表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異次元の女優たち  作者: 宮里英門
第1章 奇才塾 編
110/111

11-4 謎の天才女優、現る④

 舞台監督は、唖然とした。


 なんてことだ。2時間30分もの中で、主役のエメラルダ女王なんだぞ。ほとんど出ているというのに、ただセリフを覚えるだけでも、相当に大変なことだ。それに、タイミングも難しいセリフもたくさんあるというのに、なぜ一度ビデオを見ただけで、大丈夫だと言うのか。


そして、次の日、キセキトワは、その他のキャスト100人と顔合わせをした。


すると、舞台監督から、


「こちらは、美貌野美津子びぼうのみつこさんの代役を務めるキセキトワさんだ。とりあえず、これからの通し稽古を一緒にやって、頑張って行こう。」


 すると、皆、口々に言っている。


 あれが、エメラルダ女王の代役だって。まだ、20才過ぎくらいじゃないか。有名な代役屋か何か知らないけど、無理に決まっている。我々を馬鹿にしているな。


 すると、舞台監督は、キセキトワに隠れて、改めてキャストたちに話しをした。


「いいか、皆、ちょっと聞いてくれ。実は、昨日、あの代役屋が来たので、テストでセリフを言わせてみたが、意外にもけっこう線いっていたのは、確かなんだが、ところが、、。」


 話しは、昨晩のこと。皆が帰る頃、舞台監督、演出家、脚本家の3人は、集まって、キセキトワのセリフのテストが意外にも、高評価だったので、万が一のことを考えて、とりあえず代役を決めたまま、各方面へ手配をしていた。


 すると、その時、黎明劇場の本部から連絡が入り、代役に、美辞麗子びじれいこが今、スケジュール調整中だという。明日の正午までには、確実に決定する予定という。


 それを知った3人は、急死に一生を得たような驚きで、まさに脱力状態になった。それなら、代役屋を辞めさせて、美辞麗子びじれいこで決まりだと、3人の意見は一致した。美辞麗子びじれいこは、美貌野美津子びぼうのみつこには、及ばないが、美辞麗子びじれいこだったら、充分に代役を果たしてくれるに違いないと、昨夜のうちに、代役問題は、無事に解決した。


 すると、舞台監督から、


「これで、代役屋を断わることになったから、私から、連絡してこよう。」


ところが、演出家から、


「ちょっと待ってくれ。今回の舞台は、せっかく、これだけベストメンバーを集めてきたというのに、あの代役屋は、自分の方が演技が上手いとか言ってたな。たしかに、予想以上の演技力かとは思ったが、このまま、すんなりやめさせるわけにはいかない。明日、朝から通し稽古だろ。だったら、そのまま、やってもらったら、いいじゃないか。」


「それじゃあ、一応、可能性を見てみるというのかい。美辞麗子びじれいこに決まりだというのに。」


「いやいや、そうじゃないさ。この舞台は、始まったら、まず、国王が亡くなるだろう。そして、娘は悲しみの中で、国王の後を継いで国の復興を国民に誓うという、とても大事なシーンがあるじゃないか。それも、国王の父親に対する愛情をこめながら、国民に演説するシーン。」


「ああ、そういえば、あのシーンは、かなり難しいシーンだな。たしか、あの美貌野美津子びぼうのみつこもかなり手こずった難しいシーンだ。」


「そうだ。だから、あの代役屋に、あのシーンを朝1番でやらせるのさ。それで、皆で、クレームをつけて、恥をかかせてからやめさせてやる。そうすれば、2度と代役屋もできなくなるだろう。昨日、あんな口をたたかれて、このまま、ただやめさせるのは、悔しい。恥をかかせてからだ。」


ということで、キャスト全員にも、それを伝えて、演説が済んだら、皆、全員でクレームを入れるという筋書きで打ち合わせができたのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ