表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
残響魔術(エコー・コード)  作者: 天音シオン
第二部 特異点と教団

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
50/62

第50章 第二部の終幕

第50章 第二部の終幕



黒の教団の過激派リーダー・氷室と、教団の創設者である天野博士の死から、一週間が経過した。


この一週間で、世界は大きく動いた。

教団の穏健派は対魔局に完全に投降し、彼らが保有していた特異点に関する研究データや、調律者に関する情報が全て対魔局に引き渡された。

これにより、長きにわたって世界を脅かしてきた「黒の教団」は、事実上解体された。


しかし、それは決して平和の訪れを意味するものではなかった。


「……これが、天野博士の遺したデータと、教団から押収した情報を統合した結果です」


対魔局本部の大会議室。

紗綾局長が、各国の対魔局支部長や政府高官たちが集まるオンライン会議で、重々しい口調で報告を行っていた。


モニターには、地球の軌道上に浮かぶ巨大な人工天体「中枢星コア・スター」のホログラムが映し出されている。


「……調律者の本体は、この中枢星の『コア』に存在します。……彼らは、この世界を『実験場』と見なし、人類の中から完全な魔法生命体を創り出すための『選別』を行おうとしています」


紗綾局長の言葉に、会議室にどよめきが走る。


「……選別だと? ……具体的にはどういうことだ!」


アメリカ支部長が、画面越しに声を荒げる。


「……魔法適性のない人間、つまり無能力者を全て排除し、魔法使いだけの新世界を創る。……それが、彼らの目的です」


「……なっ……! ……そんな馬鹿な話があるか!」

「……世界人口の八割を抹殺する気か!」


各国の代表たちが、次々と怒りと恐怖の声を上げる。


「……静粛に!」


紗綾局長が、一喝する。


「……信じがたいことですが、これは事実です。……そして、調律者はすでに、その『選別』の準備を完了しつつあります。……我々に残された時間は、決して多くありません」


会議室が、水を打ったように静まり返る。


「……我々対魔局は、これより調律者の中枢星に対する直接攻撃作戦『オペレーション・アーク』を発動します。……目標は、中枢星のコアの破壊、および調律者の完全排除です」


紗綾局長の宣言に、誰も異論を唱える者はいなかった。

もはや、人類の存亡を懸けた戦いは、避けられないところまで来ていたのだ。



同じ頃、特務部隊の待機室では、蓮たちが作戦のブリーフィングに向けて準備を進めていた。


「……いよいよだな」


蓮が、共鳴剣の手入れをしながら呟く。


「……ああ。……相手は、この世界の法則そのものを操る神のような存在だ。……生半可な覚悟じゃ、一瞬で消し飛ばされるぞ」


アランが、大剣の刃を布で拭きながら言う。


「……分かってるわ。……でも、私たちにはもう、後戻りなんてできないもの」


凛音が、銃の手入れをしながら、真剣な表情で言う。


「……ええ。……博士が命を懸けて繋いでくれたこのチャンス、絶対に無駄にはしません」


結月が、蓮の隣で静かに頷く。


「……蓮お兄ちゃん」


アリスが、蓮の服の裾を引く。


「……どうした、アリス?」


「……私ね、昨日、天野博士の夢を見たの」


アリスが、少し寂しそうな顔で言う。


「……博士の夢?」


「……うん。……博士、笑ってた。……『君たちの未来は、君たち自身の手で創りなさい』って」


アリスの言葉に、蓮は少しだけ目を細める。


「……そうか。……博士も、俺たちのことを見守ってくれてるんだな」


「……うん!」


アリスが、力強く頷く。


「……僕も、博士の想いに応えたい。……特異点としての力を、今度こそ正しいことのために使います」


透が、決意を込めて言う。


「……ああ。……俺たち全員で、必ず生きて帰ってこよう」


蓮が、仲間たちの顔を見渡し、力強く宣言する。


その時、待機室のドアが開き、シロが入ってきた。


「……皆さん、ブリーフィングの準備が整いました。……作戦司令室へ移動してください」


「……よし、行くぞ!」


蓮を先頭に、特務部隊のメンバーたちが作戦司令室へと向かう。



作戦司令室の中央には、中枢星の巨大なホログラムが浮かび上がっていた。


「……これより、『オペレーション・アーク』の最終ブリーフィングを開始します」


紗綾局長が、ホログラムの前に立ち、特務部隊のメンバーたちを見渡す。


「……作戦の目標は、中枢星の最深部に存在する『コア』の破壊です。……しかし、そこへ至るルートには、調律者の強力な防衛システムが幾重にも張り巡らされています」


シロが、ホログラムを操作し、中枢星の内部構造を表示する。


「……第一防衛ラインは、中枢星の外殻を覆う『法則の壁』。……これは、あらゆる魔法攻撃を無効化する絶対防御の結界です」


「……あらゆる魔法を無効化……。……どうやって突破するんだ?」


アランが、眉をひそめる。


「……そこは、特異点の力を使います。……蓮くん、透くん、アリスちゃん。……あなたたち三人の特異点共鳴リンクで、法則の壁に穴を開けてください」


紗綾局長が、三人に指示を出す。


「……了解しました」


蓮たちが、力強く頷く。


「……壁を突破した後は、内部の迷宮エリアを進みます。……ここには、『観測者オブザーバー』や『模倣体ミミック』といった、調律者の防衛ユニットが多数配置されています」


シロが、防衛ユニットのデータを表示する。


「……こいつら、教団の遺跡で戦った『ガーディアン』より強いのか?」


凛音が、尋ねる。


「……比較になりません。……彼らは、調律者の力を直接分け与えられた、言わば『神の兵隊』です。……一体一体が、特務部隊の隊長クラスの力を持っていると考えてください」


シロの言葉に、司令室に緊張が走る。


「……そして、迷宮エリアを抜けた先にあるのが、最終防衛ライン……『幻影ファントム』です」


紗綾局長が、ホログラムの最深部を指差す。


「……幻影……?」


「……天野博士のデータによれば、幻影は侵入者の『最も恐れるもの』や『最も会いたい人』の姿をとり、精神的な揺さぶりをかけてくるそうです。……物理的な攻撃だけでなく、精神的な攻撃にも備える必要があります」


「……精神攻撃か……。……厄介だな」


蓮が、顔をしかめる。


「……幻影を突破すれば、いよいよコアです。……コアには、調律者の本体が存在すると推測されています。……そこで何が待ち受けているかは、博士のデータにも記録されていません」


紗綾局長が、静かに言う。


「……何が待ち受けていようと、やることは一つだ。……コアをぶっ壊して、調律者を倒す」


蓮が、迷いのない瞳で言う。


「……ええ。……あなたたちなら、必ずやり遂げられると信じています」


紗綾局長が、蓮たちに向かって深く頭を下げる。


「……作戦開始は、明日の午前零時。……それまで、各自しっかりと休息を取ってください。……以上で、ブリーフィングを終了します」


紗綾局長の言葉で、ブリーフィングは解散となった。



その夜。

特務部隊のメンバーたちは、それぞれが出撃前の最後の時間を過ごしていた。


アランは、訓練室で一人、大剣の素振りを繰り返していた。

彼の額には大粒の汗が浮かび、荒い息遣いが訓練室に響き渡る。


「……ふぅ……」


アランが、大剣を下ろし、タオルで汗を拭う。


「……精が出るな、アラン」


入り口から、蓮が声をかける。


「……蓮か。……お前こそ、休まなくていいのか?」


「……少し、体が鈍っててな。……軽く動かしておこうと思って」


蓮が、訓練室に入ってくる。


「……そうか。……なら、少し手合わせするか?」


アランが、大剣を構え直す。


「……ああ、頼む」


蓮も、共鳴剣を抜く。


二人は、言葉を交わすことなく、激しく打ち合い始めた。

剣と剣がぶつかり合う甲高い音が、訓練室に響き渡る。


「……お前、また腕を上げたな」


アランが、蓮の剣を弾き返しながら言う。


「……アランこそ。……その大剣の重さ、前より増してるんじゃないか?」


蓮が、アランの攻撃を躱しながら笑う。


「……ふっ。……俺も、まだまだ強くなれるってことさ」


アランが、不敵に笑う。


二人は、しばらくの間、互いの力を確かめ合うように打ち合いを続けた。


「……なあ、蓮」


アランが、剣を交えながら、ふと口を開く。


「……ん?」


「……俺は、お前と出会えて良かったと思ってる。……お前がいなかったら、俺は今でも、ただの力任せの馬鹿だったかもしれない」


アランの言葉に、蓮は少し驚いたような顔をする。


「……何だよ、急に。……らしくないぞ」


「……いや、言える時に言っておこうと思ってな。……明日の戦い、何が起こるか分からないからな」


アランが、少し照れくさそうに笑う。


「……馬鹿野郎。……俺たちは、全員で生きて帰るんだ。……死ぬ前提で話をするな」


蓮が、アランの剣を強く弾き返す。


「……ああ、そうだな。……悪かった」


アランが、大剣を下ろし、蓮に向かって拳を突き出す。


「……絶対に、生きて帰ろうぜ」


「……ああ、約束だ」


蓮も、アランの拳に自分の拳をぶつける。

二人の間には、言葉以上の強い絆が結ばれていた。



一方、凛音は自室で、一人静かに銃の手入れをしていた。

彼女の表情は、いつになく真剣だった。


(……明日の戦い。……私が、みんなの足を引っ張るわけにはいかない)


凛音は、銃のパーツを一つ一つ丁寧に磨きながら、心の中で呟く。


彼女は、特務部隊の中で唯一、特異点でもなければ、圧倒的な魔力を持っているわけでもない。

彼女の武器は、正確無比な射撃技術と、状況を冷静に分析する判断力だけだ。


(……私にできること。……それは、みんなの背中を守ること)


凛音は、銃を組み立て直し、スコープを覗き込む。


「……凛音」


ドアがノックされ、結月が入ってくる。


「……結月。……どうしたの?」


「……少し、話したくて」


結月が、凛音の隣に座る。


「……明日のこと?」


「……ええ。……凛音、怖くない?」


結月の問いに、凛音は少しだけ目を伏せる。


「……怖くないって言ったら、嘘になるわ。……でも、それ以上に、みんなと一緒に戦いたいって気持ちの方が強いの」


凛音が、結月の顔を見て微笑む。


「……そっか。……凛音は、強いね」


「……そんなことないわ。……私なんて、いつも蓮や結月に助けられてばかりだもの」


凛音が、自嘲気味に笑う。


「……そんなことない。……凛音がいてくれるから、私たちは安心して前を向けるのよ。……凛音は、私たちの『目』であり、『盾』なんだから」


結月が、凛音の手を握る。


「……結月……」


「……明日も、私たちの背中、お願いね」


結月が、優しく微笑む。


「……ええ、任せて。……絶対に、誰一人死なせないわ」


凛音も、力強く頷く。

二人の少女は、互いの存在を確かめ合うように、静かに微笑み合った。



そして、シロのラボでは、シロと透、アリスの三人が、最終的なデータの確認を行っていた。


「……シロさん、このルートの防衛システム、少しパターンが不規則ですね」


透が、モニターを指差しながら言う。


「……ええ。……おそらく、幻影の直前にある『最終防衛ライン』の影響だと思います。……空間の法則自体が歪んでいる可能性があります」


シロが、キーボードを叩きながら答える。


「……空間が歪んでるなら、僕の『空間断裂』で道を切り開けるかもしれません」


透が、真剣な表情で言う。


「……頼もしいですね。……でも、無理はしないでくださいね。……透くんの力は、コアの破壊に必要不可欠ですから」


シロが、透に向かって微笑む。


「……はい、分かっています」


透が、頷く。


「……シロお姉ちゃん、私も頑張るね。……私の『概念書き換え』で、悪いやつらを全部やっつけちゃうんだから!」


アリスが、元気いっぱいに言う。


「……ふふっ、アリスちゃんも頼りにしてますよ。……でも、アリスちゃんも無理は禁物ですからね」


シロが、アリスの頭を撫でる。


「……えへへ〜」


アリスが、嬉しそうに笑う。


「……さあ、データの確認はこれで終わりです。……二人とも、明日に備えてしっかり休んでくださいね」


シロが、モニターの電源を落とす。


「……はい。……おやすみなさい、シロさん」

「……おやすみなさーい!」


透とアリスが、ラボを後にする。


シロは、二人の背中を見送った後、再びモニターの電源を入れ、一人でデータの最終チェックを始めた。


(……みんな、絶対に生きて帰ってきてくださいね。……私が、全力でサポートしますから)


シロの瞳には、強い決意の光が宿っていた。



翌朝。

対魔局本部の地下格納庫には、特務部隊のメンバーたちと、彼らを乗せて宇宙へと飛び立つための特殊宇宙船「アルテミス」が待機していた。


アルテミスは、天野博士が遺した技術と、対魔局の最新技術を結集して建造された、対中枢星用の決戦兵器だ。

大気圏を突破するための強力な推進力と、宇宙空間での戦闘を想定した重装甲、そして、特異点の魔力を増幅して発射する「魔導砲」を備えている。


「……いよいよだな」


蓮が、アルテミスの巨大な機体を見上げて呟く。


「……ええ。……これが、私たちの最後の戦いになるわ」


結月が、蓮の隣で静かに言う。


「……みんな、準備はいいか?」


アランが、大剣を背負いながら、メンバーたちに声をかける。


「……いつでもいけるわ」

「……僕も、準備万端です」

「……私も!」


凛音、透、アリスが、それぞれ力強く頷く。


「……蓮くん」


紗綾局長が、蓮たちに歩み寄る。


「……局長」


「……あなたたちには、本当に重い使命を背負わせてしまいました。……でも、私は信じています。……あなたたちなら、必ずこの世界を救ってくれると」


紗綾局長が、蓮の手を両手で包み込む。


「……ええ。……必ず、調律者を倒して、みんなの元へ帰ってきます」


蓮が、力強く答える。


「……シロ、通信とナビゲーションは頼んだぞ」


蓮が、コンソールに向かっているシロに声をかける。


「……はい! ……アルテミスのシステムは全て正常。……いつでも発進可能です!」


シロが、笑顔で答える。


「……よし。……全員、搭乗しろ!」


蓮の号令で、特務部隊のメンバーたちが次々とアルテミスに乗り込んでいく。


蓮は、最後に振り返り、紗綾局長とシロに向かって敬礼した。


「……行ってきます」


「……ご武運を」

「……いってらっしゃいませ!」


紗綾局長とシロが、敬礼で応える。


蓮がアルテミスに乗り込み、ハッチが閉まる。


『……メインエンジン、点火。……出力上昇。……発進シークエンス、開始します』


シロのアナウンスが、格納庫に響き渡る。


アルテミスの機体が、激しい轟音と共に浮上し始める。


『……カウントダウン。……5、4、3、2、1……発進!』


アルテミスは、目にも留まらぬ速さで格納庫の天井を突き破り、朝焼けの空へと飛び立っていった。



アルテミスは、大気圏を突破し、漆黒の宇宙空間へと躍り出た。


「……すごい……。……これが、宇宙……」


アリスが、窓の外に広がる無数の星々を見て、目を輝かせる。


「……綺麗ね……」


凛音も、息を呑む。


「……感心している暇はないぞ。……目標の中枢星まで、あと少しだ」


蓮が、操縦席から声をかける。


アルテミスの前方には、地球の月よりも遥かに巨大な、機械仕掛けの人工天体……中枢星が、不気味な光を放ちながら浮かんでいた。


『……蓮さん、中枢星の防衛システムが起動しました。……第一防衛ライン「法則の壁」が展開されます!』


通信機から、シロの緊迫した声が響く。


中枢星の周囲に、巨大な光の結界が展開され、アルテミスの行く手を阻む。


「……来たな。……透、アリス、準備はいいか?」


蓮が、二人に声をかける。


「……はい!」

「……うん!」


透とアリスが、蓮の両隣に立つ。


「……行くぞ! ……特異点共鳴リンク!」


蓮、透、アリスの三人が、同時に魔力を解放する。

三色の光が混ざり合い、巨大なエネルギーの奔流となって、アルテミスの魔導砲に注ぎ込まれる。


「……撃てぇぇぇっ!!」


蓮の叫びと共に、魔導砲から極太の光線が発射された。


光線は、法則の壁に激突し、激しい火花を散らす。


「……くっ……! ……なんて硬さだ……!」


蓮が、歯を食いしばる。


「……負けない……! ……絶対に、負けないんだから!」


アリスが、必死に魔力を振り絞る。


「……僕たちの力で……道を切り開く!」


透も、限界まで魔力を高める。


三人の想いが一つになった瞬間、光線はさらに輝きを増し、法則の壁を貫いた。


パァァァァンッ!!


法則の壁が、ガラスのように砕け散る。


「……やった!」


凛音が、歓声を上げる。


『……第一防衛ラインの突破を確認! ……アルテミス、中枢星内部へ突入します!』


シロのアナウンスと共に、アルテミスは中枢星の内部へと突入していった。



中枢星の内部は、無機質な金属の壁と、幾何学的な模様が描かれた通路が果てしなく続く、巨大な迷宮だった。

アルテミスは、シロのナビゲーションに従い、迷宮の奥深くへと進んでいく。


『……蓮さん、前方に多数の熱源反応! ……調律者の防衛ユニット「観測者オブザーバー」の群れです!』


シロの警告と同時に、通路の奥から、無数の機械兵器が姿を現した。

それらは、人間の形をしているが、顔には目も鼻もなく、ただ無機質なレンズが一つ付いているだけだった。


「……数が多いな。……アルテミスの主砲で一掃する!」


蓮が、操縦桿を握り直す。


「……待って、蓮! ……あいつら、何かおかしいわ!」


凛音が、モニターを指差す。


観測者たちのレンズが赤く光り、その周囲の空間が歪み始めた。


『……警告! ……観測者たちが、空間の法則を書き換えています! ……アルテミスの魔導砲のエネルギーが、無効化される可能性が高いです!』


シロの声が、焦りを帯びる。


「……ちっ、法則の書き換えか……! ……なら、直接叩くしかない!」


蓮が、操縦席から立ち上がる。


「……アラン、凛音、結月! ……俺たちは外に出て、あいつらを迎撃する! ……透とアリスは、アルテミスの中で待機して、いざという時のために魔力を温存しておいてくれ!」


「……了解だ!」

「……任せて!」

「……ええ!」


アラン、凛音、結月が、それぞれの武器を構える。


「……蓮お兄ちゃん、気をつけてね!」

「……蓮さん、ご武運を!」


アリスと透が、蓮たちを見送る。


蓮たちは、アルテミスのハッチから宇宙空間(中枢星内部の通路)へと飛び出した。

中枢星の内部には、人工的な重力と空気が存在しており、生身でも活動することが可能だった。


「……行くぞ!」


蓮が、共鳴剣を構え、観測者の群れに向かって突進する。


観測者たちが、一斉にレンズから赤い光線を放つ。

それは、触れたものを原子レベルで分解する、恐るべき破壊光線だった。


「……『氷のアイス・シールド』!」


結月が、巨大な氷の盾を創り出し、光線を防ぐ。


「……アラン、凛音、今だ!」


蓮の合図と共に、アランと凛音が動き出す。


「……うおおおおっ!」


アランが、大剣を振り下ろし、観測者を真っ二つに両断する。


「……そこよ!」


凛音が、正確無比な射撃で、観測者のレンズを次々と撃ち抜いていく。


「……『全式共鳴・神速』!」


蓮が、目にも留まらぬ速さで観測者の群れの中を駆け抜け、次々と斬り伏せていく。


三人の連携攻撃により、観測者の群れは瞬く間に数を減らしていく。


「……よし、このまま一気に押し切るぞ!」


蓮が、叫ぶ。


しかし、その時だった。


『……蓮さん、気をつけて! ……観測者たちが、合体しようとしています!』


シロの警告と共に、残った観測者たちが一つに集まり、巨大な金属の塊へと変化し始めた。


「……なんだ、あれは……?」


アランが、目を丸くする。


巨大な金属の塊は、やがて、四つの腕と三つの顔を持つ、異形の怪物へと姿を変えた。


『……データにありません! ……おそらく、観測者の上位個体……「模倣体ミミック」の変異種です!』


シロの声が、震えている。


「……変異種だろうが何だろうが、ぶっ倒すだけだ!」


蓮が、共鳴剣を強く握り締める。


異形の怪物が、四つの腕を振り上げ、蓮たちに向かって襲いかかってきた。


世界の命運を懸けた、最後の戦いが、今、本格的に幕を開けた。





【第50章終了】

ここまで読んでくれてありがとうございました!


まだ【評価】と【ブクマ】が済んでいないという方がいましたら、どうかお願いします!

☆☆☆☆☆→★★★★★

評価して頂けると、ものすごく喜びます!

これで半分のつもり!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ