54話 〈次の管理人は〉
「ねえ、そこにいるお姉ちゃんはあの男の人の味方なの?」
「ねえ、お姉ちゃん。お願い。あの男を殺して」
「お願い」
ワラワラと女児たちがよってきて懇願してくる。多分、この子たちは管理人に殺害された子供たちだ。
「次の管理人はオマエダ」
囁きが重なる。管理人になれ、あの男を殺せ。さあ、あやめろ。
もうあの男は用済みだ。
「ヒッ」
ユルカは思わず懐中電灯を投げ出して、倉庫を飛び出した。ドアによりかかり、ずり落ちる。
るるみは自分が次の管理人になるのを望んでいる?
(それじゃあ、連鎖が続くだけ……なんとか、なんとかしなきゃ……)
ユルカが管理人を殺めても、このマンションの状況は変わらない――シンリュウ、と不意に頭で言葉が浮かんだ。
「彼女の力を借りられれば……」
そうこうしていると階段から何やらまた人々の話し声がして、気になった。鍵を握りしめ、恐る恐る腰を上げる。
階段の方からだ。
住人たちの話し声だろうか……。
そっと階段をのぞくと担架にブルーシートが被せられた何かが警察によって運ばれていた。
「っ!」
口を咄嗟に塞ぎ、シートから覗いたものに吐き気がした。
あれは自分自身であった。
警察と担架は下層へ下っていく。「お姉ちゃん、やっと信じてくれた?」
いつものように、るるみが三輪車に乗って問うてくる。
「わたしは、死んで……でも次の管理人には、なりたくない」
「どうするの? るるみはあの人は大嫌いだけど、殺されてないからユルカに殺めてほしいとは思わないよ」
「え」
「お七お姉ちゃんのために、るるみは死んだんだ」





