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転生したらしいよ?  作者: 田舎モン
第1章
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第17話 変化



目の前で倒れるウィルの姿、その後ろで悲鳴を上げるエミリア、そしてその傍らに立つ男。


間に合った、二人を見つける事が出来た、そう思って安心したのに、何でだよ……何で……!



「ウィル!! 糞があああああああっ!!」


掴んでいたレイシーさんの手を放し、俺は走るスピードを一気に上げた。


一瞬でレイシーさんを後方に残し、俺は男に突っ込む。


剣気を纏わせ、男の横っ腹へと刃を突き立てる。



「ぐおっ!?」


突然の事に男はそのまま倒れる、その上に馬乗りになり剣を何度も何度も突き立てた。



「てめえふざけやがって! 糞が! 死ね! 死ね! くたばれええええええっ!!」


何度も、何度も、何度も、もうどこも刺す場所が無い程に刺し続けた。


とっくに男は事切れていたが、構わずに俺は剣を止めなかった。



「アル! もうやめてぇ!」


剣を振るっていた俺の背後から、エミリアが抱き付いて来た。


そこでようやく俺は手を止める。


ガタガタと震えるエミリアの体に、俺は下を見た。


本当に同じ人間の形をしていたのかと疑問に思える程に、男は原型を留めてはいなかった。


少し前までの俺なら、間違い無く吐いていただろう、しかしもうそんな状態の死体を見ても何も思わない。


むしろ同じ人間の姿をしてる事の方が許せないと思っていたからこの方がこいつにはお似合いだろう。



「アル! ウィルが、ウィルが!」


エミリアの泣き叫びながら発した声に、俺は我に返った。


そうだ、ウィルは? ウィルはどうなったんだ?


ウィルの方へと視線を向けると、ウィルは変わらずに地面に倒れたままだった。



「ウィル!!」


ウィルの傍に駆け寄り、その体を抱き起こすとウィルは弱々しくも呻き声を漏らした。



「ウィル!! しっかりしろ!! 今治すから!!」


止めどなく血の溢れる腹部を手で押さえる。


生暖かい血液が手へとべったりと付着し、一刻の猶予も無い事が容易に知れた。



「ヒーリング……!」


俺の手から淡い光が放たれる。


ヒーリングは治癒魔法、様々な怪我や病気を治す事の出来る魔法だ。


これで、ウィルを助けるんだ!



「アル……」


「ウィル!! しっかりしろ!!」


「エ、エミリアは……? エミリアは大丈夫なの……?」


「あぁ! エミリアは大丈夫だ! それより今はお前の……」


「そっか……それなら、良かった……」


「な、何言ってんだよ!? おい!?」


おかしい、ヒーリングを使っているのに、ウィルの腹部からの出血が止まらない。


何で……何でだよ!? 魔法を使っているんだぞ!? 治る筈だろ!?



「ア、アル……僕は、もう駄目だから……」


「何言ってんだよ!? 今俺が魔法で!」


「わ、わかる……んだ……僕はもう……駄目だって……アルは確かに凄いよ……でも、自分の体は……自分が一番わかるから……」


ウィルの体温が、段々と下がって行くのがわかる。



「ふざけんなよ!? 諦めるなって! こんな所で死ぬな!」


「ごめんね……アル……」


弱々しくウィルは俺に微笑んだ。


胸が、締め付けられる様に苦しい。


涙が止まらない、ぼろぼろと溢れ落ちる。



「ウィル……!」


「もっと、アルとエミリアと……一緒にいたかった……」


「っ……!」


「嫌だよ……死にたく、死にたく無いよ……」


ウィルの目から、大粒の涙が溢れる。


もう、感情を押さえられなかった。



「俺だって……俺だって嫌だ!! もっと一緒に、もっと一緒に特訓して、遊んで……!」


「アル……? どうしたの? 何も、何も聞こえないよ……どこにいるの? アル……!?」


虚ろな目は、最早俺を捉えていない、焦点の合わない視線が何も無い空間をさ迷っている。


腹部から手を離し、しっかりとウィルの手を掴む。



「ウィル!! しっかりしろよ!! 俺は、ここにいるから……!」


「アル……? そこに、傍にいるんだね……? 良かった……一人じゃ、無い……んだね……」


ゆっくりと、俺の手を掴んでいた手が力無く地面に落ちた。



「ウィル? ウィル……!?」


肩を強く揺さぶるが、反応が無い。


後ろから追い付いたレイシーさんに抱き着きながら、エミリアの啜り泣く声が聞こえる。


嘘だろ……? 起きろよ……俺を呼べよ……なあ……ウィル……!



「あ……あぁ……あああああああああっ!!」


何で……何でだよ……!? 何でウィルが死なないといけないんだよ!? ふざけんなよ!!



「いたぞ! こっちだ!」

「もう二人いるぞ!」


遠くから、奴らがやって来る。


お前らのせいで……お前らのせいでウィルは……!


胸の奥底から、どす黒い何かが溢れて来た。


それは魔力となって俺の体から放出される。


魔力を見る事の出来ない者にも、その変化はわかった様だ。


それは当然、近くにいたエミリアとレイシーさんも。



「……エミリア、レイシーさん、俺の近くから、離れないで」


ウィルの体を抱いたまま、俺は目の前までやって来た奴らを睨み付ける。


胸にあるのは憎悪と怒り、それ以外はいらない。



お前達には、死んで償って貰う。




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