第59話 お嬢様誘拐事件?7
お屋敷に戻ると奥方様の馬車が帰ってきたところだった。
「ゴブ~」(奥方様に何て説明すればいいだゴブ~)
奥方様が馬車から降りてこられた。覚悟を決めて説明するゴブ。
「アイラ、着いたわよ。いつまで寝て居るの、起きなさいな」
「う~ん、お母様?お腹いっぱいで寝てしまったようです」
アイラお嬢様が馬車からゆっくり降りてこられた。
「ゴブ?」(あれ?誘拐されたんじゃなかったゴブ?)
「あら、ライアン様にミセッティまでお迎えしてくれるなんて珍しいですね」
「ゴブ!」(誘拐されたと思って心配していたゴブ!」
「ええ、誘拐されて大変でしたわよ~。《《お母様に》》」
カタリナさんが説明に入ってくれる。
「エレノア様の純潔証明書が無事に発行されたこと祝ってダンドール家で身近な方を招いてお茶会を開くことになったのです。奥方様にも招待状が届いて用意を進めていたのですが、出発前に念のため読み返した招待状にお嬢様も招待されていることが分かりまして・・・メイド全員で準備して何とか間に合ったのです」
「まだ暗いうちに起こされてびっくりいたしましたわ」
「マリーも頑張りました~。終わったらもう一度寝ていいと言われたのでご飯も食べずに髪結いしましたよ~終わったらホントに寝てしまいましたよ~」
「ダンドール家とは敵対派閥ですから転送陣が直接つながっていませんからね、前回協力いただいた方に転送陣をお借りいたしましたが、やはり時間がかかりますね」
「ゴブ~」(急にいなくなって捜したゴブ~)
「あら、ミセッティも連れて行こうと何度もゆすって起こしましたのに・・・最後は私の手を振り払って箱に閉じこもったじゃないですか」
「ゴ、ゴブ~」(そうだったかな~、全然覚えてないゴブ~)
「お母様に相談したら、まだミセッティを皆の前に披露するのは控えたほうがよいとの話もあったので無理に連れて行かないようにしたのです」
「ダンドール夫人はとても、とても残念そうにされていましたわ、ミセッティにとても感謝されていたようですわね」
「家宝のネックレスにかかった魔法のことをもっと知りたいと何度もおっしゃておられましたね」
「エレノア様はあれから食事もしっかりと摂られるようになってはつらつとされてより美しくなられておりましたわ、本当に回復されてよかったですわ」
「エレノア様のご友人たちも本当にびっくりされて喜んでおられましたね」
「その後お嬢様のまわりにご友人がひっきりなしに声をかけてくださって。お菓子やお茶を熱心に勧められるから大変でしたね」
「皆さん、エレノア様がつらい思いをしたことよりも少し大人びて女性らしくなったことに興味深々でしたね。明らかに敵対派閥の私たちが招待されていることで今回のことに我々が深く関わっているのは誰でも気づいたでしょうね」
「ミセッティのことはまだ秘密にしてありますよ。エレノア様もダンドール夫人も笑顔で黙っておられましたし」
「ゴブ」(そうだったゴブか~。何事もなくてよかったゴブ~。)
ちょんちょんとライアンに肩をつつかれた。
「何か俺っちに言うことがあるんじゃないっすか?」
笑顔で問いかけてきた。でも目が笑っていないゴブ。
「ゴブゴーブ」(間違えてもいいじゃないか ゴブリンだもの ミセを)
この異世界でまた新しい名言が誕生したゴブ。
汚い子どもみたいな文字で書くのが味があるんだよなぁ。
「間違いはあるし、ゴブリンだもの・・・と言っていますわ」
「ゴブリンとか関係ないだろーっす!」
「ゴブー」(悪かったゴブ~。その剣はそのままあげるからゴブ~)
だから首を絞めるのをやめるゴブ。
「その剣をあげるから許してほしいと言っていますわ」
「この剣は騎士になった祝いに父上にもらった元々自分の剣っす」
「今日一日でずいぶんと仲良くなったのですね。二人で一緒に町にお出かけしてきたのですか?」
「ゴブ~」(肉串を食べてきたゴブ。友達も出来たゴブ)
裏組織を3つ程潰してきたけどまぁその辺りはお嬢様には関係ないゴブからな。
貧民街の教会なんて行くことも無いだろうからお嬢様の石像の存在もばれないゴブ。
「あらあら、お肉も食べて友達も出来たのですね。良かったですね」
幼女テイマーのテトとまた遊ぶ約束をしてきたゴブ。
何か好感が湧くのはテイマースキルのおかげなのかな。
まだまだレベルが低くて従う気にはならないけどな。
「ライアン様も今日一日ミセッティの面倒をみていただきありがとうございました」
「うっす。また教会に行くのなら付き合ってあげてもいいっす」
「ゴブ」(今日は疲れたからご飯を食べて体を拭いたら銀貨を磨かずに寝るゴブ)
「あらあら、今日はいつもの銀貨磨きもせずに寝たいなんて本当によく遊んだのですね」
「えぇ~。今日は銀貨磨きをせずに寝るんですか~。1枚くらい磨いたほうがいいんじゃないですか~」
確かに毎日磨かないとすぐに銀貨はくすんでくるからな。
磨きたいのはやまやまなんだゴブ。
給料が大銀貨のかわりに小銀貨で支払われたのでいっぱい貯まってきたのだ。
マリーいわく、同じお金でも小銀貨でもらったほうがいちいち両替しなくて済むし量が多かったほうがもらった時の満足感が違うからと力説されたのだ。
でも磨く量も10倍になって大変なんだゴブ。
おかげで毎晩寝る前は2時間ほど浄化を掛けながらピカピカになるまで磨いている。1日2枚づつぐらいだが顔が映るぐらいまでピカピカにするゴブ。
幸せな時間だゴブな~。
よしっ、今晩も疲れたけど1枚ぐらいはピカピカに磨いてから寝るゴブ。
「ふふっ、その調子ですぅ。疲れてきたミセッティ様に今晩は私が秘蔵のクッキーをごちそういたしますぅ」
「マリー・・・また何か企んでいるんじゃないでしょうね」




