第一話 『疑問の連鎖』
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ーー朦朧とする意識の中で微かに声が聞こえてくる。
「__すか」
ーー死んだんだよな。
「だ__じ____すか?」
ーー全部夢だったのか?
「大丈____ますか?」
ーー自分は一人だったんだ、誰かの声なんて聞こえてくるはずがない。
少しずつ男の意識は覚醒し、言語を理解し始める。
「大丈夫でありますか?」
目を開けるとそこは、赤く染まった場所ではなく警告音も聞こえない。
ただ見知らぬ天井と、大きな白衣を身にまとった水色髪の女の子が顔をのぞき込んでいた。
「こ…ここは、どこだ?」
「目覚めたであります!大丈夫でありますか!」
「お…お前は、だれ…だ?」
「目覚めたばかりで疑問が浮かぶのは仕方の無いことであります!そうですね。先にあなたの質問に答えるのであります!」
目の前にいる小柄な少女は、1歩後ろに下がり纏っている薄汚れた大きな白衣を着なおし、頭に被っている帽子とゴーグルの位置を調整する。
身だしなみの準備を終えたのかと思えば、ポケットから取り出したボタンを押す。
すると、部屋の照明が消え辺りは薄暗くなり女性の位置だけにスポットライトが当たる。
そして、口を開け喋り始める。
「私の名前は、『ラーレ・ダーレ』。カミラ・ファ・ヴェルンで一番の天才なのであります!」
誇らしげに自己紹介を言い切った瞬間、爆発音が流れ、黒い煙が足元を漂っている。
「はい?」
「聞こえなかったのでありますか?私の名前は…」
「いやいや、お前の名前はラーレ・ダーレ。それに加え天才しっかり聞き取れたよ」
「ではなぜ、疑問を持ったのでありますか!聞き取れているのなら疑問ではなく.........」
少女から続く疑問の言葉を無視して今ある自分の状況について整理し、思考を始める。
ーなぜ自分は、生きているのか。
ーなぜ自分は、最初の目的地であるランス系カミラ・ファ・ヴェルンに到着しているのか。
ーなぜ自分は、外れた左腕と潰された下半身が元通り潰れたはずの上半身とくっついているのか。
ーなぜ___
「聞こえてるでありますか!?」
部屋が先ほどのように明るくなる。そして、視界が少女の顔で埋まり、疑問だけが溢れる頭に声が響く。
いや、響いたと錯覚した。
自分の頭には声なんて響かなった。
これはなんの冗談でもなく事実だ。
急いでそれを確認するために両手を頭にもっていこうとする途中で焦りが混じった声がかけられる。
「ストップなのであります!今は頭には触らない方がいいのであります!」
次は自分の行動に小柄な少女からは出ないような大きな声でストップがかけられる。
その言葉を聞いた自分は、触ろうとした手を止め、元のあった位置に手を戻す。
そうしたのは、少女の目が真剣にこちらの身を案じるように感じたからだ。
「いいでありますか?私からあなたには、山ほど聞きたいことがあるのであります。また、あなたも知りたいことが山ほどあると思うのであります。ですが、今は一度落ち着くのであります。そうでありますね。話しすぎた私も悪いのでありますが.........」
申し訳ないという気持ちを顔に出しながら、先ほどのように真剣な様子で相手の不安を取り除こうと次の言葉を探している。
「いや、悪い。今ある状況が想定外すぎて、パニックになってしまった。すまなかった」
「分かってもらえればいいのでありますよ。あと、頭のことに関しては命に別状はないのでありますよ。ただ、あなたを見つけた時はとてもとても悲惨な状態だったのであります。そのため、治療のために今は、脳みそが剝き出しになっているだけであります。用が済めば元に戻すのでありますよ。それはそうと、落ちついたのなら先に聞いておきたいことがあるのであります」
そう言ってラーレ・ダーレは、何も無い空間からキーボードのような形をした光の結像を浮かび上がらせ、タイピングし始める。
「あなたの名前はなんというのでありますか?」
「そっか、自己紹介だけしてもらって自分は何も語っていないのか。それは命を助けられた身としては申し訳ない」
「いいのでありますよ。私の自己紹介も場を和まそうとしたら逆にパニックになる要素を増やしってしまったようなのでありますよ」
「それに関しては、今思うと目が覚めて初っ端からあれは驚きが隠せなかった。まあ、そんなことよりも名前だったよな。名前は『ラフィール・スーラン』生まれた星は…」
俺は自己紹介の途中で自身の生まれた星に関して答える途中、違和感を覚えた。
自己紹介なんて幾度もしてきた。だが、生まれた場所が分からない。
こんな簡単なことに答えられないわけがない。
「生まれた場所を思い出せないのでありますか?」
自分の心を読んだかのように今の状況を言い当てる。
「仕方のないことでありますよ。先ほど言ったように貴方、ラフィールさんはとても生きているとは思えないほどの惨状だったのであります。それが、今こうして生きている事のほうが奇跡であります。逆に喜ぶべきであります。すべての記憶が無くなっていないという現状に」
実際そうなのかもしれない。
名前も自分が使える力、自身に与えられた任務も帰還するべき星の場所も。任務だけを考えるなら特に損害が無いように感じられる。
「まあほかに必要な事を忘れていたらまずいけどな」
「それは、その時であります。そうこうしているうちに修復が終わったであります。一旦動かずにいてほしいであります。頭をくっつけるのであります」
指示に従い、動かずに自分は目を閉じた。そして、少女が作業を始めることものの一瞬で
「動いていいでありますよ。修復完了であります」
「そんな一瞬でくっつくのか。一体どうなっているんだ?」
自分の手で頭を触り確認をする
「んふーなのであります。私はカミラ・ファ・ヴェルンで一番の天才なのであります。こんなの朝飯前なのであります」
「天才とは、こんなにすごいものなのか」
「ですです。そうなのであります。それはそうと、ラフィールさんが落ちついたところで本題に行くのであります」
「ラフィって呼びな、そのほうがいいだろ?自分もラーレと呼ばさせてもらうから」
「わかったのであります。んふー。ラーレって呼ばれるのは実にうれしいことであります。まあそれは一旦いいのであります。私は、ラフィに聞きたいことが山ほどあるのであります!」
「あぁ自分もいくつか聞きたいことがある。そうだな、ラーレの質問には答えるが先にこちらの不安要素となる点を取り除きたいから、先に質問させてもらってもいいか?」
「仕方ないのであります。不安要素は取り除くべきなのは技術面でも一緒なのであります」
「分かったくれたようでありがたい。まず最初に聞きたいことは、この場所は『ランス系第一惑星カミラ・ファ・ヴェルン』通称ヴェルン星で間違いないんだな?」
「あっているのであります。ここは、ランス系で一番の技術を誇る星『カミラ・ファ・ヴェルン』なのであります!」
「ならまず、自分が到着するべき場所にはたどり着けたわけだ。とりあえず一つ目の任務は達成できそうということだ」
自分には、果たさなきゃいけない任務がある。
それは、ランス系の星を回りこの目で見て肌で感じる旅をして、ランス系第七惑星ミラク・カ・シェイルに帰還すること。
銀河の統一を行なった星だからこそ、第一惑星から第六惑星の視察を行い、その情報をもとにランス系のさらなる開拓を行う。
ただの旅なんかじゃない失敗のできない任務に自分はついているのだ。
そうやって、自分の意思を再確認したところでラーレが口を開く。
「到着するって、ラフィは一体どこからやってきたのでありますか?」
「待ってくれ、その質問には後で答えられる。だから先にさっきの質問よりも、もっと重要なことを聞かせてくれ」
「ん。わかったのであります」
そういって、好奇心集った気持ちを抑え込み、少々不貞腐れながら次の質問が問われるのを待っている
「ありがとうラーレ。じゃあ次の質問だ。自分がここにいるっていうことは、あるはずなんだ。一緒にあったものが」
「一緒にあったものでありますか?」
ラーレは天才的な脳を高速回転させて、その質問の意図を探ろうとするが、その意図には気づけなかったらしく、早急に真っ赤にした顔を冷ますかのように考えることをやめる。
「分からないのであります!勿体ぶらないでで言うのであります!ラフィ!!意地悪しないのでほしいのであります!」
「お前本当にこの星一番の天才なのかよ。まあそんなことは一旦どうでもいいとして」
先程冷ましたはずの赤くなっていた顔をもう一度顔を真っ赤にして、今にも癇癪を起こそうとしている。
「私はヴェルン星で一番の天才なのであります!それでも、知り合って間もない人の大事なことを読み取って質問に答えるのは難しすぎるのであります!命を助けてあげたのにこんな扱いはひどいのであります!」
「すまなかったって、自分の言葉足らずな言い方が悪かったから機嫌を直してくれ」
「それは専門外なのであります!」
よりラーレを不貞腐れさせたところで、つべこべせずに早く言えと催促をされた様な視線を感じた。そのため、自分の中にある不安という気持ちを抑え込み、質問の返答が自分にとって良いものであることを願って、言葉足らずだった言葉を追加して口にすることにした。
「それじゃあ改めて聞かせてもらう。一緒に墜落したはずの船は今どこでどうなっているんだ?」
『プロローグ』に引き続き読んでいただきありがとうございます。
第一話から新しい用語と情報のラッシュがありましたね。それに関する解説は今後描かれる予定ですので気長にお待ちください。
ということで、第二話の投稿は来週中には投稿予定です。細かい日程は決まり次第投稿主のXにて投稿します。
(追加)
7月6日に17時に第二話投稿予定です




