表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7階 ~呪われマンション『ヒアアフター』~  作者: 犬冠 雲映子
ユルカのゆるゆる夜勤勤務
40/49

39話 〈ユルカ 困惑する〉

「街? そういえば貴方、マンションから出た事なかったわね」

 深夜に帰ってきたOLの住人ははて、と首を傾げた。


「なーんにもないフツーの街よ」

「フツーとは……私はフツーを知らないんですよ……」

「そうね、電車はあるし、スーパーもあるし……あとはうーん。住宅地ね」


「スーパー! 行ってみたいです!」

 ユルカは目新しい単語のあまり、席を立ってしまった。


「……。いやいや、ユルカちゃんは難しいんじゃないかしら」

 それに対し広田は難色を示し、どうしたものかと口を閉じようとする。


「ええっ、なんでですか?」

「色々よ。色々」

「……えー」



「私たちは……死んでいるからです」



 いきなり気配もなく現れたのは蒼南樹(そなた)だった。腕には壊れた防犯カメラを抱えている。


「え、あ、あのーまたやらかしたんですかー。というか、死んでるって」


「薄々気づいてたんじゃないの? 貴方、今までどうやって生活してきたわけ」

「い、いやいや……、皆さんいきなり何を言い出すんですかっ」




 脳裏に倉庫でみた資料や恐怖体験がよぎる。摩訶不思議な幼女や、管理人のおびえた姿。だが自分自身は確かに生きていて、こうして会話して……脂汗がにじみ、二人を見た。



「ソナタちゃんに根負けしてね。貴方の素性を知ったの。真流さん、という人が貴方を探してる」


「え、えー、広田さんまで。……そのシンリュウさんは、私を知っていてどうしたいんですか?」


 ソナタが神妙に小さい声で言った。



「ヒアアフターから解放してあげたい、って。ユルカさんは、7階を鎮めるために犠牲になったんだ……と、聞きました。だから」

「あー、え、えーっと、ちょっと整理させて」



 椅子に座り、うーん、と唸る。シンリュウという人の人相も全く思い出せないし、以前の己がなぜマンションへ足を踏み入れたかも分からない。


 だがまずは。

「不自然な点を探していこうと思う。今まで気付かなかった所を一つ一つ」


「ユルカさん!」

 ソナタが防犯カメラを床に落としてしまった。



「あ、それ、器物破損だからね……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ