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転生したらしいよ?  作者: 田舎モン
第3章
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第39話 違い



大通りを歩いていると、露店の並ぶ地区へと通り掛かった。


大半が飲食店らしく、あちらこちらから良い匂いが漂って食欲を刺激する。


そう言えば、今は夕方だが朝食べてから何も食べて無かったな。



「二人とも、お腹が空いてるんじゃないかしら?」


アーリアさんもその事に気付いたのか、俺達に尋ねて来た。



「あ、そうですね、正直腹ペコです」


「ふふっ、じゃあ何か食べましょうか、宿で夕食を取るから軽い物になるけど」


全然構わない、こういう露店の並ぶ通りは初めてだし先程から視線をあちこちにさ迷わせていたから。



「そうね……あの店はどうかしら?」


アーリアさんが指差す先には、甘い香りを漂わせる店先に鉄板のある店だった。



「ふわぁ……良い香り……」


エミリアが目を輝かせながら呟いた。


やっぱり女の子は甘い物が好きなんだな、アーリアさんも表情が明るい。


まあ、アーリアさんは女の子って年齢じゃないか……。



「アルファンド君? 何か失礼な事を考えなかった?」


「え? そんな事無いですよ?」


何でわかったんだ!? 俺全く顔に出していない筈だったよな!?


何とか普段通りの表情で誤魔化したけど、やっぱり女性は恐い。


いや、恐いって言ったらそれこそ失礼だけど、恐いです。



「あれはパンケーキのお店よ、甘くてとても美味しいの」


おぉ、この世界にもパンケーキってあるのか?


あってもおかしくは無いだろうけど、前の世界の料理があるのは知らなかった。


早速店の前に行くと焼きたてのパンケーキがずらりと並んでいた。



「いらっしゃい!」


大きな声で出迎えたのは厳つい顔付きのおじさんだった。


うん、似合わない。



「パンケーキを三つ貰えるかしら?」


「あいよ! 一つ150ギルだ!」


この世界の相場がわからないから高いのか安いのかわからないが、ちょうど良いからエミリアに問題を出すか。



「エミリア、一つ150ギルを三つ買ったら合計は?」


「えっ? えっと……450ギル!」


「うん、正解」


エミリアもこれくらいの足し算なら簡単に出来る様になっていた。


成長したなぁ……別に親でも無いけど、エミリアのちょっとした成長が嬉しい。



「おぉ!? 凄いな嬢ちゃん、紙にも書かずにわかるのか!?」


やっぱり、この世界の人達は暗算が出来ないんだよな。


こうして店をやってる人や商人にはキツい言い方かもしれないけど、よくそれで商売が成り立つものだ。



「うん! だってアルが教えてくれたから!」


「アル? それって、そっちのお嬢さんか?」


エミリアの言葉におじさんはアーリアさんへと視線を向ける。


まあ、確かにそう考えるよな。



「あら、私じゃなくてこの子よ?」


「この坊主が? いやいや、俺をからかうのはやめてくれ、いくら何でもそんな訳が」


「むっ……アルは凄いんだからね!」


「エミリア、落ち着いて」


むきになるエミリアを宥める。


そりゃあ誰だって信じられないだろうからおじさんの反応はわかる。



「まあいいか、それじゃあパンケーキが三つだ」


おじさんから紙に包まれたパンケーキをそれぞれ受け取り、代金を払って俺達は店を後にした。



「もう! アルから教えて貰ったのは本当なのに!」


「しょうがないって、子供が計算を教えられるなんて誰も思わないだろうし、別に俺も気にして無いからさ」


店を後にしてからもエミリアは頬を膨らませながら先程のおじさんに対する憤りを露にしている。



「アルはそれでいいの? あそこで言い返していたらわかって貰えた筈なのに」


「ん? 別に気にして無いし、それにエミリアはちゃんとわかってくれてるだろ? 俺はそれだけでいいよ」


「あぅ……」


膨らむ頬を指でつつきながらそう言うと、エミリアは黙り込んでしまった。


それより今はこのパンケーキだ。


紙に包まれたパンケーキは焼きたてなだけあってまだ温かく、甘い香りが鼻孔を突いて来る。


早速頂こう。



「いただきます」


一口、パンケーキにかじりついた。


……ん?



「どう? 美味しいでしょう?」


隣からアーリアさんが尋ねて来るが、俺は何も答えずに黙り込んだまま手にしたパンケーキを見ていた。


香りからわかる様に甘いし味も美味しいと思う、だけど……食感が柔らかく無い。


いや、柔らかいんだけど、何て言うかふっくらと焼き上がっていないんだ。



「アルファンド君?」


「え? あ、とても美味しいですね」


何とか誤魔化したが、前の世界のパンケーキを想像して食べたから物足りないと感じてしまった。


あの店だけか? いや、アーリアさんは何も気にしている様子は無いからどこもこんな感じなのだろう。


つまりはこの世界のパンケーキはこれが当たり前なんだ。


うーん、ちょっと残念。


味は悪く無いから、何とかなる筈なんだよな。


……ちょっと、試してみるか。


パンケーキを食べながら、俺はアーリアさんにこの都市の食糧の売られている市場はどこにあるのか尋ねるのだった。




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