第68話 新たな悩み
久し振りの更新になりました。
まだ読んで頂ける方がいると信じて頑張ります。
「久し振り、アーリアさん」
「どうも」
テーブルへとやって来たアーリアさんを見て、マイラさんが声を掛ける。
ちなみにまだアーリアさんは俺を抱き締めたままで、エミリアとジュリの視線が何とも恐い。
「……アルファンド君から聞いたわ、剣の相手になってくれたみたいで、ありがとう」
「良いのよ、私も彼とは一度手合わせしてみたかったから、でも本当に強かったわ」
何とも言えない表情で俺を見るマイラさん、アーリアさんも視線を落とし見てくる。
「えぇ、本当に強いわ」
「あの、そんな事無いですよ? 結果的に負けましたし、まだまだ弱いです」
「アルファンド君? 謙遜するのも良いけど、時と場合によっては失礼に値するから素直に受け取る事も大事よ?」
「そうそう、貴方が弱いって言ったら僅差だった私の立つ瀬が無いわ」
そ、そういうものだろうか?
うーん、あんまり自信を持つ事が出来ない。
悩む俺の頭に手が置かれる、視線を向けるとアーリアさんが笑みを浮かべながら俺の頭を撫でていた。
「自信を持ちなさい、貴方は強い、私が保証するから事実よ」
「……ありがとうございます」
確かにアーリアさんにそう言われると嬉しい、恐らくはこの中で一番強いのはアーリアさんだ。
俺に気を遣っているかもしれないが、言われた通り素直に喜ぼう。
「本当はアーリアさんとも手合わせしたいんだけど、今日はそろそろ帰るからまたの機会にお願いしても良いかしら?」
「……あまりそういうのは好きじゃ無いんだけど、考えておくわ」
「ふふっ、じゃあ私はこれで、またね」
立ち上がり、手を振りながらマイラさんは去って行った。
残された俺達はそのままテーブルへと戻る。
「さてと、先ずはアルファンド君の剣が無事に治った事だしこれからの事を話すわね」
アーリアさんの言葉に、俺達は表情を引き締める。
「早速だけど明日から依頼を受けて行くわ、とは言ってもFランクの内はあまり大した依頼を受けられないから地道に数をこなす必要があるけど」
「具体的にFランクの受けられる依頼ってどういうものがあるんですか?」
「初めは薬草採取や下位の魔物の討伐で、そこからある程度実力を見込まれるとランクアップ試験がギルドから通達されます」
俺の問いに答えたのはジュリだ。
成る程、数をこなすってのはそういう事か。
「ちなみにジュリはどれくらいでランクアップを受けたんだ?」
「私は数件しか受けていませんね、偶々一緒に依頼を受けた冒険者の中に上位ランクの冒険者がいて、ギルドに話をしたらしいです……それに私は、上位ランクの冒険者を何人か負かしていましたし」
やや恥ずかしそうに頬を染めながらそう言ったジュリだが、俺は納得してしまう。
確かCランクにも一度勝ったと言ってたし、実力だけなら誰しもが納得出来るものを持っている。
「今回はそうは行かないでしょうから、私達は地道に行きましょう」
「分かりました」
「じゃあ準備をして明日の早朝にここに集合でいいわね?」
アーリアさんの言葉に俺とジュリは頷いたが、エミリアが難しい表情で黙ったままである事に気が付いた。
「エミリア、どうした?」
「えっと……私達、もうパーティーを組んで、仲間になったんだよね?」
「ん? まあ、そうだけど……」
「それなのに、わざわざここに集まらなくちゃいけないのはちょっと不便だと思うの」
……まあ、確かにエミリアの言う事は一理あるけど、そればかりはしょうがないと思うんだけどなぁ。
「だからね、ジュリもあの宿に一緒に住めないかな?」
……ん? んんっ!?
「な、何でそうなるんだ!?」
「だって、その方がジュリもわざわざこことかどこかのお店に集まってから話をしなくても済むよ?」
「いや、冒険者なんだからギルドとかで作戦を立てるのは普通だろ!?」
「でも一緒に住んだ方がもっと簡単だよ?」
「か、簡単って……そもそもあの部屋に人を増やすのは……」
「……一応、ちゃんと申請すれば増やせるわよ? その分の代金を払えばベッドも増やせるし、元々広い部屋だから」
……アーリアさん? どうして俺の退路を塞ぐんですか?
「……ジ、ジュリだっていきなりそんな事言われても、引っ越しとか急には無理だろうし、そもそも男と一緒に暮らすなんて絶対に無理だろ……」
「わ、私は、アル様と、二人が良いのなら……」
な、何で……。
おかしいだろ!? 年頃の女の子が……いや、俺も一応は同い年になるけども! それにしたってそんな簡単に引っ越そうと思うのか!?
「……やはりアル様は、私なんかと住むのは嫌、ですよね」
うっ……。
な、何でそんな泣きそうな顔するんだよ!? 俺がわるいのか!?
「ねぇアル、私からもお願い」
エ、エミリアまでそんな顔……。
「……はぁ、アルファンド君? 女の子二人にここまで言わせてるのだけれど?」
退路を、完全に断たれた。
「アル……」
「アル様……」
「アルファンド君……」
そ、そんなぁ……。
「じゃあこれがもう一人分のベッド、追加の宿代は受け取ったので」
「はい、無理を言ってしまってすみません」
「いえいえ、お客様が増えるのはとても嬉しい事ですから構いませんよ」
女将さんとアーリアさんの会話が聞こえて来る。
そんな中で俺はベッドに座りながら頭を抱えていた。
「アル、大丈夫?」
「アル様、具合が悪いのですか?」
俺を心配してか、エミリアとジュリがそれぞれ両側から声を掛けて来る。
あぁ、どうしてこうなったんだ……。
エミリアとアーリアさんの異性二人と相部屋ってだけで毎日が生き地獄と言っても過言では無い状況だったのに、更にジュリが追加されるなんて。
俺、今日から大丈夫かな……?




