10-2 衝撃の、星ミエル・デビュー②
それから、その申し出とともに、この芸名を名付けた理由についてのみ、星ミエルは語った。自分は、幼い頃から女優となることを志し、幼い頃から演技の勉強をしてきて、その後、女優になることをはっきりと意識した時、夜、星を見ていた。それからは、毎晩のように、夜、星をみていて、その時は、突然にやってきた。毎夜、夜空を見るのは、もしも流れ星に遭遇したら、その時に、最高の女優になりたい、と、願い事を申し出るつもりであったからなのである。だが、その晩に起こったことは、想像以上のことであった。
それは、いつも変わらずに星を見ている中、期待していた流れ星は、その晩も一向に現れず、いつもと同じ、季節の夜空に現れた星々であり、冬の空気が澄んでいる中、はっきりと輝いていた。そして、ある日の夕方、まだ夜とまではいえぬ、夕焼けのような赤く染まる薄暗い空の中、帰ろうとした、その時、突然、ほんの数十秒だけ、姿を現した1つの赤く輝く星。それこそが、別名、女優星とも呼ばれる星、レッドブレリアンであった。この星を目撃した女性は、まさに、女優の星となる運命の道を定められた証し、という意味を持つ奇跡の星であった。そして、将来、女優の星となることを夢見ていた彼女は、その女優の星となる前に、ほんの数十秒ではあるが、その奇跡の星を見てしまった。そこで、もう、その星が見えてしまったことから、確実に、女優となれることを確信し、星ミエルと、自ら、芸名として名乗ることにしたのである。
だが、この女優星と呼ばれる星、レッドブレリアンには、それとは、全く違う真実の秘密があったのだ。しかし彼女がそれを知ることになるのは、まだかなり先のことであった。
その話しをする星ミエルからは、なぜだか並々ならぬ、女優としての才能というか、とにかく、テリ社長にとって、まだまだ未知のことではあるが、何か大きなひらめきのようなものを感じていた。
「とても気に入ったわ、星ミエル。あなたのことが、ますます気に入ったのよ。これで、もはや、正式な所属は、決まったようなものね。しかし、私は、そんなに甘くない。実力がある人には、その何倍も試練を与えたくなるの。もっとも、それが、このZプロダクションを支えてきた私だからね。」
すると、テリ社長は、同じ事務所に所属している女優、陽毬茉莉絵を呼び出した。
「テリ社長、珍しいですね。新人のことで、頼み事があるなんて。私、作品のことで呼ばれることは、あっても、新人採用のために呼ばれるなんて、初めてよ。」
「そうなのよ。私だって、あなたに、こんなこと頼むなんてね。予想もしなかったわ。いつもなら、新人のテストには、だいたい八雲さんとか、天満さんにお願いしてるわよね。でも、今回は、あなたくらいのレベルの女優さんじゃないと、おそらく対応仕切れないと思うのよ。」
「そうですか。ということは、その新人って、最初から、かなりレベルが高いってことよね。それなら、私の出番なのもわかるわ。ということは、【感情表現テスト】を最初から、レベル3以上でやるということね。」
「その通りなのよ、陽毬さん。」
「その新人に、最初から、【感情表現テスト】をレベル3でやるなんて、今までありえないわ。それなら、1年かけなくても、とっくに合格レベルよね。」
「そうね。だけど、その新人は、もしかしたら、最初から、もっと上からくるかもしれないのよ。だから、こちらからも、それに見合った用意をしないとね。」
「そうだったのね。これは、ちょっと興味あるわ、その子。私も、心してかからないと、レベル3からのテストだなんて、大変かもしれないわね。」
「そうよ、甘く見てたら、大変かもよ。じゃあ、お願いします。そうしたら、もう、じきにお昼になるから、午後1時になったら、そうね、今日の場所は、演技強化室にしようかしら。」
「あらあら、演技強化室を使うとは、また、最初から、期待感がすごいわね。わかったわ。午後1時ね。」
「宜しくお願いします。」




