表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7階 ~呪われマンション『ヒアアフター』~  作者: 犬冠 雲映子
ユルカのゆるゆる夜勤勤務
37/38

36話 〈血染みの桜〉

 草木も眠る丑三つ時。桜の花びらがロビーに舞い込んで渦を巻いていた。駐車場には桜を植えていないし、ましてやもう初夏だ。


 どうしようか、と考えていると――とりあえず桜は綺麗なので記念にチェキで撮ってみる事にした。



「ああ、やだ。例の桜だわあ」



 いきなり背後から声をかけられびっくりしたが、そこにいたのは遅くに帰って来た広田さんが、渋い顔でそれを見下ろしている。


「えっ、桜っておめでたいものじゃないんですか?」


 記憶喪失のユルカには桜とは美しく儚い代名詞としか情報がない。だが、彼女はまた曖昧な顔で言う。

「この桜、貴方が来る前から毎年、この日になるとこうなるの。近くに桜の木はないし、花びらなんて不気味でしょう? それに」

「それに?」


「次の日、血の染みになっているなんて。いやよ」

「血のシミ?!? 桜の木って血が流れてるんですか??」



 広田は一転して笑うと、それもそれで粋かもね、と呟いた。


「ユルカちゃん。桜はもっと儚く妖しいのよ、夜桜なんて特に。いつか見せてあげたいわ」

「え〜〜夜桜とか憧れます」


「7階より本当に魅力的よ、ユルカちゃん」

「え? ま、まあ」


 肩をポンと叩かれ、広田さんは階段を上がっていった。

「7階と桜……? 似ても似つかないけど」

 とりあえずチェキで桜吹雪の跡を撮ってみた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ