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38話 〈ユルカ 外が気になりだす〉
ユルカは今日も怪奇現象と向き合いながらも、夜を過ごしていた。昭和の高度成長期頃を思わせる古めかしいラウンジを眺めているのは好きで、奇っ怪なエレベーターの故障や霊障さえなければ最高の空間である。
7階は今夜も騒がしい。
彼らは寝ている間がないのだろうか。まあ、ユルカも夜勤勤務に徹しているので大差はないが……。
(そういや、街に繰り出した事ないなあ)
記憶喪失になり、拾われてからこのマンションしか知らない。駐車場から見える景色にはあまり興味をもってこなかった。
(どんな街なんだろう。街……うーん、都会ってわけじゃなさそうだし。丁度いい感じなのかな〜)
ユルカの中で都会や田舎は、ラジオからの情報しかない。以前の自分は何をしていたのか――どのような街に住んでいたのか。
気になったが、それよりもこの街について知りたくなった。観光もしてみたい。
美味しいスイーツ屋さんにも行ってみたい。
「今度、藍田さんたちに聞いてみよう」
彼女はワクワクしながら呟いた。
これまたお久しぶりになりました。




