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転生したらしいよ?  作者: 田舎モン
第3章
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第69話 待ちに待った

こちらも久し振りの更新



「はぁっ!!」


振るった剣は僅かな抵抗も感じさせる事無く迫っていたシルバーファングの首を跳ね飛ばし、一拍置いて噴水の様に鮮血を吹き出す。



「エミリア! ジュリ!」


「うん!」

「はい!」


俺の言葉に、二人一組で行動させていたエミリアとジュリが互いにカバーしながら一頭のシルバーファングを切り捨てる。


それを確認しつつ俺は魔法を展開、フレアボムを三個生成して離れた場所で此方を伺っていた三頭のシルバーファングへと飛ばした。


二頭は爆炎に包まれ絶命するが、一頭は寸での所でかわして此方に駆け出して来た。


剣を構えて迎え撃とうとしたが後ろから魔力を感じ、考えるより先にその場に伏せると俺の頭上を風の刃が駆け抜けた。


俺の後方にいたアーリアさんの放った魔法、ウィンドカッターは向かって来ていたシルバーファングの身体をそのまま縦に一刀両断する。



「辺りを警戒して、油断しないで」


アーリアさんの言葉に俺達は剣を構えたまま周囲を見渡す。


暫しの間、やがてアーリアさんが息を吐く。



「周囲に気配はもう無いわ、皆お疲れ様」


その言葉を聞いてようやく俺達も大きく息を吐いた。


エミリアに至ってはその場にへたりこんでしまった為、俺は傍へと行く。



「エミリア、お疲れ様」


「つ、疲れた……」


「数が多かったからね、でも動きは前とは比べ物にならないくらい良くなってるよ」


「本当!?」


「あぁ、本当だよ」


そう言ってエミリアの頭を撫でてあげると途端にエミリアは嬉しそうに目を細める。


うん、今日も可愛いな。



「あ、あの、アル様、私は……」


「えっ? 勿論ジュリも、やっぱり頼りになるよ、エミリアとの連携も上手く取れてるし」


「そ、そうですか……」


一応褒めたつもりだったが、ジュリは何処と無く喜んでいないみたいだ……あぁ。


そっとジュリの頭に手を置いて撫でてあげた。



「っ……! あぁ、幸せです……」


「そ、そうか……」


とろんとした目をするジュリにどう反応して良いのか分からず、苦笑するしか出来ない。


そんな微妙な表情を浮かべていると後ろから抱き締められ、後頭部に今となっては既に慣れてしまった柔らかい感触が押し付けられた。



「アルファンド君も良い動きだったわよ、半分近くはアルファンド君が倒したし」


「あ、ありがとうございます、でも最後の一頭は仕留め損ねてしまいましたし、まだまだ実力不足ですよ」


「もう相変わらずねぇ、もっと自信を持ちなさい」


「自信を持つのも大切なのはわかるんですけど、慢心は良くないと思いますし……というかいつまで抱き付いているんですか?」


「……とにかく自信を持ちなさい、アルファンド君なら大丈夫よ」


あ、はぐらかされた。


でも本当にいつまで抱き付いているんだろうか? 慣れはしたけど俺だって男な訳で、ずっとこの柔らかい感触を当てられてると色々と辛いものがある。



「とりあえず一度離れて下さい、早く討伐証明を剥ぎ取って帰りましょうよ」


身体を捩りアーリアさんの抱擁から抜け出し、アーリアさんにジト目を向けていた二人を促してから討伐したシルバーファングへと近付く。


魔物の討伐依頼を受けるに当たり、その依頼の魔物を討伐した証明として指定されている部位を剥ぎ取ってギルドへと持ち帰る事が必要なのだ。


今回のシルバーファングは牙と尻尾がその討伐証明の為に四人で辺りに転がる死体からそれぞれ剥ぎ取って行く。


初めはエミリアが死体から剥ぎ取るという行為に抵抗があったのだが、ジュリに冒険者になる事を決めたのだからと諭されてからは考えを改め、今では手際よく剥ぎ取りが出来る様になった。



「っと、これで全部かな?」


「そうね、予定より早く終わったから夕方までには街に戻れそうだから少し休んだら行きましょうか」


アーリアさんの言葉に三人で頷き、死体の転がるこの場所から離れた。


倒した魔物の臭いを嗅いだ別の魔物が現れる事もある為に、休むのは離れた場所で、これは冒険者として常識らしい。


まあ確かにそうだと思うし、死体の転がる血生臭い場所で休む気にもならないのも事実だ。









あれから休憩を終え街へと戻って来た俺達はギルドに依頼完了の報告と討伐証明である魔物の素材を渡し、確認をして貰ってる間酒場のテーブルを囲んでいた。



「さて、恐らくだけど今回の依頼でランクの昇格試験が受けられると思うわ」


「本当ですか?」


「えぇ、とは言っても私達三人だけで、貴女はまだ先になると思うけど」


アーリアさんが視線をジュリに向ける。


ジュリはその視線を受けて静かに頷いた。



「それは分かってるわ、でも私は構わない、私はこのチームに入れて貰った身だし同じランクになった方がこれから先の依頼もスムーズに受けられると思うから」


「そう、分かってるなら良いわ」


「ありがとうジュリ」


「良いのよ、それにエミリアとこれからも一緒に依頼を受けたいから、同じランクになるのは嬉しいの」


「っ~! ジュリ!」


「きゃっ!?」


ジュリの言葉に、エミリアは満面の笑みを浮かべながらジュリに抱き付いた。


突然の事にジュリは慌てるが、エミリアは関係無しという様に頬擦りまでしている。


あんな事があったけど、こんなに仲良くなって本当に良かった。



「……ジュリ、ありがとう」


「っ……! わ、私なんかにお礼なんて……!」


「いや、礼くらい言わせてくれよ、こんなスムーズに依頼が成功出来てるのは間違い無くジュリのお陰だし、エミリアも毎日楽しそうなのもジュリのお陰だよ」


「あ、あぅ……」


「あらあら随分とべた褒めね?」


隣からアーリアさんが頬を膨らませながら訴えて来る。



「そうですか? でもアーリアさんだって勿論感謝していますよ、俺とエミリアだけじゃ右も左も分からないけど、アーリアさんがいてくれるからこうして冒険者をやれるんですから」


「アルファンド君……!」


「……その直ぐに抱き付いて来る癖とかが無ければ素直に尊敬出来るんですけどね」


俺の頭をその豊満な胸元に強く抱き締めるアーリアさん、この世の物とは思えない程の柔らかい感触が俺を包む。


しかし、こんな他の冒険者が沢山いるギルドでそんな事をすると色々と困るのだ。


現に周囲の冒険者、主に男の冒険者から殺気の籠った視線が俺に突き刺さっている。


俺は悪くない、俺を睨まないで欲しい。



「ア、アル! 私は!?」


二人だけを褒める形になってしまった為にエミリアが今にも泣きそうな顔で必死に尋ねて来る。



「エミリアも勿論感謝してるよ、俺だけだったら不安だったしエミリアには何度も助けられてるし、俺の為に一人で村から来てくれて、本当にありがとう」


「アル……!」


エミリアは満面の笑みを浮かべて正面から抱きついて来る。


アーリアさんとエミリアに挟まれる様にして抱きつかれる事により、先程よりも更に殺気の込められた視線が集まる。


俺は悪くない、こっち見んな。



「あ、あの……」


後ろから控え目に声を掛けられた。


視線をそちらへ向けると、マリーさんが何とも言えない表情で俺達、正確には二人から抱きつかれている俺を見ていた。



「……マリーさん、とりあえずそんな目で見ないで下さい」


「あ、ごめんなさい! あの、三人にお伝えしたい事がありまして、今回の依頼達成で三人にはランク昇格試験が受ける事が出来ます」


来た、先程アーリアさんが言っていた昇格試験の話だ。



「その、確認なんですけど、三人共受けますよね?」


「勿論です、今回はきちんと受けますよ」


「よ、よかったです。 では昇格試験の日程ですが、二日後にギルドの地下演習場に集まって下さい」


「演習場にですか?」


「はい、Eランクへの昇格試験は地下演習場で一対一の試合形式によるものです。 試合とは言っても勝敗は関係無く、動きを見るものですのでそこは心配ありません」


何て言うか、思ったよりも簡単なものなんだな、昇格試験って。


もっとこう、難しい依頼を受けるとかだと思ってたからちょっと拍子抜けだ。



「とは言っても、貴方とアーリアはそれなりの結果を出して貰うから真剣にやってね?」


マリーさんの後ろからいつの間にやって来たのかフロワさんがそんな事を言って来た。


全然気配を感じなかったんだけど……。



「何でよ? 別にEランクの昇格試験くらいぱぱっと終わらせたら良いじゃない」


「あのね、アルファンド君と貴女は特例なのよ、他の冒険者と一緒の条件でやらせるだけでも譲歩してるんだから負けるとは思っていないけどそれなりの結果を出して頂戴、それとも不安?」


「ふん、私とアルファンド君が負ける筈無いじゃない、そんな事言ってる暇があるなら治癒魔法が使える奴を一人でも多く集めたら?」


「……お願いだから昇格試験で死人は出さないでよ?」


フロワさんは割りと本気で言っている、俺は流石に加減はするつもりだけど、アーリアさんが腹いせに本気を出さないとは限らない。


まぁ大丈夫だと思うけど……大丈夫だよな?



「本当にお願いよ? じゃあ二日後、試験内容は今言った通りだから頑張ってね」


それだけ言ってフロワさんは立ち去っていった。


その後ろ姿を見てマリーさんも一度俺達に深く頭を下げると同じく立ち去った。


残された俺達は一度顔を見合わせ、早々にギルドを後にした。




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