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宙舞う天使  作者: 風鈴
第一章『修復と癒し』

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7/7

第六話 『引力によって衝突する』

鈴蘭です。

一ヶ月振りの投稿で大変お待たせしました。

先程までとは比べ物にならないぐらいに車のスピードが上がる。

このスピードに背後いた車は流石に追ってくることは不可能だと思い、背後を確認しようと顔をあげる。

しかし、その目線の先に映ったのは先程と車間距離が変わっていなかった。


「聞こえてますかー。止まらなければ発砲しますよー」


「なんで着いて来れんのさ!結構運転してて制御できてるのが奇跡ぐらいのスピード出してるんだけど!」


「このままだと発砲されて一方的にライフルで撃たれて蹂躙されるだけじゃないのか?」


「そんなことわかってるさ!だけどさっき言ったように今の状況で制御できてるのが奇跡なんだって!だからこれ以上スピードを上げると本当に制御出来なくなっちゃってどうなるか分からないんだよ!」


速さだけで追っ手を撒くことが不可能だとすれば、残されてる手段にも限りがある。

一度止まって弁明すればどうにかなったのかもしれないが、今更後悔しても遅い。

なら、警察をどうにかして気絶させるなりするしかないのかもしれない。


「ならいっその事あいつをどうにか止めるしかないのか」


「それは厳しいのであります。あの何もない空間から銃を出す感じ奴もまた星能持ちの可能性が高いのであります」


「そんな星能持ちが短い時間に沢山出てこられても困るんだけど」


実際星能持ちがこうも短時間で二人目も出てくるとなると、実態が掴めていないのがあまりにもおかしく思えてしまう。

ランス系にどの数の星能持ちが存在しているのか、これに関しては自分が知る限りでは判明はしていないが、稀と言ってもいいほどの確率ではあると思っている。

しかし、この疑問に対して正解を知っているかのように答え始める人が車内にいた。


「エフィにとって星能持ちが珍しく見えるのはランス系として見ているからなのであります。この星では星能を隠すどころか技術転用を行うものが殆どなのであります」


「それならヴェルン星は星能持ちが銀河系の中で多く見つかってるとかの情報が広まってるはずじゃないのか?」


「本来ならそうなるはずなのでありますが、星能を使用した技術転用はその能力があるからこそ成り立つため、この星以外に技術を広めようとも活用どころか使用することすら不可なのであります。そのため、星能を使用した技術転用はこの星だけでの機密事項、いわゆるこの星自体が星能を隠匿してるのであります」


この星自体が星能の情報を外部に漏れないように工作しているのなら短時間で別の星能もちが現れることには納得がいく。

しかし、そうだとするなら自分がラーレを信頼すると決めたこと自体この星では普通のことなのだ。


「なら…」


「そんな話はあとでいいからさ!この状況どうにかしてくれない?追われたままじゃメイカーにすら入れないんだけど!」


一瞬自分のことで手一杯になったしまいそうだったが、セルリの声が思考を今の問題へと引き戻した。

ラーレに対して信頼できる部分が星能を打ち明けた以外の他にない訳ではない。なら、今一番考えるべきことは追っての警察をどうするかだ。


「どうすればいいんだこれ」


まだ警察に顔が割れていない今、追われている状況で都市に入ってしまえば自分たちが犯罪者と言っているようなものだ。

ならいっそのこと二手に分かれて相手の狙いである自分が囮となって、二人には先に都市で必要物資を集めてもらった方がいいのではないか。

武器がないという不安はあるが、今ここでやらなければ全員捕まる最悪のパターンだ。

自分の中で決断をして自身の考えを伝えようとしたタイミングで隣に座っていたラーレが車から降りる準備をしながら喋り始めた。


「じゃあ二人は先ほど言った必要物資をメイカーで買い集めてほしいのであります。私はここであの車に乗っている警察を足止めしとくのであります。追われた状況で都市に向かうとみんな揃って犯罪者扱いなのであります。ということで、クーナ全部集め終わったら連絡頂戴なのであります。じゃあ頼んだのであります」


そういってラーレは猛スピードで走る車の扉を開けて飛び降りてしまった。


「この状況どうにかしてとは言ったけどさ!捕まりに行ってとは言ってないんだけどダーレちゃん!」


「セルリごめん、買い出しのことは任せた」


そういってシートベルトを外して自分もドアを開けて颯爽(さっそう)とラーレの後を追って飛び降りた。


ー・ー・ー・ー・ー


速度は速かったもののどうにか受け身を取りつつ着地をする。

落下中に背後から名前を叫んでるような声が聞こえてきた事に関しては、後で謝ることにしよう。

だから今は、正面にいるラーレの助けに向かおうと…


「【修復(シーシアス)】!」

「≪銃撃(アサルト)≫」


そう行動を起こそうとした矢先に開戦の合図かのように星能を使用する声がふたつ耳に響いた。

ラーレの目の前には、金属で構成されている壁が生成され、その壁の向こう側にいる一人の警察官は四本のライフルを自身の周りに浮遊させていた。


「嬢ちゃんさー。抵抗なんかしないで不法入星者(ふほうにゅうせいしゃ)の身柄渡してよー。こっちだって別に危害を加えたいわけじゃないんだよねー。まあ車から飛び降りるや否や車を破壊してきたことに関しては罪に問わざるを得えないけどねー」


「車を壊したことに関しては謝るのであります。だけど銃を四本も武装されては身柄を渡すも何も、交渉の一つすら怖くて出来ないのであります。だから、危害を加えたくないのならさっさと武装を解除したらどうでありますか?」


「それは無理な相談かなー。なんせ嬢ちゃんのお仲間も飛び降りてきてー。一対二の状況なや身を守る手段は常に構えるべきだと思うからねー」


相手は壁のさらに向こうに自分がいることにいち早く気づき警戒を怠らなかったのだろう。

実際ラーレは相手の言葉を聞き辺りを見渡して自分の存在に気がついたのだ。

本来なら奇襲ができるならその手を取りたかったが、気づかれているのなら作戦を変更して人数有利を活用するためにラーレのいる壁へと走って向かうことにした。


「エフィ!なんでここにいるのであります!クーナと一緒にメイカーで用事を済ませるように言ったのであります!」


「あぁ、そのことは申し訳ないと思っているから後でしっかり謝罪する。けどそれはもう叶わないことだから、今は目の前の相手のことに集中しよう」


「もしかして君が不法入星者だったりするのかなー?もしそうだとするなら身柄を捉えたい身からすると結構ありがたいんだけどー」


「もしそうだとして、それを弁明するために必要な書類が消えてなくなりましたって言ったらこの場は見逃してくれたりしてくれるのか?」


「んーそれは難しい話かなー。書類が無い他星の者は、全員約一年間各星の監視下の元で生活をしなければならない。これは、銀河統一された時に決められた星同士で必ず守らなければならい星律(せいりつ)のひとつだからねー。まあ書類を無くしたというのが真実なら不法入星の罪には問われずに済むと思うけどねー」


「知ってはいたけど一年もちんたらこの星に留まることはできないから、不法入星って罪を被ったまま過ごさせてもらうかな」


「言葉が通じるからさー。交渉で穏便に済ませられれば良かったのにー。交渉決裂ってことだこちらも手段は選ばないよー?」


ただ空中を漂っていた四本のライフルは正確に照準をこちらへと定めた。


「この星の法律に乗っ取り不法入星者が、投降を拒んだ場合、その者は危険人物として見なし生死を問わないものとする。てことで危険人物は排除するよー」


その言葉を言い切ると同時に四本のライフルから一斉に激しい銃声を鳴らして、鉛の雨を自分たちに目掛け降らせてくる。


「やばいのであります!やばいのであります!!銃撃が始まったのであります!流石にこの量の...この量の攻撃は壁でも防ぎ切れないのであります!!」


「防ぎ切れないって言っても………てか、この壁って地面にある素材と違うよな?一体どっからこの壁を作り出したんだ?」


「あぁこの壁のことなら、予め作成した壁を破壊して、上位素材で必要素材を可能な限り少量に抑えてどこでも【修復(シーシアス)】で復元できるようにしたものなのであります。通称『再利用』(リ・サイクル)なのであります」


「その仕組みだと壁以外にもその『再利用(リ・サイクル)』できるものがあったりするのか?」


「あるのであります。今使えそうなものだと剣とか盾とか拳銃があるのであります」


「ならその剣を『再使用(リ・サイクル)』で出してくれ、近接は自分がするから、ラーレはこの壁とかから拳銃とかで援護してくれ」


「こんな銃撃の中あいつに近接で近づこうなんて死にに行くんでありますか!?そんな無謀をするなら『再使用(リ・サイクル)』しないのであります!」


「無謀だったら剣出してくれって頼んでない。勝算がある作戦だから出して欲しいんだ。自分だって助けてくれた命をこんな所で捨てたくなんてないからな」


「で、でも流石に私から見たら無謀すぎるのであります!もっとちゃんと作戦を説明するのでありまっ!」


ドガァッン


鳴り響く銃声の中で突然衝撃音が鳴り響く、会話に気を取られている内に目の前にあったはずの壁は当初見ていたサイズよりだいぶ小さくなっていた。

この調子で壁を削られてしまえば、もって一分が限界ってところだ。

なら、ラーレをいち早く説得して作戦を実行に移す。

じゃなければ壁も壊れて自分たちは銃に容赦無く撃たれて死ぬ。

何もせずに死ぬぐらいなら抗って踠いて生に執着して死んでやる。

死ぬのは自分の持つチップ(情報)をオールインしてからだ。


「時間もないからちゃんとは説明をしてやれない!心配になる気持ちは分かる。だけど今はこれだけで納得してくれ。()()()()()()()()!」


エフィール・スーランの持つ星能はこの状況を足掻くチップとして賭けは的中するのでしょうか。


ちょっと解説

ラーレが今回使用した『再使用』は、リプロデューの仕組みを星能で応用したものとなっています。

燃費は劣りますが、それ以外の点は『再使用』の方が優れる性能となっています。


次回の更新は不明ですが可能な限り早く投稿できたらなと思います。

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