↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万能薬を飲まされ長寿になった私は安住の地を手に入れたい。  作者: おもち
第1章 旅の始まり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/34

10.初めてのお友達




3005年05月13日



 今日も東側の森で薬草採取だ。森へ行くのは一日おきだが、森に行かない日は学術都市の図書館まで行っている。今日で森へ来るのは四度目、初日に比べたらだいぶここまで歩くのにも慣れたと思う。宿も一ヶ月ごとに宿泊代を払って長期で泊まることにしたので、これから暫くは森と図書館に通うことになりそうだ。


 変わらず森の浅い所での採取だが、森での採取の時間は最初の二時間から延びて、三時間になった。ヒール草と今日は毒消し草も採っている。毒消し草はその名の通り毒消しの効果がある草で、解毒ポーションに使われる。毒消し草はヒール草ほど簡単には見つからないが、ヒール草を採っているとたまに近くに生えている。


 森での採取を終えると中央広場か水路沿いの屋台でお昼を食べる。これも最近の日課になってきている。


「今日は何食べる?」


「まだ行けていないクレープの屋台が気になるね。」


「いいね、じゃあ今日は水路沿いだね。」


「ああ。」


 クレープ屋は人気のようで、いつも人が並んでいるが、今日は7人だ。クレープはすぐ出来上がるのでこれくらいの人数ならすぐだろう。焼いている生地の甘い香りがする。


「こんにちは。」


「ベンジャミンさん!」

「おや、久しぶりだね。クレープかい?」


 ベンジャミンさんと会った。二人の子供が一緒にいる。弟と妹?いや、全然似てないな。二人は両方ともぱっちりとした緑の目が似ているが、ベンジャミンさんとは似てない。一人は赤茶の髪の優しそうな雰囲気の男の子で、もう一人の年下っぽい女の子は、明るい金髪をポニーテールにしていて、お転婆そうな雰囲気だ。


「お久しぶりですね。僕たちもクレープを買いに来ました。この子達が食べたいってうるさいから連れていってくれって頼まれちゃいまして。」


 ベンジャミンさんはやれやれと笑っている。


「あなた、最近広場で見かけるわね!」


 金髪の女の子に言われる。喋り方がもうお転婆そうだ。どうやら何度か見かけられていたらしいけど全然気がつかなかった。この辺りの家の子なのかな?


「最近この街に来たの。」


 男の子の方が後ろで心配そうに見ている。


「へー、名前は?」


「ルーナだよ。あなたは?」


「ルーナね!私はセレスティアよ、ティアって呼んで!」


 嬉しそうに無邪気な笑顔を向けてくる。めっちゃ可愛い!


「ティア、可愛い名前だね!後ろの子はお兄ちゃん?」


「ありがとう!ノエルはお兄ちゃんじゃなくて従兄妹よ、ママたちが姉妹なの。」


「僕はノエル、よろしくね。」


「ルーナだよ、よろしく。」


 後ろでおばあちゃんとベンジャミンさんが微笑ましそうに見ている。私、ルーナとして生まれて初めてのお友達ができたかも!嬉しくて、気をつけないと顔が勝手ににやけてくる。二人はこの近くのお店の子で、ノエルが8歳、ティアが6歳で年上だった。ルーナよりも背が小さいから年下かと思った!


 初めてのお友達と、自己紹介をしている間にルーナ達のクレープの順番が来た。私はアボカドっぽいのとレタスのような葉っぱ、トマト、ハムにチーズソースのおかずクレープ、おばあちゃんは数種類のベリーにジャム、クリームの甘いクレープを頼んだ。おばあちゃんはベリー系の実が好きなようだ。私はアボカドとトマトの組み合わせが大好きだ。アボカドのクリーミーな感じとさっぱりしたトマトを一緒に口の中で味わうのがいいんだよね。


「ルーナちゃんはおかず系なんだね。」


「うん、ベンジャミンさんもだね。」


 ベンジャミンさんはスクランブルエッグと腸詰肉にレタスのような葉っぱ、そこにケチャップをかけたモーニングのセットのような組み合わせだ。間違いない組み合わせだね。


「お昼ご飯だと思うと、おかず系が食べたいなと思ってね。あ、ベンジャミンだと長いからベンでいいよ。これからルーナちゃんたちとは何度も会うだろうしね。」


「うん!ベンさんって呼ぶね!」


 こっちでそんな話をしていると、ティアとノエルが言い争っている。


「もぉぉ、ティア!顔も手もべちょべちょだよぉ。ちゃんときれいにしてー、わっ!その手で触らないでっ!」


「だってクリームが端から出てくるんだから仕方ないじゃない!ハンカチかして!」


 この少しの間にティアがクリームまみれだ。服にも着いてしまっている。


「僕まで汚れちゃったじゃないか、服汚すと母さんに怒られるんだからやめてよぉ。昨日も怒られたばかりじゃないか、はぁぁ。」


「ちょっとくらいでそんなに言わなくたっていいじゃない!」


 ティアがノエルのポケットからハンカチを取ろうと触ったらしく、ノエルの服にもクリームが付いている。ティアはノエルに責められて今にも泣きそうだ。


「ベンさん、大変なことになってるね。」


「はぁ、僕あんまり子供の世話得意じゃないみたいなんだよね、いつもちょっと目を離した隙にこんな感じになっちゃうんだ、あの二人は。どうしよう。」


 ベンさんが、疲れた顔でため息をついて弱気になっている。私もあのクリームまみれのティアをどうしたらいいかなんて分からない。ティアたちが怒られる覚悟を決めるしかないだろう。


「はは、元気があって子供らしいね。」


 おばあちゃんは二人を見て微笑んでいる。あれ?暗に私は子供らしくないって言われてる気もする。考えすぎか。


「可愛いですけど、ルーナちゃんくらい落ち着いてくれるとありがたいですね⋯。」


「ルーナは外に連れ出さないと、部屋から出てこないからね。それも困ったもんさ。」


 最近は頑張ってるもん!ルーナは二人の会話をスルーしてクレープに集中する。んーおいしい!


「ふふ、ティアとは真逆ですね。はぁ、絶対あのクリーム僕にもつけられます⋯」


「やれやれ、仕方ないね。後できれいにしてあげるから、二人とも!ここに座ってさっさと食べちゃいな!」


 そう言っておばあちゃんがティアとノエルをベンチに座らせる。

 そして二人が食べ終わると清浄(クリーン)をかけた。


「わあ!ありがとう!ルーナのおばあちゃん!」


「ありがとうございます!母さんに怒られずに済みそうです。」


「どういたしまして。」


 それからルーナとおばあちゃんは、三人と別れて宿に戻った。


 宿に戻ったあとはお薬作りだ。そろそろ数も作ったし、おばあちゃんのランクアップ試験が受けられそうだ。おばあちゃんならば余裕だろう。


 お薬作りの後はルーナのお勉強をしてお風呂に入ってお夕飯。食べ終わったらベッドで魔力を放出して気絶、が最近の森に行った日の流れになってきている。図書館の日は体力に余裕があるので、買い物に出かけたりジャムを作ったりと流れは決まってない。これからは、お友達と遊ぶ日ができるかもと思うと楽しみだ。



◆◆◆◆◆



 ジェイドとフェルナンドはギルド長室に報告に来ていた。報告といっても、ここ一年で度々起こるようになった事件で、たったの一週間では大した報告はない。


「どうだ?何かわかったことはあるか?」


 ギルバートも急に大きな進展があるとは思っていないのだろう、コーヒーを飲みながらのんびり聞いている。


「今のところ特にねーな、俺らが帝都に来てからは何も起こってねぇし。」


「引き続き他の護衛依頼などを受けつつ、帝都とプロスペールを行き来しながら探る方がいいでしょう。俺たちが他の依頼を受けていないと、犯人に探っているのがバレそうですからね。」


「わかった。そうしてくれ。」


 これからはこまめに行き来しなくてはならなくなりそうだ。面倒くせぇ。


「それとギルド長、門を通らずに、あるいは見つからずに、この帝都から出られる魔術か魔導具って心当たりありますか?」


 それができないと今回の事件は成立しない。しかも何度も成功させている。帝都もプロスペールも荷物のチェックは厳しい。 魔力探知にも引っかからずに、人間が通るのは難しいと思う。一回や二回ならわかるが一年は無理だろう。


「あることはある⋯魔導具だったら国宝級の古代魔導具だ。魔術でもそんなん使えるやつなら間違いなくSランクだ。」


「どんなやつなんだ?」


「俺の知ってる魔導具だと、一つは姿が消せるマントだ。だがこれは宝物庫にあるはずだ。盗まれてなければな。それで姿を消せれば、人が通ってる横をこっそり抜けりゃなんとかなるかもな。」


「それでは何度も抜けるのは厳しそうですね。」


「ああ。魔力探知されたらすぐ見つかる。昔試してみたから探知に引っかかるのは知ってる。」


 試したのかよ!まあこれはないな⋯


「で、もう一つ俺が知ってるやつはカインが持ってるはずだ。これは二つで一つの魔導具で、対になった魔導具がある地点まで、転移できる魔導具だ。」


 カインとはグランディール帝国の勇者で、長く君臨した魔王を討伐したとして有名だ。ギルバートは当時、そのカインのパーティのメンバーだった。


「それならかなり使えますが⋯勇者カインですか⋯」


「カインがそんなことするとは思わねぇが、カインならできちまうな。」


 ギルバートはそう言うが、勇者カインは傍若無人な性格で、あまり評判が良くない。それでも勇者だ。勇者なんかに出てこられても困る。違っていてくれ⋯。


「魔術師の方はどうなんだ?」


「転移魔術が使えるやつも、俺が知ってるのは二人だ。二人とも帝国民じゃなくて、一人はもう亡くなってる。もう一人の方は今どこにいるかわからんが、シルヴィア王国の勇者パーティにいた賢者だった女だ。まあ、若いので使えるやつがいるかもしれねーが、俺はあとは知らねーな。」


「おいおい、勇者に賢者かよ⋯。万が一どっちかが関わってたら、それ俺たちで大丈夫か?」


 どっちが出てきても生き残れる気がしねぇ⋯。


「まあ、転移を使ってるやつがいるとしたらの話だ。もしやばそうなら無理せず退いてくれ。お前らに死なれるのは困る。」


「ああ、そうさせてもらう。」


 俺たちは一度プロスペールに戻ることになった。

 なんだか嫌な予感がするんだよなー。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。