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残響魔術(エコー・コード)  作者: 天音シオン
第二部 特異点と教団

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第49章 使徒の死

第49章 使徒の死



アリスの活躍により、対魔局本部を襲撃した過激派残党は一網打尽にされた。

しかし、事件の余波はまだ収まっていなかった。


「……局長、地下の特別拘置施設から緊急連絡です!」


シロの切羽詰まった声が、作戦司令室に響き渡る。


「……何事ですか?」


紗綾局長が、モニターに顔を向ける。


「……拘置施設の一部で、大規模な魔力反応を検知しました。……氷室が収容されている区画です!」


「……氷室だと? ……奴は魔力を封じる手錠をかけられているはずだぞ!」


蓮が、驚いて声を上げる。


「……それが、どうやら手錠が破壊されたようです。……監視カメラの映像を繋ぎます」


モニターに、地下施設の映像が映し出される。

そこには、信じられない光景が広がっていた。


氷室が、全身から禍々しい黒い冷気を放ちながら、拘置所の壁を次々と破壊しているのだ。

その傍らには、氷室の妹・マリアが倒れており、ピクリとも動かない。


「……マリア……? ……まさか、氷室が……」


結月が、息を呑む。


「……氷室の魔力反応が、以前とは比べ物にならないほど増大しています。……これは、ただの『絶対氷結』ではありません」


シロが、データを分析しながら報告する。


「……どういうことだ?」


「……氷室は、マリアの魔力を強制的に吸収し、自らの力に変えたようです。……さらに、破壊された『世界の鍵』の破片を体内に取り込み、そのエネルギーを暴走させています」


「……妹の魔力を奪い、鍵の破片まで……! ……完全に狂ってやがる!」


アランが、吐き捨てるように言う。


「……このままでは、氷室の魔力が臨界点に達し、地下施設ごと自爆する可能性があります。……その規模は、東京都心部を吹き飛ばすほどです」


シロの予測に、司令室の空気が凍りつく。


「……止めに行かなきゃ! ……みんな、行くぞ!」


蓮が、共鳴剣を手に取り、司令室を飛び出す。


「……待ってください、蓮くん!」


紗綾局長が、蓮を呼び止める。


「……局長、一刻を争う事態です!」


「……分かっています。……ですが、今の氷室は、特異点の力でも抑えきれないほど暴走しています。……正面からぶつかれば、あなたたちも無事では済みません」


「……じゃあ、どうすればいいんですか!」


「……天野博士です」


紗綾局長の言葉に、蓮はハッとする。


「……博士が、何か方法を知っていると?」


「……ええ。……博士は、世界の鍵の構造を誰よりも熟知しています。……彼なら、氷室の暴走を止める手段を持っているかもしれません」


「……分かりました。……まずは博士のところへ向かいます!」


蓮たちは、急いで地下の特別拘置施設へと向かった。



地下施設は、すでに氷室の放つ黒い冷気によって、極寒の地獄と化していた。

壁も床も黒い氷に覆われ、通常の魔法では傷一つつけられない。


「……くそっ、寒いなんてもんじゃないぞ……!」


アランが、炎の魔法で体を温めながら進む。


「……気をつけて。……この黒い氷、触れただけで魔力を吸い取られるわ」


凛音が、壁から距離を取りながら警告する。


蓮たちは、慎重に天野博士が収容されている区画へと急いだ。


「……博士! ……無事ですか!」


蓮が、天野博士の独房のドアを蹴り破る。


独房の中は、幸いにもまだ黒い氷に侵食されていなかった。

天野博士は、拘束衣を着せられたまま、静かに座っていた。


「……蓮くんか。……騒がしいと思ったら、やはり氷室が暴走したか」


天野博士は、驚く様子もなく、淡々と言う。


「……博士、氷室を止める方法を教えてください! ……このままじゃ、東京が吹き飛びます!」


蓮が、焦燥感を露わにして尋ねる。


「……方法はある。……だが、それには大きな代償が伴う」


天野博士が、重々しい口調で答える。


「……代償……?」


「……氷室が取り込んだ『世界の鍵』の破片は、彼の命そのものを燃料にして暴走している。……これを止めるには、鍵のエネルギーを完全に相殺するだけの、強大な『虚無』の力が必要だ」


「……虚無の力……。……つまり、博士の魔法ですか?」


「……そうだ。……だが、今の氷室の暴走を相殺するには、私の命を全て魔力に変換し、限界を超えた『虚無』を放つしかない」


天野博士の言葉に、蓮は息を呑む。


「……命を……全て魔力に……。……そんなこと、させられません!」


蓮が、強く首を振る。


「……他に方法はないのだよ、蓮くん。……それに、これは私が蒔いた種だ。……私が教団を創り、氷室という怪物を生み出してしまった。……その責任は、私が取らねばならない」


天野博士の瞳には、揺るぎない決意が宿っていた。


「……博士……」


「……蓮くん、私の拘束を解いてくれ。……時間がない」


天野博士が、蓮を見つめる。


蓮は、葛藤に引き裂かれそうになりながらも、共鳴剣で天野博士の拘束衣を切り裂いた。


「……ありがとう。……さあ、行こうか。……私の、最後の仕事だ」


天野博士は、立ち上がり、氷室のいる区画へと歩き出した。



氷室は、地下施設の最深部にある広大な空間で、黒い冷気の渦の中心に立っていた。

その姿は、もはや人間のそれではなく、氷と絶望の化身のようだった。


「……アァァァァァッ!」


氷室が、獣のような咆哮を上げる。

それに呼応して、黒い冷気がさらに激しく吹き荒れる。


「……氷室!」


蓮たちが、空間に飛び込む。


「……来たか、対魔局の犬ども……。……そして、裏切り者の天野……!」


氷室が、憎悪に満ちた目で天野博士を睨みつける。


「……氷室、お前の野望はここまでだ。……これ以上、罪を重ねるな」


天野博士が、静かに告げる。


「……黙れ! ……お前が俺たちを裏切らなければ、今頃、世界は浄化されていたはずだ! ……お前も、この世界も、全て俺の氷で消し去ってやる!」


氷室が、両手を天野博士に向ける。


「……『氷結』――絶対零度・黒死蝶ブラック・デス!」


無数の黒い氷の蝶が、天野博士に向かって飛んでいく。

それは、触れたものを一瞬で凍らせ、魔力ごと消滅させる恐ろしい魔法だった。


「……博士、危ない!」


蓮が、前に出ようとする。


「……下がるんだ、蓮くん!」


天野博士が、蓮を制止し、自ら前に出る。


「……『虚無』――絶対相殺アブソリュート・ゼロ!」


天野博士の体から、漆黒の闇が放たれる。

それは、黒い氷の蝶を次々と飲み込み、無へと還していく。


「……ぐぬぬ……! ……さすがは、かつての我らが長……。……だが、俺の力はすでに限界を超えている!」


氷室が、さらに強大な魔力を放つ。


黒い冷気の渦が、天野博士の虚無を押し返し始める。


「……くっ……!」


天野博士が、苦悶の表情を浮かべる。


「……博士!」


蓮が、共鳴剣を構える。


「……手を出すなと言ったはずだ! ……これは、私の戦いだ!」


天野博士が、血を吐きながら叫ぶ。


「……でも、このままじゃ……!」


「……蓮くん、よく聞け」


天野博士が、氷室の攻撃を耐えながら、蓮に語りかける。


「……私は、調律者の計画を止めるために、教団を創った。……だが、その過程で多くの血を流し、道を誤ってしまった。……私のやり方は、間違っていたのだ」


「……博士……」


「……だが、君たちは違う。……君たちには、仲間を信じ、共に未来を切り拓く力がある。……特異点の力は、世界を壊すためではなく、世界を救うためにあるのだ」


天野博士の体が、徐々に光の粒子となって崩れ始めている。

命を魔力に変換している証拠だった。


「……博士、やめてください! ……死んじゃダメだ!」


蓮が、涙声で叫ぶ。


「……泣くな、蓮くん。……君は、誠一の息子だろう。……誠一も、最期まで希望を捨てなかった。……君も、決して希望を捨てるな」


天野博士が、優しく微笑む。


「……父さんの……」


「……調律者を……止めてくれ。……この世界を、君たちの手に……取り戻すんだ……」


それが、天野博士の最後の言葉だった。


「……『虚無』――最終形態・事象消滅イベント・ホライズン!」


天野博士の体が、完全に漆黒の闇へと変わり、氷室の黒い冷気の渦を包み込む。


「……な、なんだこれは……!? ……俺の魔力が……命が……消えていく……!」


氷室が、絶望の叫びを上げる。


「……一緒に地獄へ行こう、氷室」


天野博士の声が、闇の中から響く。


「……やめろぉぉぉぉっ!」


氷室の絶叫と共に、漆黒の闇が極限まで収縮し、そして――。


音のない爆発が起こった。


光も、闇も、冷気も、全てが一瞬にして消滅した。

後には、何も残されていなかった。

氷室も、天野博士も、完全にこの世界から消え去ったのだ。



静寂が戻った地下空間で、蓮たちは呆然と立ち尽くしていた。


「……博士……」


蓮が、天野博士が消滅した空間に向かって、力なく呟く。


「……嘘でしょ……。……あんなにあっけなく……」


凛音が、口元を押さえて涙を流す。


「……天野博士……。……あなたは、最後まで不器用な人でしたね……」


紗綾局長が、通信機越しに静かに祈りを捧げる。


蓮は、その場に膝をつき、拳を床に叩きつけた。


「……くそっ……! ……俺は、また誰も救えなかった……! ……父さんの時と同じだ……!」


蓮の目から、大粒の涙がこぼれ落ちる。


「……蓮……」


結月が、蓮の隣に寄り添い、そっと背中を撫でる。


「……泣くな、蓮。……博士は、自分の意志でこの道を選んだんだ。……俺たちが泣いていたら、博士の覚悟が無駄になる」


アランが、悲しみを堪えながら言う。


「……分かってる……。……分かってるけど……!」


蓮は、声を上げて泣き崩れた。


天野博士は、確かに多くの罪を犯した。

しかし、その根底にあったのは、調律者から世界を救いたいという、純粋な願いだった。

やり方は間違っていたかもしれないが、彼の想い自体は、蓮たちと同じだったのだ。


「……蓮お兄ちゃん……」


アリスが、蓮の服の裾をギュッと握り締める。


「……博士の遺言、絶対に無駄にしません。……僕たちが、必ず調律者を倒します」


透が、決意を込めて言う。


蓮は、涙を拭い、ゆっくりと立ち上がった。



その夜、蓮は自室のベッドで、天野博士の遺品として渡された古い手帳を開いていた。

それは、博士がまだ対魔局の研究所で、蓮の父・誠一と共に魔法の研究をしていた頃の日記だった。


『〇月×日

誠一の息子、蓮くんが生まれた。

誠一は「この子が大きくなる頃には、魔法なんて必要ない、平和な世界になっていればいいな」と笑っていた。

私も、心からそう思う。

我々の研究は、そのためにあるのだから。』


『△月〇日

調律者の存在に気づいてしまった。

我々は、彼らの手のひらの上で踊らされているに過ぎない。

誠一は、この事実を公表し、世界中が協力して調律者に立ち向かうべきだと主張している。

だが、それはあまりにも危険だ。

人類はまだ、その真実を受け入れられるほど成熟していない。

パニックが起き、世界は自滅するだろう。』


『×月△日

誠一が死んだ。

調律者の手先によって暗殺されたのだ。

私は、無力だった。

彼の理想も、彼の家族も、守ることができなかった。

私は、決断しなければならない。

誠一の遺志を継ぎ、調律者を倒すために。

たとえ、私が世界中から憎まれる悪魔になろうとも。

私は、教団を創る。

そして、特異点の力を集め、調律者を滅ぼす。

蓮くん、許してくれ。

君の父親を死なせてしまった、この愚かな私を。』


手帳の最後のページには、涙の跡のような染みが残っていた。


「……博士……」


蓮は、手帳を胸に抱きしめ、静かに目を閉じた。


天野博士は、誰よりも誠一を尊敬し、誰よりも蓮の未来を案じていた。

だからこそ、自らが泥を被り、世界を敵に回してでも、調律者を倒すための力を蓄えようとしたのだ。


(……博士のやり方は、間違っていたかもしれない。……でも、その想いは、本物だった)


蓮は、手帳を机の上に置き、窓の外の星空を見上げた。


(……父さん。……そして、博士。……俺は、あなたたちの想いを無駄にはしない。……絶対に、この世界を守ってみせる)


蓮の心の中で、調律者への怒りと、未来への決意が、静かに、しかし力強く燃え上がっていた。


「……ああ。……博士の想いは、俺たちが引き継ぐ。……絶対に、調律者を止めてみせる」


蓮の瞳には、深い悲しみと共に、揺るぎない決意が宿っていた。



数日後。

対魔局本部の慰霊碑の前に、蓮たちの姿があった。


慰霊碑には、これまでの戦いで命を落とした対魔局の隊員たちの名前が刻まれている。

その中には、桐島教官の名前もあった。


蓮は、慰霊碑の前に花束を供え、静かに手を合わせた。


(……桐島教官。……そして、天野博士。……あなたたちの犠牲は、絶対に無駄にしません。……俺たちが、必ずこの世界を守り抜きます)


蓮は、心の中で誓う。


「……蓮くん」


紗綾局長が、蓮の後ろから声をかける。


「……局長」


「……天野博士の遺品の中から、あるデータが見つかりました。……彼が独自に解析していた、調律者の中枢星に関する詳細なデータです」


紗綾局長が、タブレット端末を蓮に渡す。


「……これは……」


蓮が、データに目を通す。


「……博士は、中枢星の防衛システムや、調律者の本体が存在する『コア』へのルートを、完全に特定していました。……彼は、いつか君たちが中枢星に乗り込む日のために、このデータを残してくれていたのです」


「……博士……」


蓮は、タブレット端末を強く握り締める。


「……このデータがあれば、中枢星への突入作戦の成功率は飛躍的に上がります。……博士は、最期の最期まで、私たちのために戦ってくれていたのですね」


紗綾局長が、感慨深げに言う。


「……ええ。……博士の想い、確かに受け取りました」


蓮が、力強く頷く。


「……さあ、行きましょう。……最終決戦の準備が、私たちを待っています」


紗綾局長が、歩き出す。

蓮たちも、その後を追う。



対魔局本部の地下にある、シロの専用ラボ。

そこでは、天野博士が遺したデータの解析が急ピッチで進められていた。


「……シロ、解析の進捗はどうだ?」


蓮が、ラボに入りながら尋ねる。


「……あ、蓮さん。……今、ちょうどメインデータのデコードが終わったところです」


シロが、無数のモニターに囲まれたコンソールから顔を上げる。


「……何か分かったか?」


「……はい。……天野博士のデータは、私たちが想像していた以上に詳細なものでした。……中枢星の正確な座標、防衛システムの配置、そして……調律者の本体が存在する『コア』への最短ルートまで、全て記録されています」


シロが、モニターに中枢星の立体ホログラムを表示する。


「……これが、中枢星……」


結月が、ホログラムを見上げて息を呑む。


「……博士は、教団のネットワークを使って、長年にわたり中枢星の情報を収集していたようです。……そして、その情報を元に、中枢星を内部から破壊するためのシミュレーションを何度も繰り返していました」


シロが、ホログラムの一部を拡大する。


「……ここが、中枢星の『コア』です。……博士のシミュレーションによれば、このコアを破壊すれば、中枢星の機能は完全に停止し、調律者の計画も頓挫するはずです」


「……なるほど。……だが、そこへ辿り着くには、相当な数の防衛システムを突破しなければならないだろうな」


アランが、腕を組みながら言う。


「……ええ。……特に、コアの直前には『最終防衛ライン』と呼ばれる、極めて強力な防衛システムが存在するようです。……博士のデータにも、その詳細までは記録されていませんでした」


シロが、険しい表情で言う。


「……最終防衛ラインか……。……どんな敵が待ち受けていようと、突破するしかない」


蓮が、共鳴剣の柄を握り締める。


「……それに、私たちには特異点の力がある。……四人の力を合わせれば、絶対に突破できるはずよ」


凛音が、力強く言う。


「……ええ。……博士が遺してくれたこのチャンス、絶対に無駄にはしません」


透も、決意を新たにする。


「……シロ、引き続きデータの解析を頼む。……突入作戦の具体的なプランを立てる必要がある」


蓮が、シロに指示を出す。


「……了解しました。……全力でサポートします!」


シロが、力強く頷く。


黒の教団は解体され、過激派の脅威も去った。

しかし、真の敵である調律者との戦いは、これからが本番だ。


天野博士の遺したデータという、最大の武器を手に入れた特務部隊。

彼らの眼差しは、遥か彼方、宇宙の深淵に潜む中枢星へと向けられていた。



その日の深夜。

蓮は、対魔局本部の屋上で、一人星空を見上げていた。


「……眠れないの?」


背後から、結月の声がする。


「……結月か。……ああ、少しな」


蓮が、振り返って微笑む。


結月は、蓮の隣に並び、同じように星空を見上げた。


「……博士のこと、まだ引きずってる?」


結月が、静かに尋ねる。


「……引きずってないと言えば、嘘になる。……でも、もう迷いはないよ。……博士が命を懸けて繋いでくれたこのチャンス、絶対に無駄にはしない」


蓮が、星空を見つめたまま言う。


「……そうね。……私たちには、やるべきことがある」


結月が、蓮の手に自分の手を重ねる。


「……結月」


「……私ね、蓮くんと出会えて、本当に良かったと思ってる。……蓮くんがいなかったら、私は今でも、感情を失ったまま、ただ戦うだけの機械だったかもしれない」


結月が、蓮の顔を見上げて微笑む。


「……俺の方こそ、お前がいてくれたから、ここまで来られたんだ。……お前が隣にいてくれるだけで、俺はどんな困難にも立ち向かえる気がする」


蓮が、結月の手を強く握り返す。


「……蓮くん……」


結月の瞳が、潤む。


「……この戦いが終わったら、一緒に色んなところに行こう。……お前が見たことのない景色を、たくさん見せてやる」


蓮が、結月の肩を抱き寄せる。


「……うん。……約束よ」


結月が、蓮の胸に顔を埋める。


二人は、しばらくの間、言葉を交わすことなく、ただ互いの温もりを感じ合っていた。


調律者との最終決戦は、すぐそこまで迫っている。

その戦いがどれほど過酷なものになるか、誰にも分からない。

しかし、今の二人には、互いを信じ、共に未来を切り拓くという、揺るぎない絆があった。


「……さあ、戻ろう。……明日は、いよいよ突入作戦のブリーフィングだ」


蓮が、結月の肩から手を離し、微笑む。


「……ええ」


結月も、力強く頷く。


二人は、星空に背を向け、屋上を後にした。


世界の命運を懸けた、最後の戦いが、今、始まろうとしていた。





【第49章終了】



ここまで読んでくれてありがとうございました!


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