良いかなどを発案できるだけの天才的な才能。一万年近く生きてきた妾でも、サザンほどのオドを所有する生物は未だ見たことがない。
まあ、いれば魔大陸の魔王として君臨するじゃろうから、事実存在しないんじゃろうがの」
そうなのか。
俺はまた、上級魔族の上位種である最上級魔族という部類があるのかと思っていた。
その辺り、書物には詳しく書かれていなかったからな。
サザンガンフォルトが記された書物でも、最上級魔族サザンガンフォルトは――とか記されていたし。
しかし、それにしても。
「これを見ると、魔導書に書き込めば何だって出来そうに見えますよね」
これだけ何でもありなら、誰もが一度は夢見る異能を何だって使えるようになるのではないか。
身体を透明化させて忍び込むとか、時間を止めて好き勝手動くとか。
異世界のNINJAは、魔法で何だって出来るかもしれない。
透明化と時間停止があれば、暗殺だろうが密書の奪取だろうが、何だって出来るだろうからな。
「ところがどっこい、そうはいかないんじゃよ」
ビシイ! と指さして、得意げな顔でふふんと笑う。
ついでに着きだした指先で、鼻の頭を優しく撫でられた。
「基本的に、あからさまな私利私欲が絡んでおると失敗することが多いの。若気の至りで、サザンも一度『世界中の女子がサザンのことを愛する』といった魔法を書こうとしておったが、見事に弾かれてしもうた」
世界中の女の子が、自分を好きになってしまう魔法――。
それはもはや、魔法じゃなくてただの願望じゃねーか。
魔導書はいつから七夕の短冊になったんだ。
だが何か、それを聞いて変な親近感が湧いてしまった。
歴史に名を馳せる魔帝様も、やっぱ男の子なんだな。
どの時代も、考えることはあんま変わらないらしい。
「冗談でもそんなこと書いて、ラスティさんは嫉妬とか軽蔑とかしなかったんですか?」
しなかったんだろうな。
数千年の人生を捧げるような相手だと言うし、多分ちょっとやそっとで冷めるような男性では無かったのだろう。
とかまあ、決まりきった文句が返ってくるもんだと思って待っていると、ラスティは不意に頬を赤らめ、
「と、当時は妾もサザンも猿のようじゃったからの。サザンを愛する女子たちの前で、妾がこれ見よがしにサザンを屈服させる姿を見せてやりたいとか、思ったり、の」
思ったよりも、何か倒錯した愛念だったらしい。
深く突っ込むのはよしておこう。
「ともかくじゃの。世の女子はにぃ様に絶対服従じゃとか、世界中の美少女がにぃ様にメロメロになるとか、そういった不埒な魔法は書き込めんのじゃ。残念じゃったの」
「元々そんなこと書き込む予定も無いですけど!」
魔法で美少女をはべらせてハーレム生活満喫するとか、もはや悪役じゃねーか。
喩えこっちが加害者側だとしても、俺はNTR系統は好まないんだ。
そういう魔法は書き込まない。絶対に。
「喩え書き込めたとしても、おすすめはせんがの。その魔導書は妾が知る限りでも――最低でも数千年の刻を過ごしておるんじゃ。にぃ様が死んだ後も、魔導書はまた新たな所有者を探しに世界を巡るじゃろう。今後その書物を手に取った者は、皆にぃ様の不純な願望を読むことになるからの」
……言われてみればそうだった。
この魔導書は、未来永劫俺の手元に残っているわけじゃないんだ。
ハードディスクと違って、遺言に「灰にしろ」と書いたとしても、その願いは叶わない。
俺が死ぬと同時に魔導書は霧散するはずだし、あの魔導書はそもそも燃やせない。
書き込んだら、消したり上書きすることもできない。
なるほど、そりゃ書き込めないわけだ。この世界に永久不必要な無駄な魔法が増えてしまうだけなんだから。
「……そうか、私利私欲が絡むとダメなのか」
小石から金塊を作るのは、確かに私利私欲が絡むに分類されるだろう。
もしくは貨幣価値の下落による社会崩壊かもしれないが、長い目で見ても良い未来が来るような結果にはならないだろう。
勢いで書き込まれた魔法のせいで世界の秩序が崩壊しないように、どこかでセーブがかかるようになっているのだろうか。
それが事実だとしたら、どういった技術で作られているのか気になるな。
素材は何で、作成者は誰なのだろう。
「とは言っても、他種族を従えさせるような魔法があるんじゃ。書き込み方次第では、通るものもありそうじゃの」
「確かに、そうですね」
ならば上手くやれば、ティオの願いも叶えてあげられるんじゃないか。
そういえば変身とか幻惑、催眠魔法って感じの魔法も無いみたいだし、もしかしたら個人の判別を難解にさせるものとか、天から与えられた個性を踏みにじるような行為には何らかのセーブがかかってしまうのだろうか。
この感じだと、整形魔法ってのも書き込めない対象になりそうだな。
ならば個人の判別を難解にしない程度なら、可能なように思えるが。
「しかし、これ以上の制限を探すのはかなり難しいと思うの。妾とサザンも同じような疑問にぶち当たったことはあるが、結局分かったのはそれくらいじゃからの」
まさに、製作者のみぞ知るって感じだな。
文字通り創造主が神だったら、もはやだれも知りえぬことになってしまうのだろうが。
「これを作った人は、誰なんでしょうね」
「……深いことは分からんが、想像するに多分古代龍族か太古の生物じゃろうな。サザンが所有する以前から、“魔法”という現象は日常生活に組み込まれておったし、それはもう世界の誕生と同時期のことかもしれん」
まあ、会えない人を考えても仕方が無い。
それより手っ取り早く確認するには、実験を積み重ねる方が理に適っている。
それに、俺が知りたいことはこれが最後では無いんだからな。
俺が何故ここに召喚されたのか、どうして俺が選ばれたのか――最終的に導くべく答えは、それだ。
書き込めぬ魔法と書き込める魔法の話題は、一旦保留だ。
次に確かめるのは、書き込める者は本当に俺だけなのか、という事項だな。




