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異次元の女優たち  作者: 宮里英門
第1章 奇才塾 編
111/114

11-5 謎の天才女優、現る⑤

 さあ、いよいよ、通し稽古の始まりだが、まずは、いきなり、娘の悲しみのシーンからだ。いくら、昨日、ビデオをすべて見たからといっても、このシーンは、セリフも、その感情表現もそう簡単にはいかないぞ。美貌野美津子びぼうのみつこですら、このシーンにオーケーが出るまで、何十回かかったと思ってるんだ。みてろよ。


 そして、稽古は始まった。娘の元に、連絡が入った。国王が亡くなったのだ。病院に駆けつける娘。その遺体にすがって泣き続ける娘。


 そして、しばらくして、民衆の前に立つと、演説は始まった、


「私は、父の、いえ、国王の後を継いで、これまでやってきた、国を救うために対処してやってきた事柄の数々を、必ずや、受け継いで成し遂げてみせます。国王の努力を決して無駄にはしない。国のため、国民のために、私は、女王として、必ずや成し遂げてみせます。ここに、お誓いいたします。国王よ、どうか安らかにお眠りください。」


 そのあとにも続いていく、長いセリフ。そのセリフには、国を救っていた国王を失った無念な気持ちと、その、父親に対する愛情の深さと共に、それを後継ぎとしてやり遂げる決意をこめた熱い気持ちがみなぎって、国民にあてた演説が始まり、民衆たちの気持ちに、強く、そして、深く突き刺さる。民衆たちは、感動して拍手喝采となる。


 舞台上で、そのセリフを発すると、キセキトワ以外のキャストや、その場にいる他のスタッフ全員は、今まで味わったことのない、リアルな感動を生で直撃されて、圧倒され、スタッフたちも、つい、つられて拍手をしてしまった。昨日のセリフテストの何倍もの、感動の嵐に全員、言葉を失っていた。


 もはや、誰1人として、クレームなどということは忘れていた。いや、それを忘れていない舞台監督や脚本家たちも、やめさせるどころか、これほど素晴らしい、その演技を続けてみてみたい衝動にかられていた。


 そして、その後も、舞台稽古は、続いていく。すると、さらに、キセキトワの独壇場とも言える、素晴らしい演技の連続に、演出家のグッチー平良津へらずも、途中でアドバイスの隙もない、というよりも、あまりに完璧なキセキトワのセリフと演技に付け入るところが、全く見当たらないのである。


 その後も、舞台監督や脚本家、演出家の3人は、ただ、ただ、その舞台を観ていて、最後まで唸るばかりであった。


 そして、最初、ワナをしかけ、国王が亡くなった悲しみから、民衆に演説するシーンのみで、キセキトワを追い出すつもりが、一気に2時間30分という、長い通し稽古へと突き進み、終わりを迎えた。スタッフや、関係者全員は、思わず拍手して、鳴り止まなかった。


すると、舞台監督から、


「これは、本当に、ただの通し稽古なのか。本番の舞台ではないのか。こんなに大規模な作品で、これだけの大人数のキャストを参加させる作品だというのに、キセキトワ1人で、すべてをやり尽くしてしまったかのような出来栄えだ。あまりのすばらしさに、言葉がない。キセキトワとは、いったい何者なんだ。」



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