10-1 衝撃の、星ミエル・デビュー①
ここ、渋宿は、若者たちの街。多くの若者たちが集い、そのファッションや、振る舞いが、国内での流行の最先端を行っているように感じられる場所であり、自分が流行の先をいっていると思われたい人たちで、今日もひしめき合っていた。
つまり、芸能界や、ファッション界からも、その業界での逸材を探しに、ここには多くの芸能関係者が訪れていた。だが、しかし、そんな若者たちを騙して、儲けようとする悪徳業者も、ここを利用するという、今現在の社会の縮図の一つとなっていた。
その通りを歩いていた、1人の少女。すると、ある1人の女性から声をかけた。
その女性こそ、Zプロダクション社長、終乃葉テリ。Zプロダクションとは、多くの芸能プロダクションが、業界には存在しているが、その中でも、女優の中の女優と言われる実力派の女優たちだけが所属している有名なプロダクションである。ここにいるのは、その行き着く先は、最後のZにまで、もはや行き着いた女優たちであり、まさに、実力では頂点に立つ女優たちであった。
そして、テリ社長が、その自らのプロダクションに招き入れる女性たちは、時々、渋宿に赴いて自らの目で確認して、選定して、声をかける。それには、彼女のインスピレーションだけがたよりなのである。それは、その時々によって、判断する基準が異なる。当然、その美貌のみで惹かれて選ばれることもあり、表情のみによって、選ばれることもある。
しかし、声をかけて、所属が決まったのち、1年間は、正式な所属とはならず、社長自らが、その価値を見出して、その能力や魅力を引き出すか、無理だとなれば、所属をいきなりキャンセルとすることも珍しくない。それには、その才能もあるが、まれに、その後の本人の努力によるところもある。つまり、才能があるなしだけではなく、才能があれば、それを本人が活かしていかれるかどうかということ。それと、一見才能がなくても、本人に進化できるほど努力が可能なのかということもある。どちらにしても、仮の所属をしてからが、さらに正式な所属の決め手となるので、声をかけられたとしても、そこからが1番大変なのであった。
今回、声をかけたのは、自らを、すでに芸名として、星ミエルと名乗る少女であった。しかも、その時、声をかけた理由は、見た目の、その美しさであり、また、その表情の豊かさ、そして、さらには、若いのに、その品の良さなどは、テリ社長にとって、その声かけのきっかけに、これほどまでに条件が、いくつも重なることは極めて珍しく、久しぶりに、最初からの期待感が半端ではなかった。しかし、テリ社長は、ただ、その時の感情に流されないように、冷静になって、これから、彼女を見ていくことにした。
すると、星ミエルは、今後、1年間は、まだ正式な所属ではなくて、様子見の期間であることを知っていて、正式に採用されるまでは、自らの本名は明かせないと申し出してきたのである。これには、テリ社長も、驚きを隠せなかった。しかし、交換条件としてのそのことを、逆に悪いものとはとらず、星ミエルが、どんなバックグラウンドを持ち、だが、それを隠すことで、この1年を自身のみで勝負したいという挑戦状として、テリ社長は、嬉しく受け取ったのであった。




