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Prosthetic War Online  作者: FURU
2章 動き始める世界

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16/18

Mission12:段取り八分

本人は無自覚のつもりだけど、主人公も立派な「変態」(【 game form 】社製ゲームの廃人プレイヤー)です。


 【 prosthetic war 】で初の接触となる他プレイヤーは、俺が向こうの接近を探知してから然程時を置かずに、その姿を捉えることが出来た。


『ピピ』

(あれか。)


 視界に小さく表示された四角い2つのマーカーの中には、まだ小さくて見えにくいが2機の〈ゴリアテ〉が、こちらに駆け足で向かって来ているのが視えた。

 武器を持っているのは仕方ないことではあるが…どうやら、少なくとも今すぐこちらに襲い掛かって来るつもりは無さそうだ。


『お、あれじゃね?』


『うおぉマジか…。

 …チェリー使う奴ってホントに居たんだな。』

 

(…っても、素直に迎えるわけ無いんだなこれが。)


ス…

『ピピ…、ピ』

『マスター…?』


 マーカーに〈トルバーⅠ〉のレティクルを直撃コースで合わせた俺を、訝しげに呼ぶツクヨミ。


 PVも有りのゲームに於いて、フレンド以外の他プレイヤーは潜在的な敵である…というのが俺のスタンスだ。

 しかも今の俺には襲われる心当たりもあるわけで、イベント中であるにもかかわらず他プレイヤーに接触しようというのも怪しく思える。

 …決して「チェリー」と言われたからでは無いということは、悪しからず。


『…ん?てかあれ、こっち狙ってね?』


『おっほ!?マジじゃん!!』


『『………』』


 こちらを目視してからずっと何やらと喋っていた〈ゴリアテ〉二人組は、漸く〈トルバーⅠ〉の砲口が自分達に向けられていることに気付いたようで、無言となって顔を見合わせる。


 その間凡そ3秒。

 俺がその気であれば、ファイアレート優先で既に3発は撃っていたことだろう。


(素か…、油断を誘っているのか…。)


『『うわぁああっ!?』』


 俺が訝しんでいると、今更悲鳴を上げる二人組。


『待てっ、撃つな、ドンシュー!』


『そ、そうだ!俺達は怪しいモンじゃ無ぇって!』


 …俺の油断を誘うにしても、敵の目の前で数秒間もの隙を曝すのはやり過ぎだ。

 数的優位からか、たとえタイマンでも俺に勝つ自信があるからかは知らないが、正直に言って…この程度のプレイヤー2人に俺がキルされることは無い。

 

 そう思う俺こそ油断していると言う奴はいるだろうが、あまり元「{禊の闘技}Top100常連ランカー」の俺を舐めない方が良い。

 一瞬の隙が命取りになる遣り取りを、数時間ぶっ続けで殺っていたあの頃に比べると明らかに腕は錆び付いてはいるが、最近は僅かにでもあの時の戦闘勘が戻って来ている。


(ま、今は乗ってやることにするか。)

 

スッ

「あ…あ~、マイクテスマイクテス。

 聞こえてるか?」


 俺は一旦〈トルバーⅠ〉を下ろし、〈ゴリアテ〉の二人組に呼び掛ける。


『ッ…お、おう!』

『あ…ああ、聞こえてるぜ。』


(ふむ…。)


 二人組の内、俺が武器を下ろした際の動きに反応を見せた方は、天狗になるのも分からなくは無い程度には手練のようだ。

 しかし反応を俺に見せた時点で{禊の闘技}の「変態」共には及ばず、もう片方については論外だ。


 そんな内心を心の内に秘めた俺は、能天気を装って二人組とコミュニケーションを取ることにした。


「いやぁ、スマンな。

 てっきりクソウサギの親玉かと思って。」


 ついでに俺に対する二人組の立場を俺の中で確定させるべく、二人で揃いの“逆関節の脚部”について冗談交じりに訊ねる。


『クソウサギ…?

 ああ…この足か?イカすだろ?』

ガシュッガシュッ


 俺の言葉に一瞬困惑した二人組の手練の方だったが、俺が言っていることを理解すると、自慢するようにその場で数歩動いて見せる。


「ああ。

 だが俺はそんなパーツ、見たこと無いぞ…?」


 二人組は〈ラビットレッグ〉を随分と気に入っているようで、俺の適当な肯定を気にすることも無く、手練では無い方が〈ラビットレッグ〉について嬉々として語り始める。


『コイツはな、お前の言うクソウサギ…多分〈RHラビット〉のことだろうが、そいつの激レアドロップなんだぜ!』


 知ってる。


「ナンダッテーッ!」


 俺がオーバーリアクションしてやれば、語り手の口はヘリウム並みに軽くなる。


『んでコイツは激レアなだけあってスゲー効果付きでな─』 

『おぉっとトロス、俺にも喋らせてくれ。』


 が、〈ラビットレッグ〉のパーツ効果を話そうとした片割れ─プレイヤー名はトロスというらしい─を、手練の方が遮る。


『っと、済まねぇ兄貴。』


『バカッ!俺のことはオルトって呼べよな。』


 どうやらこの二人組はリアル兄弟でプレイしているらしいが、ゲームにリアル事情は無粋。

 俺は二人組のリアル事情になど気付かなかった。


(…にしてもオルトにトロス、か。)


 部隊エンブレムは双頭の犬だろうか?

 …中々に仲が良いようだ。


「…で?

 変に勿体ぶられて、気になって仕方無いんだが?」


 こういうゲームではステータスやスキルの詮索はマナー違反…では無いものの、あまり良い行為では無い。

 しかし今回に関しては、向こうの落ち度である。


 そしてそれは向こうも分かっているようで─

 

『はぁ…トロス、後で説教な?

 んん゛っ!今回はこっちが悪いからな、特別だ。』


 ─そう前置きしたオルトは、俺に〈ラビットレッグ〉のパーツ効果を[速度+10%・ブーストダッシュ]と騙ったのであった。


義体ステータスの[・ブースト]やパーツ効果は

パッシブとアクティブの2種類の効果が付きます。



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