表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宙舞う天使  作者: 風鈴
第一章『修復と癒し』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/7

第五話 『失念』

「向かうのはいいんだけどさ、今の装備じゃ登山すらまともにできないから道中にあるメイカーって都市に寄ってから行くよ」


「そうでありますね。エフィの装備も今のままじゃ心もとない部分があるのでいい案だと思うのであります」


そういえば船のことばっかで抜けていたが、自分の持っていたものもほぼ無くなってしまっていたのだ。

そのため、今の装備で山に登ってしまえば、山頂にたどり着くことは叶わないのだろう。

また、本来の目的であるこの星の偵察を行うためにも都市によることは必要なことだろう。

しかし、自分には問題点が一つだけあった


「そうだな、自分も事前に集めておきたいものとかあるから行くことには賛成かな。けど不時着してしまって大抵のものが無くなってお金とかが用意できないんだけど、いらないパーツ売ったりしてお金を工面できたりはしないのか」


「それなら問題ないのであります。今回の(コア)を使った宇宙船の修復作業のデータを得られるのは私にとって重大な研究に繋がるのであります。だからその過程として出る出費に関しては、私が支払うのであります」


こんな幼い子供にお金を出してもらうのは申し訳ないと思うが、今の状況では自分はほぼ一文無しに等しいため有難くそうさせてもらうことにした。


「ならお金の問題は解決したけど、ここからどうやって都市と山に向かうんだ?」


「それならさあたいの浮遊車に乗ればいいよ」


そういってセルリが自身のポケットから、リストを見せるために使用していた四角い物体と似たものを取り出して嵌め込まれた緑色の石に指先が触れる。

すると、その石から複数の光の線が放たれて車の枠線を描き、枠に囲まれた空間は光の結像によって輝きで埋め尽くされ、車という物体が目の前で完成するのを見て唖然とする。


「どうしたのさ、スーくん。あっもしかして光から車が出来上がるとは思ってなかったでしょ」


「ああ。キーボードとかモニターなら技術が進んだ星ってことで理解できたが、光から車が出来上がるのはどういった原理なんだ?」


「んー原理を説明するとなると長くなっちゃうから簡単に説明すると、この四角い物体がインプットストーンっていう物で、物を光のデータとして保存しているの。で、その光のデータを顕現させているのが緑色の石アウトプットストーンって言って、この組み合わせのことをリプロデューって言うんだ」


「そんな便利なものがあるんだな、なら自分の宇宙船もリプロデューして持ち運びできるようにできたらいいのにな」


「それは良い案なのであります!修復ができたらやるのであります!」


「まあその話は後にしてさ!移動にも時間が掛かるんだからとりあえず乗り込んじゃいなよ!」


そういわれて、自分たちはセルリの浮遊車に乗り込んだ。

座ってみてもこれが光でできていることにはまだ衝撃を隠せないが、乗り心地は船に乗ってた時となんら変わらない。

リプロデューは本当にどんな原理なんだ?


「それじゃあ出発しようか!」


疑問に思っている時に声が掛かり車が浮遊を始める。

そして、スピードを上げてメイカーへと向かい始めた。


ー・ー・ー・ー・ー・ー


「そういえば、オブストーマウンテンはなんで通称技術の効かない山って呼ばれてるんだ?」


車で移動中自分は、目的地であるオブストーマウンテンの情報が欲しく気になったことを問いかける。

それに答えたのは助手席に座るラーレであった。


「それはそのままの意味なのであります。先ほど使ったプロデューなどの技術物が一切使えなくなっちゃうのであります。私たちからすると技術が使えないのは、コミュニケーションをとるのに喋ることが禁じられたようなことなのであります。」


「なるほど、技術が発達した便利な星で生きてきたからこその厳しさってわけか」


「そうなのであります。なので、誰も採掘すること自体が厳しい場所にあって運用方法が定まっていない核を採掘せずに今ある半永久的エネルギーを使用してるのであります」


「でも自分たちはこれからそこに向かって採掘しに行くんだよな。簡単に済むことなのか?」


「何事もなければ核を見つけて採掘して帰るだけなので、見つけられる時間次第なのであります。だけどその探している時間に奴に見つかったらまずいのであります…」


「奴って、その山にはなんかやばいやつがいるのか?」


ルームミラーから少し見えるラーレの表情が険しくなるのが見え、車内が少し沈黙が流れる。

そして、険しい表情を変えずにラーレが答える。


「オブストーマウンテンにはヌシがいるのでありますよ。私たちもまだ遭遇したことはないのでありますが、話を聞く限り見つかったら逃げれるかどうかも分からないのであります」


「でも、ラーレたちは遭遇してないんだよな。なら遭遇率も結構低いんじゃないのか?」


「それはちょっと違うんだよね」


話に加わってきたのは、今まで運転に集中して会話に参加する子がなかったセルリであった。


「あたいらが一度登ったときに無事に山頂まで行けたのは運がよかっただけなんだよね」


「運がよかった?」


「そう、これは下山した後に聞いたんだけど、あたいら以外にも山を登るグループがいたらしいんだけど、下山したって情報がなくて行方不明になってるんだよね。だからあの時は、あたいらが標的にならずに済んで運がよかったって話」


車に乗るまでの話では、入手困難なのは山頂に辿り着くのが大変みたいなことだったが危険な存在がいるとなるとやめるべきなのではないかと思い二人に問いかけることにした。


「なら今からそこに登るのはだいぶ危険じゃないのか?ならやめといた方がいいんじゃないのか」


だが、ミラー越しから表情を伺うが二人とも少し真剣な表情で答え始める。


「そうなのでありますけど、私からすると核の在庫がなくなってしまったので近々もう一度登る予定だったのであります。だから危険だからといってやめることはないのであります」


「それにここまで来たら行くしかないでしょ。すーくんにしても船を動かすには必要不可欠なわけだしさ」


命の危険があるのなら行くことを拒みたいが、助けてもらってるのに自分だけ安全圏で船が直るのを待つことをする自分を許せない。

それに、ラーレの好奇心に応えると決めたのだ。

こんなところで弱音を吐く訳にはいかない。


「そうだな。ここまで来てやめるなんてことは絶対に…!」


絶対にないと言い切ろうとした瞬間、車の背後からサイレン音が近づいて来ていることに自分を含め全員が気が付く。


「すいませーん。前の車止まってもらってもいいですかー」


サイレンとともに車の停止を求める声が聞こえてきた。

どうやら、後方の車の目的は自分たちらしい。


「ちょっとなんであたいら追われてるわけ?スピード違反も何もやってないんだけど!」


「そうであります!私たちは問題を起こしてないのであります。追われる理由なんてないのであります!」


「なら一度止まってお互い確認した方がいいんじゃ…」


車内で追いかけられている理由について会議をしている最中にまた声が割り込んでくる。


「止まってくださーい。不法入星者が乗り込んでいる可能性がある……」


一度に車内の空気が凍った。

自分が一番疎かにしてはいけない入星審査の存在を忘れていたのだ。

それは銀河が統一されてから、義務付けられていることで星同士の移動には申請が必要となり、破るものには重い罰が下されてしまう。

しかし、自分は不時着をしてこの星に到着しているため手続きができている訳でもなく、不法入星者と言われてしまうのは仕方のないことだ。

現在自分の潔白さを証明するためには星を出るときに申請した、出星申請書の書類が必要であるが、忘れていて持っているはずもない。

ましてや不時着時に紛失してしまっている可能性もあるため、ほぼ無いのと等しい。

潔白を証明できないこの状況で車を止めて、身分確認をされてしまえば都市にも山にも向かうことは何年後の話になるかわからない。

またこの星から出ることができるかどうか分からない。


「そうだったのであります。目の前の命を助けることで入星についてすっかり忘れていたのであります」


「結構ドタバタしてたからさ、あたいも忘れてたんだけど、スーくんって今書類持ってたりしないよね?あるなら結構話が変わってくるんだけどさ」


「自分もすっかり忘れていて、必要な書類は一応持ってはいたんだけど、不時着時に紛失した可能性が大いにあるかな」


「そっか、そうだよね。じゃあもう逃げるしかないね。結構手助けしちゃってるからあたいらも共犯として捕まっちゃうだろうし」


「捕まるのは勘弁なのであります!」


「止まってくださーい。止まらないとこちらも手段を選ばなければならなくなってしまいまーす」


その言葉が聞こえ、後方を確認してみるとサイレンを鳴らしている車の周りには、ライフルらしきものが四本漂い銃口をこちら側へと向けていた。


「もう結構やばそうだからさ、飛ばしていくよ。二人とも近くの物にちゃんとしがみついて頭隠しといてよね!」


そういって車のスピードが段々と上がり始めてチェイスが始まったのだ。

プロデューで使用されているアウトプットストーンの色は特に意味はありません。

ですが、インとアウトの石は、物によっては性能の優劣はあります。

記憶できるサイズ容量や顕現するスピードとかですね。


(追記)

八月二十七日に第七話を投稿します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ