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異次元の女優たち  作者: 宮里英門
第1章 奇才塾 編
105/108

10-8 衝撃の、星ミエル・デビュー⑧

「さて、星ミエルさん、もうすでに、テストは、一度終わったのだけれども、社長の私が、自ら、もう1つだけテストを試したいのよ。最初に言っておくけれど、あなたは、もう合格よ。1年待たずに、こんなに早く合格したのは、あなたが初めて。他にも、1年より早かった人はいるけれど、ここまで早いのはあなたが初めて。それで、このテストは、私が個人的にも、ぜひ、もう一度、あなたの実力を試したいと思って行なうものなので、それでは始めるわね。」


 すると、テリ社長は、部屋の操作板に再び設定をして入力を済ませると、メインスイッチをONにした。星ミエルの正面に座り、深呼吸をして、気持ちを落ち着ける。


「それでは、今から、あなたに、何かセリフを言ってもらいます。それは、どんなものでもかまわないわ。今、ここで作ったものでもかまわないし、過去に見た映画などに出てきたセリフとかでも、なんでもいいわ。もちろん、短くても長くても、すべてあなたにお任せします。そのセリフを発するまで、多少の時間がかかってもかまわないので発する時は、何か合図をしてね。では、始めてください。」


 星ミエルは、テリ社長の正面に向かうと、一度だけ、軽い呼吸をして、気持ちを整えた。


 テリ社長は、次に、セリフが出てくるまでに、それほど時間がかかることはないと確信して、そのセリフと、彼女のその気持ちの表現力に期待した。しかし、それは、テリ社長の柄にもなく、かつてないほど大きな期待感が込められていた。


 だが、その1分あとにも、セリフは出てこない。そして、さらに数十秒が過ぎていくが、どうしたものなのか。


 だが、テリ社長は、セリフ以外のものを、すでに感じ始めていた。それは、星ミエルと自分との、この2人だけの状況に、思いがけない緊張感が漂い始めていた。その緊張感は、テリ社長が、現役の女優として、現場で味わって以来のものであり、社長は、うっ、となり、急に、ゴホゴホと、咳き込み始めた。それは、久しぶりの、自分が演技派女優と現場で感じた時以上の緊張感であり、思わず、喘息の症状が起こっていた。


 しかし、その咳き込んだものは、すぐに、さらに感じた強い緊張感によって、今度はその症状はかき消されていった。それは、心地よい緊張感となり、それは、星ミエルが、言葉には出さずとも、もはや、セリフを発する予感がした。なんと、それは、そのセリフを告げるに相応しい状況と、空間をまず先に作り出しているのであった。


 そこまでで、テリ社長は、すでに驚愕していた!


 なんということ!これから、自分から発するセリフを、先に、その感情を込めるための、そのための状況を先に作り出すなんて、こんなこと、初めてのことよ。それで、そのセリフの臨場感を作り出しているなんて!それに、この、星ミエルが作り出している緊張感は、いったい、何!私が、喘息の症状を起こしている、嫌なものではなくて、こんなに心地よい、そして、ドラマなどで、その展開にワクワクする時の緊張感と同じよ!



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