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7階 ~呪われマンション『ヒアアフター』~  作者: 犬冠 雲映子
ユルカのゆるゆる夜勤勤務
49/59

48話 〈大きな沼があったとさ〉

「貴方が八和田さん?」



 階段から広田が音もなく降りてきて、ユルカは半ばホッとした。普段から話している人物が現れると心強い。


「……妖怪? ろくでもない気配がする。アンタ、何者?」

 しかしシンリュウは警戒心を高めたようで、双方静かに睨み合った。



「私は広田 晴子。このマンションの住人だけど」

「そう。るるみとはまた異なる気配がするわ。許鹿に何かしてないでしょうね」



「あら、ユルカちゃんと知り合い? ……まあ、いいわ。その日記見つけちゃったのね」

 ユルカは「あ、あーまあ」としょぼくれるしかなかった。


「ここはね、昔旅館があったでしょ? そのもっと前は湿地帯だったの。田んぼにもしないで村の人は恐れていた、怖い荒神が住むという大きな沼があったのよ」

「へー、知りませんでした。沼って怖い神さまが住むもんなんですね」


「許鹿……本当に何もかも忘れているみたいね」

 シンリュウに呆れられ、困惑する。




「博識な贄は厄介だもの。それに本人もツライだけよ」

「贄?!」





「そうよ、この池――沼は贄が必要だったのよ」

 丹君旅館には池があった。旅館は添え物で池が本体のようなものだった。


 池はかつてさらに巨大な沼だった。沼には荒神が住み、何年かに一度……悪さを起こし、贄を欲しがる。そう言い伝えられ、酒に酔わした村人を沼に沈め捧げていた。


 そうするとピタリと状況は良くなる。





 沼に住むものが何なのかは分からないが、とにかく末恐ろしい。鬼か、大蛇か、それとも神か。

 この村はそうやって過ごしてきた。

こういう話、良くありますが不思議ですよね。

闇が深そうですが。

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