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転生したらしいよ?  作者: 田舎モン
第1章
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第18話 通過儀礼



体から放出される魔力を魔法へと変換させる。


変換させる事で、ただの魔力だった靄が赤く、熱を帯びていく。


……今から使う魔法は、アーリアさんにもきちんと教えて貰っていないものだ。


上手く行くかはわからない、だが今なら出来る気がする。


手を、奴らの方へと翳した。





ーーーーーーーーーー




『アーリア先生、上級魔法ってやっぱり難しいんですか?』


ある日、俺は目の前でお茶を飲んでいたアーリアさんに尋ねた。


その言葉に、アーリアさんは手に持っていたカップを置いて俺を真剣な目で見詰めて来た。



『そうね……アルファンド君、貴方は今まで自分自身を変える様な経験をした事はあるかしら?』


『えっ? そんな経験……無い、ですね』


『下級魔法は魔力を持っている人が、修行をすることでほとんど使う事が出来るわ……あ、貴方の使う魔法はちょっと別格だけどね? ただ上級魔法は魔法を使う術者の魔力と力量だけじゃ使えないのよ』


『それが、さっき言った自分自身を変える様な経験ってものですか?』


『経験と言うか、一種の通過儀礼の様なものが必要なのよ、それを克服することで上級魔法が使える様になって一人前、上級魔法使いとなることが出来るの』


『……アーリアさんは、その通過儀礼を克服したんですか?』


『……えぇ、だから私は魔女と名乗る事が出来るわ』


何かを思い返すかの様に、目を伏せながらそう口にしたアーリアさん。


その表情を見ると、通過儀礼とは生半可なものでは無いという事が容易に知れた。


俺にとっての通過儀礼とは、何なのだろうか?



『あの、ちなみに上級魔法についての本はありますか? 使えないのはわかっていますけども、読んでみたいんですけど』


『あるわよ、ちょっと待ってて』


アーリアさんはそう言うと大量にある本の中から一際分厚い本を手に取り俺に渡して来た。


本に目を通すと、下級魔法よりも複雑で長い詠唱が書き綴られていた。


俺はそれぞれの属性魔法の詠唱を頭に叩き込み、いつか来るべき時の為に記憶した。


それがいつになるのかわからないが、覚えていて損は無いだろうという考えで。



ーーーーーーーーーー



まさか今、使う事になるとは思わなかった。


流石に初めての上級魔法だから無詠唱は無理だろう、そもそも使えるかわからないが、アーリアさんの言う通過儀礼とは今日の様な事なのではないかと思う。


あくまでも仮定だが、なぜか俺は確信に似たものを感じた。


激昂して荒れ狂いそうになる魔力を押さえ、意識を極限まで集中させる。



「……火の神よ、汝の力と恵みを我に分け与えよ、我は求める、汝の力にて我が願いを叶えよ……!」


ウィル……お前の敵は絶対に俺が取ってやる、こいつらは絶対に俺が殺してやる。



「その業火は空を、大地を焼き付くし、全てを呑み込む紅蓮の刃になる」


そしてエミリアを、レイシーさんを、俺が守るんだ……!



「その刃にて敵を切り伏せ、ありとあらゆる者を凪ぎ払え……アルスーラ・ラフィカ!!」


濃密に練られた魔力が灼熱の風となり、一気に周囲へと襲い掛かった。


アルスーラ・ラフィカの魔法は触れるものを全て焼き付くす高熱の風を生み出す火属性の上級魔法だ。


その灼熱の風は、近くに集まっていた盗賊共に次々と牙を剥いた。



「ぎゃああああっ!?」

「熱い!? 焼ける!?」

「ああああっ!?」

「助けて、助けてくれぇっ!!」


高熱により、奴らの姿は見るも無惨な姿に成り果てて行く。


皮膚は焼け爛れ、髪は全て溶けてしまっている。

身に付けている鎧が赤くなり、半狂乱になって外そうとしているが皮膚が溶けてくっつき、そのまま自らの体を焼く拷問道具になっている。



やがて、周りに動くものは何も無くなった。


鼻を突くのは肉が焼ける、しかしそれは香ばしい香り等とは程遠い、悪臭にも感じられる不快な臭い。


その臭いに、そして目の前の惨劇に、後ろにいるエミリアとレイシーさんは耐えきれずにその場に吐いていた。


魔法は不思議とコントロール出来ていた様で、エミリアとレイシーさん、そして俺がずっと抱き抱えていたウィルには一切被害は無い様だった。



「……ウィル、お前の敵は取ったぞ……俺が、お前の敵を……ははっ、ははは……あはははははっ!!」


笑いが止まらなかった。


普通なら、この光景を見て笑うなんてよっぽど気が触れていなければ出来ないのに、俺の口から勝手に込み上げて来るのだ。


俺は今どんな表情を浮かべているのだろうか? 狂気に満ちた笑みを浮かべているのだろうか? 全く検討もつかない。


しかし、俺は気付いていた。


地面に幾つもの染みが出来るのを。




目から、俺の意思とは関係無しに"涙"が溢れて来るのを……。




我ながら、中二病みたいですな


ちなみに作者は社会人三年目です。

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