表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/29

無言の跳躍25



 無言の跳躍・外宇宙門編


それが目を開いた瞬間

宇宙そのものが一度だけ静止した

時間ではない

観測が止まったのだ

文明リンクが沈黙する

星々の瞬きが消える


ユナは息ができなかった

見てはいけない

本能が叫んでいる

だが視線を外せない


暗黒の向こう

目だけが存在していた

恒星より巨大

銀河より深い黒

その周囲では物理法則そのものが崩れている

空間が打つ側へ折れ曲がり時間が液体みたいに滴っていた


直哉が膝をつく

「なんだ…あれは…」


最初の観測者は静かだった

だがその声に初めて緊張が混じる

[外宇宙存在]


ユナが震える声で聞く

「外宇宙…?」


[我々の宇宙、その外側から観測している存在]


ユナの脳が理解を拒否する

宇宙の外から宇宙を観測している


その時目がこちらを見た

そしてユナの意識へ膨大な映像が流れ込む

生まれては消える宇宙群

無数のビックバン

滅びる法則

死んでいく時間

そして、数えきれない失敗した宇宙


ユナは悲鳴を上げそうになる

あれは文明ではない

もっと根源的な何か

宇宙を試行している存在


[観測確認]


声が響く、いや概念そのものが脳に刻まれる


[共有観測宇宙]

最初の観測者が前に出る

[干渉を拒否する]


目が瞬く

[理由]


最初の観測者が静かに答えた

[この宇宙は自ら未来を選び始めた]


ユナは息を呑む


外宇宙存在はしばらく沈黙した後

[不安定]


直哉が苦笑する

「それ、よく言われるな」


ユナも少し笑いそうになる

不思議だった恐怖で震えているのに

誰かと一緒だと怖さが少しだけ減る


だが次の瞬間

目の周囲で無数の宇宙が砕け散った


ユナの顔色が変わる


[不安定宇宙は高確率で崩壊する]


最初の観測者は黙る

反論できない

共有観測宇宙も何度となく崩壊しかけた

虚無潮

観測容量限界

文明戦争

偶然生き延びただけかもしれない


その時文明リンクが再び脈動した

遠い共有観測宇宙全域から光が流れ込む

人類

エリュシオン

無数の文明たち

ユナの端末へ膨大な回線が接続される


主任の声

「ユナ!生きてる!?」


汐里の子孫世代

「そっち何がいるの!?」


暖かい無数の声


ユナは涙が出そうになる

宇宙の果てでも自分は孤独じゃない


その光景を目が見ていた

[…奇妙]


最初の観測者が静かに言う

[それが共有観測だ]


[脆弱、非効率]


[そうだ、だが]

最初の観測者は文明リンクを見上げる

[一人では見られない未来がある]


ユナは胸が熱くなる

それは玲奈たちが何度も言ってきたこと

未来は一人で固定するものじゃない

繋がりながら選ぶもの


目が静かに瞬いた

すると暗黒宇宙の奥で巨大な門が開き始める


ユナが息を呑む


門の向こうにはさらに別の宇宙群が見えていた

泡のように漂う宇宙たち

外宇宙


最初の観測者が低く言う

[門を開けばこちら側へ干渉が始まる]


直哉が顔を青くする

「止められないのか」


[完全には不可能]

最初の観測者はユナを見る

[だが、選択はできる]


ユナは目を見開く


[閉じた宇宙として恐怖に震えるか]


門の向こうで無数の視線がこちらを見ている


未知、理解不能、ものすごく怖い


でも、ユナは文明リンクを見た

背後にいる無数の誰か

繋がり続ける光

彼女は深く息を吸った

そして笑う

「知りたいです」


直哉が苦笑する

「やっぱりそう言うか」


ユナは頷く

「怖いですけど」

彼女は門を見る

宇宙の外、さらにその先

「未来があるなら見てみたい」


しばらくの沈黙


そして、目がほんの少しだけ細められた気がした


まるで笑ったみたいに


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ