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転生したらしいよ?  作者: 田舎モン
第3章
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第31話 辺境都市カリンティア



変わらずに深い森が続いていた景色が、突如として終わりを迎えた。


森が途切れ、目の前に広大な草原が広がり、そしてその草原の中央にそれはあった。



「あ、あれが……」


「やっと見えたわね……アルファンド君、エミリアちゃん、あれが私達の目的地、”辺境都市カリンティア”よ」


カリンティア、それが悠然と構える都市の名前らしい。


強固そうな城壁が周囲を囲んでおり、かなり距離がある筈なのに巨大な都市だと直ぐわかる。



「すげぇ……」

「大きい……」


エミリアと二人で口を閉じる事も出来ずに呆然と眺めていると後ろから肩を叩かれた。



「二人とも、ここで立ち止まっていても意味が無いわよ? 早く向かいましょ?」


「は、はい」


何とか頷いて返事をするが、相変わらず目は逸らす事が出来ずにいた。


アーリアさんから背中を押されて何とか歩みを進める。


凄いな……今まで住んでいた村がどれだけ小さな村だったのかまざまざと見せ付けられている気分だ。


目を凝らすと入口である城門には沢山の人が集まっているのが見える。


初めての大きな都市に、俺は勝手に足が速まるのを感じながら城門へと向かうのだった。





「次の者、前へ」


俺達はようやく城門へと辿り着いた。


どうやら集まった人々は入国する為の審査の順番待ちをしていた人だった様だ。


俺達も最後尾に並ぶ。



「おい、あのガキ見てみろよ」

「黒い髪と目なんて、初めて見るな」


前に並んでいた二人組の男が後ろに並んだ俺達を見て、正確には俺を見てこそこそと話し始めた。


……こういう視線は久々だな、やっぱり馴れない。


その視線と聞こえてくる会話に思わず表情が強張る。


するとアーリアさんが男達の視線を遮る様に俺の前に立ち、隣からはエミリアがそっと俺の手を掴んだ。



「こちらを見ている様ですが、どうかしましたか?」


アーリアさんが笑みを浮かべながら男達に尋ねる。


顔は笑っているが目はまるで氷の様に冷たいものだ。



「っ……い、いや! 何でも無い!」

「気にしないでくれ!」


男達はアーリアさんの視線に本能的に恐怖を感じたのか、慌てて前へと視線を戻した。



「アル、大丈夫?」


エミリアが心配そうに俺の顔を覗き込む。



「あ、ありがとう……大丈夫だよ」


無理矢理笑みを浮かべながらエミリアに伝え、前に立つアーリアさんにも頭を下げた。


そんな事がありながらも、順調に俺達の順番となった。



「次の者」


三人で声の主の前に立つ。


恐らく門番、それとも警備兵だろうか? 目の前の男は三十代ぐらい、腰には剣を携え体つきは屈強だ。


強面の顔で俺達を順番に見ている。



「冒険者になる為に来たの、入国を希望するわ」


代表してアーリアさんが男へと話す。



「あんたみたいな若い女が冒険者って……あぁ、子供達を養う為にか? 女手一つであんたも大変だな」


警備兵の発した言葉に、アーリアさんの周りの温度が急激に下がった様な気がする。


恐らく警備兵は、アーリアさんが母親で俺とエミリアがその子供だと勘違いしたらしい。


まあ、そう思われても仕方ないのだろうけど、アーリアさんにとってはかなり心外だったみたいだ。


まあよくよく考えてみればアーリアさんの見た目で俺とエミリアぐらいの年の子供がいるとは考えにくいけど。



「……二人が、私の子供だと言いたいの?」


初めて聞く、アーリアさんの低い声。


うわ、何か背筋に嫌な汗が流れて来た。



「ち、違うのか? お、俺はてっきりそうだとばかり……すまない」


警備兵はアーリアさんの雰囲気を感じ取ったのか慌てて頭を下げた。


この人、思ったよりいい人そうだ。 好感が持てる。



「……まあ、わかってくれればいいわ。 二人は一緒に旅をしていて同じ冒険者希望よ」


「こんな子供が冒険者希望? いや、深くは聞かないが……わかった、入国の許可を出そう」


「ありがとう、それから一つ言わせて貰うけれど、こんな子供と言った彼は貴方より強いと思うわよ? 何て言ったって私の大切な人でもあるんだから」


突然、アーリアさんが俺を抱き締めた。


しかもその表情はまるで愛しいものを前にしたかの様な、とろんとした目をしていた。


え? 何これ? 不味い、男の視線が呆然としたものから嫉妬の視線に変わって来ている。


それだけでなく近くにいた他の門番の男達や審査待ちの人達からも視線が向けられているんだけど……正直、恐い。



「あの、アーリアさん……離れて下さい……」


「あらいいじゃない? 好きな人を抱き締めて何が悪いの?」


だから、そういう事をサラッと言わないで下さい。 ほら、周りの視線が更に恐くなってますから……隣に立つエミリアなんて頬をぱんぱんに膨らませて涙目で唸ってるし。


勘弁してくれよ……。



何とかアーリアさんを引き剥がし、入国の為の税を払ってから俺達は門をくぐった。


その時、通り過ぎた門番から次々に舌打ちされてかなり凹んだ。


畜生……何でこんなに精神的に磨り減らないといけないんだよ……。




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