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転生したらしいよ?  作者: 田舎モン
第3章
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第44話 先行投資



あの後、剣をダグさんに預けて俺達は他の商品、主に防具を見ていた。



「これなんてどうかしら?」


アーリアさんがそう言って指差したのは革製の素材を使用した、所謂レザーアーマーと言われる防具だ。


金属製の防具と違って軽いため動きが余り阻害されないが、防御面では劣る。



「うーん……確かに革製は軽いから動き易そうですけど」


「アルファンド君は速さを生かした方が良いから、金属製の物は余り合わないと思うのだけど」


「それは俺も考えました。 でも防御面で心許ない気がするんですよね」


腕を組んで悩む俺に、アーリアさんも一緒に悩んでいる。


ちなみにエミリアはリングメイルという金属の輪っかを幾つも繋ぎ合わせた防具を選んだ。


レザーアーマーよりも少し重いが、駆け出しの冒険者の定番とも言える防具で使い勝手も良い。


それは特に悩む事無く決まったが、問題は俺の防具だった。


まあ、最初からそんなに贅沢は出来ないのはわかっているのだが自分の身を守る物だからやはり簡単には決められない。



「……ならこいつはどうだ?」


悩む俺を見て、突然ダグさんが棚の下から頑丈そうな箱を取り出した。


何だろうか? 首を傾げた俺に、ダグさんは箱を開けて中身を俺に差し出した。


取り出したそれは白銀の、見た目は普通のリングメイルだ。 しかしエミリアのリングメイルと違い目がとても細かく、一見ただの服の様にも見える。



「それは?」


「こいつはミスリルで出来た特殊な鎧下だ。 こいつを着てからレザーアーマーを身に付ければ、下手な金属製の防具よりも攻撃を通さないぞ」


「ミスリル!?」


ミスリルだって!? それってファンタジーの世界では定番の、目茶苦茶貴重な金属の筈だ!


流石のアーリアさんも目を見開いてダグさんを見ている。



「何だ、不満か?」


「まさか! でもいくら何でもそんな貴重で高価な物は流石に……」


「気にするな、こいつは俺からの餞別だ。 さっきの事はこいつで許してくれや」


「さっきの事って、別に気にしてませんし例えそうだとしてもこれは高価過ぎますよ!」


「だから良いって言ってんだろ?」


いやいや!? いくら何でもそれは申し訳無いって!



「それにこいつは俺の勘だが、お前はいずれAランク冒険者まで登り詰めると思ってる。 だからそんな将来有望なルーキーに、先行投資って奴だ」


先行投資にしては奮発し過ぎじゃないのか!?


ニヤリと笑うダグさんに、俺はもう何と言えば良いのかわからずにただただ慌てる事しか出来ない。



「それにな、この店は見ての通り誰も来やしねぇ、俺がこいつを使う事も無いから宝の持ち腐れって奴だろ?」


誰も来ないのはダグさんのせいじゃ?



「それならお前みたいな奴に使って貰った方がこいつも喜ぶだろうよ……だから、受け取ってくれや」


今までのニヤニヤとした表情から一転、真剣な表情になるダグさんに俺はもう何も言えなかった。



「……わかりました」


ダグさんから、ミスリルの鎧下を受け取る。 全く重さを感じない、とても軽い物だった。



「大切に、使わせて頂きます」


「おう! そうしてくれ!」


ダグさんは豪快に笑いながら俺の肩を叩いた。


叩かれた肩は痛いが、嫌な気はしない。



「まあお前なら大丈夫だと思うが、あんまり無理はすんなよ? 今度は剣じゃなくてその鎧下が壊れたって言われても俺は直せねぇからな」


「いやいや、流石にこれを壊すなんて出来ないですよ」


「わかんねぇぞ? またAランクに喧嘩売ったりとかな」


「だから売ってませんてば!」


俺の言葉にダグさんはまた豪快に笑うのだった。




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