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転生したらしいよ?  作者: 田舎モン
第3章
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第52話 キャットファイト



「やあっ!!」


先手必勝、私は上段から剣を振り下ろした。


負けない、私は絶対に負ける訳にはいかない!


アルから太刀筋は良くなって来ていると言われているから迷う事無く剣を振る。



「……ふん」


甲高い音と共に、私の剣は止められた。


手が痺れる。


思わず目を見開いてしまう、それ程力を込めている様には見えないのに、私の剣を意図も容易く受け止め全く微動だにしない。



「ねぇ、それが全力なの?」


「っ……やあっ!!」


剣を一度引き、続けざまに剣を振るった。


上段から下段、下段から上段、横凪ぎの一閃、しかしどれも全て防がれる。


嘘……こんな簡単に……?



「ほらほら、もう終わりじゃないでしょう? 早くしないと……私から攻めるよ?」


防御から一転、剣を振るって来た。


慌てて剣を構えて防いだのにも関わらず、私の剣は簡単に弾かれた。


そのまま追撃の一撃が容赦無く私の脇腹へと激痛と共に襲い掛かった。



「かはっ!?」


真剣じゃないから切れる事は無い、でもその一撃で思わずその場に踞ってしまう。



「えぇっ? もう終わりなんて言わないでしょうね? まだまだこれからなんだから、立ちなさいよ!」


踞る私に再び襲い掛かる剣、痛みに耐えながら私は後ろに転がる様にして何とか避ける。


続けざまに繰り出される剣を何とか防ぐが、避け切れずに何度か剣が脇腹や肩、腕を襲う。


完全に防戦一方だった。


何とか反撃をと考えたけど、次の瞬間には鋭くお腹を蹴り上げられる。



「あぐっ……!?」


何とか剣を手放す事はしなかったけど、土埃を上げながら二、三度後ろに転がる。


沸き上がって来る吐き気と鈍い痛みに耐えながら立ち上がろうとする私の胸に足が乗せられ、そのまま強く体重を掛けられる。



「っ、ぐっ……うぅ……!」


「弱い、弱すぎるわねぇ! そんなんであの人と一緒にいるなんてよく言えるわ!」


「知らない……貴女に、私とアルの事を言われる筋合いなんて、無いんだから……!」


「口だけは達者みたいね! でもこれが現実、確かに私が決める筋合いは無いんでしょうけど、あんたは言われるくらい弱いのよ! そんなあんたがあの人と一緒にいたいなんておこがましいにも程があるわ!」


更に強く踏みつけられ、苦しさから呻く事しか出来ない。



「この間ここであのAランクのオルガと互角に闘っていたのを見て思わず感動したわ! 冒険者になったばかりのFランク冒険者なのに、天才って言うのは正にあの人みたいな存在なんだって! そんな天才と一緒にいるのがあんたみたいな何も出来ない弱い奴なんて許されると思ってるの!?」


彼女の目に込められているのは、アルへの憧れと私に対する嫉妬、怒りだ。


私の意思に反して、目からは止めどなく涙が溢れる。



悔しい……どうして私はこんなに弱いの……? やり返す事も出来ず、好き放題に言われても何も出来ないの……?


私には、アルの隣にいる、一緒にいる資格は無いの?



「……もう少しやるかと思ってたけど、本当にがっかりだわ。 これで終わりね」


ゆっくりと、剣が振りかぶられる。


狙っているのは、顔だろう。


いくら模擬剣とは言っても、顔を狙われたらただでは済まない。


しかし体は踏みつけられている事と、先程からの痛みにより動かない。


私はただ振りかぶられる剣を見ている事しか出来ない。



「なぁ、あれ不味くないか?」

「けど冒険者同士の事に一々首を突っ込む訳には……」

「それに相手はよりによってあいつだろ? 俺達じゃどうしようも無いぞ?」

「あのお嬢ちゃんには気の毒だけど、相手が悪かったな」

「生憎今ここにいるのは俺達だけだしな、上のランクの奴は皆依頼で出払ってるし」


遠くで見ていた他の人達の会話が聞こえる。


会話を聞く限り、助けてくれる人はいないみたいだ。


痛いだろうな……どれくらい痛いかな……アルとアーリアさんに迷惑掛けちゃう……。


それに何より、悔しいな……。


涙で、視界がぼやける。


そんな私を冷たく見下ろしながら、彼女は剣を振り下ろした。


迫る衝撃に身構え、目を強く閉じた。





しかし、待っても待っても衝撃は無かった。


一体どうして?


恐る恐る目を開くと、目前まで迫っていた剣を誰かが掴んで止めていた。


その黒髪が特徴の後ろ姿、見える横顔は怒りからか酷く冷たい目をしているけれど間違いなくアルだった。



「ア、アル……」


私の呼び掛けに答える事無く、アルは剣を持ったまま彼女を睨み付けていた。




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