10-4 衝撃の、星ミエル・デビュー④
「さて、星ミエルさん、それじゃ、始めましょうか。【感情表現テスト】というのを、今回レベル3から始めるわよ。1からではなくて、3からだと、ちょっと難しいかもしれないけど、何回でもいいから、焦らずにやりましょう。それでは、ちょっと待っててね。」
陽毬茉莉絵は、その部屋の隅にある、電気操作板に、スイッチを入れると、操作板に様々な入力をして、その部屋の機能をレベル3で発動させるため設定を済ませた。
「それでは、準備完了よ。まずは、【喜びのアクト3】から、いくわね。」
すると、徐々に、その部屋の空気感が変化していく。それは、やがて、そこにいる、すべての人間が、そこにいる人間の演技力を敏感に体感できるようなレベルへと上がっていく。そして、自分はもちろん、そこにいる人たちの感情が、通常よりも、敏感に感じられて、自らも、感情表現の繊細さを感じられるようになってきた。それも、最初から、レベル3というハイレベルで、発動し始めていて、とても初心者に対して行なうレベルではない。
その後、30分に渡り、各種の感情表現のテストが行われた。だが、ここで予想外のことが起こっていた。実は、30分行われるはずが、その半分の15分で、すでに終わり、陽毬は、別のことを考え始めていた。
そして、終了時間の午後2時となり、演技強化室の扉が開いて、2人とも出てきた。そこに、気がついたテリ社長は、驚いて、声をかけたが、それをさえぎるかのように、焦って、それを言葉にする陽毬茉莉絵。
「テリ社長、ちょっと、いいですか。社長室で、2人でお話しがしたいのです。」
「わかったわ。テストの結果か何か気がついたことがあるのね。」
社長室に入った社長と陽毬茉莉絵。
「実は、【感情表現テスト】は、【喜びのアクト3】から始めて、続いて、【悲しみのアクト3】、とそこまでを行なっていきました。指定したセリフを言ってもらった時、そこには、なんとも言えない感情が伝わり始めてきたのです。それが、いつもテストしているシーンから感じているものを、はるかに超えてきていたんです。しかし、この演技強化室にいるというのに、ここまで超えてくることはないです。かなりの演技力なのは、間違いないので、2回のアクトを経て、【感情表現テスト】は、そこまでにして、今度は、アクティレーザーを使ったんです。」
それを聞いて、驚くテリ社長。
「なんですって!陽毬さん、よりによって、アクティレーザーを使うなんて。あれは、初心者には、使わないことはわかっているでしょう。それで、計測不能のエラーが出てきたでしょ。下手をすると、アクティレーザーそのものがこわれてしまうかもしれないのよ。」
「いいえ、社長さん。それなら、大丈夫です。【感情表現テスト】が、もう限界にきてしまって、アクティレーザーしか、方法がなくなってしまったんです。それに、エラーがでるどころか、正式な測定値を弾き出しただけでなく、それは、とんでもない数値を計測してきたんです。」




