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転生したらしいよ?  作者: 田舎モン
第3章
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第53話 沸々と、沸き上がるそれは



受付に行って水を受け取り、少し話をしてから演習場へと戻って来ると演習場に漂う異様な雰囲気に違和感を感じた。


何だ……?


視線を巡らせ、目に飛び込んで来た光景を見て愕然とした。


エミリアが、見ず知らずの少女に踏みつけられ今まさに剣を振り下ろされる所だったのだ。


魔力がまるで爆発したかの様に吹き出し、体に風を纏い最初の一歩目から最大速度に到達する。


そのまま周囲にいた他の冒険者達の間を抜けてエミリアの元へと走り、振り下ろされた剣を掴んだ。


模擬剣だった事が幸いだった、少々痛むが剣を受け止める事が出来たから。


まあ、例え真剣だったとしても無理矢理にでも止める覚悟だったが。



間に合った……良かった……。


安堵の息を吐きそうになるが、倒れるエミリアを見て逆に息を呑んだ。


髪は乱れ、体中土埃で汚れており素肌の見える腕には痛々しい痣がいくつも出来ている。 恐らく腕だけで無く体にも同じ様に痣が出来ているだろう。


そして目からは止めどなく涙が溢れている。


体の中が、一気に冷めて行くのを感じた。


何故こんな酷い事を……エミリアが泣いているじゃないか……もし俺が間に合わなかったら、いくら模擬剣と言えども大怪我だぞ? しかも今狙っていたのは確実に頭部だ……。


覚悟は……出来てるんだろうな……?



「……おい、何をしてるんだ?」


自分でも驚く程に低い声が出た。


俺の問いに、目の前の少女は一瞬だけ戸惑う表情を浮かべたが表情を変えて俺を正面から見つめる。



「初めまして、よね?」


「……そうだな、少なくとも俺はお前を知らない」


「私はジュリ、冒険者よ」


「別に名前何てどうでもいい、何をしてるんだ?」


「っ……私はただ、そいつに教えていただけよ!」


俺のどうでもいいという言葉に一瞬言葉を失うが、直ぐに鋭い目付きでエミリアを睨んでそう叫んだ。



「教えていた? 何を?」


「貴方、この間あのオルガと互角に闘っていたでしょ? 冒険者になったばかりのFランクなのに、そんな天才の貴方にそいつは弱い癖に一緒にいたいなんて抜かすから、だから……!」


「黙れよ」


掴んでいた剣を押し返す様にして離すと、剣を持っていた少女もまた後ろに押される様に下がった。



「俺は別に天才でも何でも無い、今お前が言った様にFランクの、ただの見習い冒険者だ」


「それは違う! 貴方は数年、数十年に一人の逸材よ!? それなのにそんな弱い奴に構っていたら宝の持ち腐れ! 才能を生かす為にもそんな奴より私と組みなさい! 私はまだEランクだけどそこらの上のランクの奴等になら負けないぐらい腕に自信がある! 直にランクアップ試験を受けられるぐらいに! だから私と組んで上を目指すのよ!」


こいつは、何を言っているんだろうか?


確かにランクを上げる事は必要でその為に剣を治して貰い、受け取ったら直ぐに依頼を受けるつもりだ。


しかし何故ランクを上げるのにこの初対面の見ず知らずの奴と組まないといけないんだ?


冗談にも程がある。


それに、例え俺よりランクが上で実力は申し分無いとしても、俺はこいつを許せない。


直ぐにでも殺してやりたいが、今は先にやらなければならない事がある。



「……エミリア、大丈夫か?」


目の前のジュリと名乗った少女から視線を外し、いまだに倒れたまま立ち上がる事の出来ないエミリアへと寄り添う。



「っ……ア、アル……ごめ、なさい……!」


何があったのか俺にはわからない、しかし堪える事が出来ずに止めどなく流れる涙を見て沸々と怒りが沸き上がる。



「謝るなよ、別にエミリアは何も悪くないだろ?」


「うっ……私が、弱いから……アルに迷惑を掛けて……本当は、私よりも強い人の方が……」


「それ以上言うと怒るぞ」


そっと抱き起こすと怪我が痛むのか顔をしかめるエミリア、少々申し訳ないが仕方ない。


魔力を込めるとエミリアを支える手から淡い光が放たれる。


治癒魔法ヒールにより、エミリアの体の怪我を治して行く。


怪我は直ぐに癒え、痣は跡も残らずに消えた。



「エミリア、他に怪我は?」


「ごめん……ごめん、なさい……」


「謝るなって言ってるだろ?」


「私……弱いのに……アルの隣にいる資格なんて、無いのかな……」


その言葉に、おおよそだがエミリアがジュリに何を言われたのかがわかった。


ジュリは腕に自信があると言った。 性格も話を聞く限り傲慢なのは容易に想像出来る。


そんなジュリはエミリアに喧嘩を吹っ掛け、そして勝ったのだろう。


そしてエミリアに全く根拠の無い、俺と一緒にいる資格が無いだとかそんな事を言ったのだろう。


少し他の奴等より強いからと言って、よくもまぁそんなに偉そうになれるものだ。


あぁ……本当に……。




目障りだな、この女。




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