第三話 『星なる力』
「ところで、あんなスクラップ状態になった船を修復することなんてできるもんなのか?」
「普通は不可能でありますよ」
「不可能?ならどうやって修復するんだよ」
「簡単なことであります。私の星能を使えば、それを可能にできるのでありますよ」
そういって、ラーレは部屋の中にあった本を拾い上げて本を真っ二つに裂いてしまう。
「せ、星能?ラーレお前星能が使えるのか?」
「使えるでありますよ」
星能とは星から授かる能力のことで全宇宙の人が認知しているにもかかわらず、今だその実態については解明されていない。
どれだけの種類がこのランス系に存在しているのかも分からなければ、どういった理由で授かるのかも判明していない。
その理由として、星能を所持していることを明かすということは、実験対象になり兵器として転用されてしまう可能性があり、所持者は隠匿しているのがほとんどじゃないのかと噂があるからだ。
そんなリスクがある中で星能を明かしてくれたのは、かなり信頼に値するとも受け取れる。
脳内で情報の整理をしていると、裂かれた本を持つ両手を上下にブンブン振り回し、こっちを見ろと言わんばかりに顔を膨らませている。
「話を遮ってごめんな。それで本を裂いたのはこれから見せてくれる星能と関係しているのか?」
「そうであります!だから考え事なんかせずにちゃんと見てるのであります。じゃあやるであります。【修復】!」
そう唱えると、突然光の粒子が沸き裂かれた本へと渦を巻き吸収されていき強い光に包まれる。
やがて光が消えると手元にあったはずの裂かれた本は無く、代わりに裂かれる前の状態の本が手元に残っていた。
「これがラーレの星能なのか、裂かれた本が元通りになっているのか?」
「その解釈で間違ってはないのでありますよ。厳密言うと私の星能は、壊れてしまったモノを元の状態に戻す事ができるのであります」
「なら、あの船もその【修復】を使えば簡単に元通りになるのか」
「それはしたくても使用するための条件があって、簡単にはいかないのであります」
ラーレは申し訳ないとういう顔をして、修復した本を棚に戻し改めて喋り始める。
「この星能の使用条件は分かっている中で二つあるのであります。一つ、壊れてしまったモノではなくてはならない。二つ、パーツは不揃いではいけない。とこんな感じで、あの船に関してはそもそものパーツが足りなすぎるから二つ目の条件に弾かれてしまうのであります」
「それなら星能なんて使えないじゃないか。足りないパーツを探すってなっても、墜落途中で宇宙空間やあらゆる星にばら撒かれている可能性もあるから探し出すのは流石に不可能じゃないか?」
「それは私も不可能だと思うのであります。だけど、二つ目の条件は別の方法で満たせるのであります」
「別の方法で条件を満たすって一体どんな方法があるんだよ」
そんな疑問に対して、ラーレは自信満々に胸を張り任せなさいと言わんばかりに答える。
「足りないパーツに関して、船の素材と同等もしくはそれ以上の素材を集められれば、二つ目の条件を満たせるのであります!」
「素材を集めるってパーツを作るってことか?なら自分は素材を集めことができたとしても、そこからパーツを作ることはできないけど」
「素材からパーツを作るって意味じゃないのであります。星能が素材をパーツの箇所として認識して補ってくれるのであります」
「星能が補う?でもそれじゃあパーツじゃない素材なんて二つ目の条件に弾かれるんじゃないのか」
「それが問題ないのであります。例えば、先程の裂いた本の傍らが紛失してしまった場合、それに準ずる以上の素材、この場合だと紙もしくはそれ以上の物を集めて【修復】を使うと元通りになっているであります」
「なるほど。まあ理屈を聞いたところで星能だから判明されてないところは沢山あるか」
本に限らず自分の腕や頭が繋がったり潰されたはずの胴体が元どうりになっているのは、ラーレの星能によるものだろう。
しかし、人を直す事ができる理屈について考え始めると分からなくなってしまう。
これ以上考えても無駄だと悟り思考するのをやめ、今後知る機会があれば詳しく聞いてみることにした。
「まあ星能についてはまた後でってことで、今からやることは決まったな。あの元宇宙船を見たところ、五割程は残ってる感じだから、足りない分の素材を探しに行くってことでいいんだよな」
「そうであります!でもその前にスクラップを解析したりして、どの素材をどれだけ集めるのかを割り出すのであります」
今後の動きに関してラーレと話し合いを始めようとした時、玄関の方から何かを叫ぶ声が聞こえてくる。その声は少しずつ大きくなりこちらに近づいてきている。
「ダ………ん!ダー………ゃん!ダーレちゃん!」
近づいてくる声はやがて鮮明になり、ラーレのことを呼んでいることに気がつくと同タイミングで、玄関の扉が勢いよく開かれ、蜜柑色の髪色に背丈が高い20歳ぐらいの女性が現れる。
「ダーレちゃん!お家近くに隕石みたいの落ちたけど大丈夫!」
「誰かと思えばクーナでありますか。隕石のことなら家の防御システムが働いたので中にいた私は大丈夫なのであります」
「うわ〜ん、ダーレちゃんが無事で良かったよ。ダーレちゃんが、ダーレちゃんが死んじゃうのだけは嫌だよ」
突然お家に入ってきたのかと思えば、すぐさまラーレに抱きつき泣き始めた。
そして、十分に泣ききったのか呼吸を整えながら涙を手で拭って、勢いよく首を回しこちらを睨んでくる。
「で、あんたは誰でなんでダーレちゃんの家にいるのかな!」
唐突すぎる質問が飛んできた。
ラーレの友人だとしたら至極真っ当な質問なんだろうが、それよりも先にこちらを見る視線が段々と敵意が剥き出しになってきているので、これ以上あらぬ誤解を増やさないように慎重に質問に答えたい。
「自分の名前はラフィール・スーラン。ラーレ・ダーレには命を助けて貰ってこの家で治療してもらっていた。目が覚めてから時間もそこまで経っていないから君が思うような疚しい事は何一つないよ」
「そうなのであります。隕石の正体はラフィが乗っていた宇宙船で、様子を見に向かったらラフィが死にかけていたので家に運んで治療して一命をとりとめたのであります」
「なんだそうだったのね。ダーレちゃんに友達はあたいしかいないから、男に騙されて家にあげたのかと思っちゃったよ」
「そんなことないのであります!私だってちゃんと家にあげる人は考えているのであります」
「本当?この前だって、研究について盛り上がった男性から資料見せて欲しいからお家に言ってもいい?とか聞かれて頷いてたじゃん!あたいがあの場にいなかったら絶対家連れてってたよね!」
「あれはちゃんと研究についての話をするために提案されただけであって、あの人からは疚しいことなんて感じなかったのであります!それに、こんな私とも仲良くしてくれて…」
「もおそれが騙されてるんだよ!その男はダーレちゃんの弱みに漬け込んで課題を簡単に終わらせたり、家に入れてもらえたら研究資料盗んで自分の物にしようとしてるんだよ!でも今回は違うみたいで良かった!」
そういって自分の方に向かってきて手を差し伸べて改めて話し始める。
「あたいの名前は『セルリ・クーナ』。まあさっきの会話を見ての通りダーレちゃんの友達だよ。よろしくねスーくん」
「よろしく。セルリ」
名前の呼び方にはツッコむ事なく、自分の元へと差し出された手を握り返す。
セルリは何かに満足したのか手を離して体をラーレの方へと向けて改めて喋りだした。
「そういえばダーレちゃん!スーくんはあの落ちてきた宇宙船に乗ってきたんだよね!てことはその船が壊れちゃってるのはもしかして結構ピンチって感じなの?」
「ちょうどその話をしてたのでありますよ。これから船を修復するために必要素材を割り出して集めに行くところだったのでありますよ」
「そうなんだ!それなら人手は多い方がいいよね!あたいも手伝ってもいい?どうせこの後暇だったからさ」
「いいのでありますか!なら是非是非お願いしたいのであります!」
「おっけー!スーくんもいいよね?」
「まあラーレがいいって言うなら問題ないぞ。自分も手伝ってもらってる身だからな」
「じゃあそんな感じで改めてこれからよろしくね!」
少しだけ解説というより作内での認識的な話をします。
序盤で語られた星能の情報は宇宙では基本的に共通認識となっています。
新たなるワード「星能」とラーレの友達の初登場回今後どうなるんでしょう。
ということで、第四話は週明け頃には投稿したいですね。
(追記)
第四話7月14日17時に投稿します。




