44話 〈手記は語る〉
――私は、点検がきちんとなされていたかを確かめるためにマンションへ来た。燃えた内装やらを見てきたがひどいもので、とにかく私が……藤野が飛入市に来たのは昭和59年。火事が起きた年になる。
(飛入……知らない土地。東京なのかな、でもラジオからはそんな土地聞いた事ない)
――もしもこの手記をみている者が昭和の人でなければ教えてあげたい。東京都で大規模なホテル火災が近年起きたのだ。ついで、この年に起きた火事も火災報知器の不備やらで間違いないと思う。だが、このマンションはどうやら業が深そうだ。
(……火災報知器……あの、水浸しになるからって停めた。だから火事が起きた? この人は確かめに来たから警察官なのかな)
真相は不明だが、彼は事前にマンションの歴史を調べたようだった。
ビジネスホテルの前身、丹君旅館の時代にも火事が起きた事。それ以前にこの土地にまつわる大火があった事。
そうして丹君は丹……火を連想させる内装だったらしく、縁起が悪いと地元からも不評だった事。
そうして緋日村という村がこの土地にあった事。
火。
火に囚われた土地だった。なにかの因縁か、偶然か。
ユルカは悪い偶然が重なったのだと理解したかった。超次元な事柄はもうごめんだ。
(この人は調べていたから取り込まれた? 私ももしかしてこの土地を調べたりしたのかな)
スプリンクラーを義務化したのが昭和49年です。確か。




