第96話 招かれざる客3
「へぇ~、お金を取らずに誰でもタダで聖水風呂に入れるようにするんだ、それは町が賑わうのも無理がないわね~。タダで入れると人を集めておいてまわりのお店でしっかり稼ぐなんてやるじゃないの」
王妃様はこの町で始めた商売のからくりにすぐに気付いたようだ
「ゴブ~」(ここよりも効き目があって安全な場所ではお金を取るゴブ)
「この上でね~、もっと効き目があってゆっくり出来るところではお金がいるよ~」
テトがしっかりと翻訳してくれている
「ふふふ、お金を払ってくれても威張り出す輩が少なからず出てくるわね~、そこで私の出番だわ~。王家の紋章を建物正面に飾りましょう、もちろんコスタリア家の紋章もね」
確かに貴族や大棚の商会とかはお金や権力にものをいわせて我儘を言いそうだな
王家やコスタリア家がバックにいると分からせるだけで簡単に防げそうだ
「ははっ、それは願ってもない有難いご提案です。問題はそれに応えるものがこちらにご用意できるかということなのですが・・・」
「あらあら、なかなか律儀なのね。コスタリア家には商売繁盛すればそのまま税収として還元されるでしょうし、私には・・・そうね、王家ご用達の領都邸を温泉のすぐ傍に建ててもらおうかしら?」
おいおい、紋章を飾る許可だけで1件の屋敷を建てさせる気だな
それもこれから発展するであろう強聖水浴場の隣りに・・・
目ざとい貴族や豪商たちに王家(王妃)の権力の強さが否応なく分からされるだろう
「おれっちの家の別荘も建ててほしいっス、教会か孤児院の近くがいいっスけど」
「ははっ、ライアン様の屋敷は大浴場の奥の孤児院の隣りにもう土地をご用意しておりますので・・・ただ正式な領都内ではない壁外の土地だと外聞が悪いかと」
「そうね~公爵家の屋敷が区外にあるのはマズいわね~、どうかしら?もうこんなに綺麗に街並みが揃ってきているし貧民街から南第2区とかに正式に変えちゃえば」
「王妃様がそうおっしゃるなら是非もありません。今日から貧民街などと呼ばせず南第2区と変えて正式に領都に組み込みましょう。もちろんそこに住む人達もね」
コスタリア家が貧民街を正式に領都の一部として認めた瞬間だった
「おおお!我々が領都に住むことを正式に許可を出されたぞ」
「これも全て聖女様がご降臨なされてからじゃ」
住人たちが歓喜の声を上げて喜んでいる
最初の頃の臭くて汚かった町が今では客のあふれる活気のある町に変わったゴブ
「ゴブ~」(良かった、良かった~、聖女の効果は抜群ゴブ~)
今日はアイラ様が一緒にきていないのでこの町に聖女がいることがアピールできないのが残念ゴブ
今日はしょうがない偽聖女で我慢してもらうか
「ゴブ」(聖魔法レベル5 [祝福] 1日聖女 浄化魔法を付与)
「ふわわわ~何か体が光り出しました~ちょっと~何ですかコレ~」
マリーには1日署長ならぬ1日聖女になってもらうゴブ
触れるだけで浄化するよう[祝福]で付与してみました
さあ、町中を練り歩いて浄化してくるがいいゴブ
聖女になりたいとか言っていた願望をしっかり叶えてあげるなんて我ながらいいゴブリンだな
「ひぃぃ~密偵さんがまたこっちをすごい形相で見てるんですけど~ひぃぃ~拝まないでください~」
ぽんこつマリーが聖女マリー(1日限定)になりました
「こら~どさくさにまぎれてお尻を触るな~クソガキ~」
民衆にもみくちゃにされてベタベタ触られている、触るとご利益がある歩くご神体になっているな
下町の人々に親しまれる着飾らない聖女とか言っていた望みが叶いましたな
そのまま民衆に飲み込まれて連れてかれてしまった
まぁ命はとられないから大丈夫でしょう
先程から何か魔道具みたいので記録を取っている方がおられますが問題ないかな
「あらあら、ゴブリンちゃんもいたずらが過ぎますよ~あんまり派手にすると西方真理教会から異端審問官が出張ってきちゃうかもよ~」
「ゴブ~」(その時はその時ゴブ~)
「ははは、お風呂は聖水ですし、教会では回復と浄化を受けられますしこの我らが南第2区は祝福されし聖なる町としておおいに盛り上げていきたいですね」
会計士さんとドノバンさん達もこれからのこの町の未来を夢見て感慨深そうだ
「しかしミセッティのご主人様っていう聖女様があんな感じだったとはな、正直パッとしないな。見た目はそこそこだが」
「ゴブブ~」(あっちは偽物ゴブ~、本当は教会の像のようにシュッとしてるゴブ)
「あはは~、あの聖女様は偽物だって~ホンモノは教会の像みたいにきれいだって」
テトが笑いながら翻訳してくれている
「お、おう。良かったぜ、なんせこの町は聖女様で出来た町だからな、やっぱり見た目も大事っていうか、気品とか雰囲気が大切だよな」
あはは、マリーの奴に気品とか気高さを求めるのは酷ってもんだゴブ
今度は本物の聖女様を連れてきてあげるゴブ
「やっぱり聖女がこの町におられるのかしらね、一度ちゃんとした場を設けてコスタリア家として協力を要請するべきかしら」
奥方様が真剣な顔をして考え込んでおられる
「ぷっふふ~、そうねそうね~。ここまで力のある聖女なら教会に正式に認めさせるっていうのもありよね~教会に新しい派閥ができたりして」
全てを理解していそうな王妃様はかなりごきげんのようだ
そこら辺を歩いている子供たちが大事そうにアイラ様人形を抱えて歩いているのに気づかないものですね~
アイラ様本人もまさか自分がこの町で崇拝されているとは知らないでしょうな
実際、一度もこの町に来たことは無さそうだし
「ゴブ~」(さて、今日も一日平穏に終わったし帰ってお風呂に入るゴブ~)
「ま、いざとなれば王家がかばってあげるから大丈夫でしょ。まだまだミセッティちゃんにも役に立ってもらわないとね~私のためにも」
「ひぃぃ~わたしは本当に聖女じゃないんです~ウソついてます~ごめんさい~」
まだマリーの奴はまだもみくちゃにされていますな
しかばねは拾ってあげるから安心して命を捧げるゴブ
ナンマンゴブ、ナンマンゴブ・・・




