表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

0.序章

──天都


国内最大の導力中枢都市。

政府機関、研究施設、導士育成学園。導力に関わるあらゆる機能が、この街へ集約されている。


青代神門(あおしろみかど)は、その煌びやかな街並みを眺めながら、小さく息を吐いた。


白銀の高層塔。

朝焼けを反射する硝子壁面の合間を、幾筋もの導路が蜘蛛の巣のように走っている。

空中投影された広告群は淡い導光を滲ませながら絶えず色を変え、周囲には無数の人が忙しなく行き交っている。

巨大都市特有の喧騒すら、ここではどこか現実感が薄い。


「…………変わんねぇな」


小さく溢れた声は周囲の音にかき消される。


一年前。


名門・導ノ宮学園の高等部に在籍していた神門は不法導力行使の責任を問われ停学処分を受けていた。


少し遠くに砂埃が舞い、行き交う人の波が割れる。

どうやら導士サマ方が今日も街で正義を貫いてくださっているらしい。


神門はそちらを一瞥した後、視線を逸らす。

別に珍しい光景でもない。今から“戻る”場所ではいくらでも観れるのだから。


──────導ノ宮学園高等部


しかも、単なる校門ではない。

高位導術と異能によって構築された、大規模転移門である。

広大な敷地を持つ導ノ宮学園では、生徒たちはこの転移門を経由して各区画へ移動する。


鳥居の内側では淡い導光が絶えず明滅していた。

許可証、及び学生証を持たない者が通過しようとすれば、術式そのものに弾き出される仕組みらしい。


空間そのものを別軸へ隔離しているのか。

あるいは、まったく別系統の理論なのか。


神門には判別する術がない。


だが、それだけの技術と導力を投入する価値が、この学園にはある。


名門五色位の後継者。

国家直属機関への推薦候補。

将来を期待された導士たち。


この場所は、文字通り国の未来を育てるための学園だった。

ここを潜れば、三年間をこの学舎で過ごすことになる。


足を踏み入れようとした瞬間、ふと周囲の空間が揺らぐ


六つの人影がゆっくりとこちらに向かって歩いてきていた。


漆黒に染まる軍服。

その中央、一人だけが神門と同じく導ノ宮の純白の制服に袖を通している。


しかし、周囲の視線を集めている理由は、その美しい容姿だけではない。

右腕に揃って巻かれた腕章。


天導士団 特務隊『夕星(ゆうづつ)


神門と同じように転移門を潜ろうとしていた生徒たちは、思わず足を止めその姿に魅入る。


先程まで忙しなく動く人で埋まっていた道中も、自然と道を開けていった。


特に視線を浴びているのは、中央にいる導ノ宮の生徒

胸元につけられた学章から見るに、高等部の一年生。


見覚えしかない


白銀の髪を朝日に滲ませながら、少女は静かに歩く。

周囲から向けられる無数の視線など意に介した様子もなく、美しい顔に浮かべられた表情は無機質だった。

その大きな蒼い瞳だけが、宝石のような輝きを写しながら揺らめいている。


白露海美(しらつゆうみみ)


国内に二つしか存在しない白位。その一つ〈白露家〉総本家の長女。


どこにいても目立つ、何度見ても忘れれられないような彼女は今日も人の視線を集めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ