表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/36

第九話 「終点」

ガタン……ゴトン……。


列車は闇のトンネルを走り続ける。


車内には重い沈黙が広がっていた。


顔のない乗客たちは、全員こちらを向いている。


誰一人瞬きしない。


カイは座席を握り締めた。


「……なんなんだよ、こいつら」


返事はない。


ただ、じっと見ている。


その時。


車内アナウンスが再び流れた。


『生存率を確認します』


全員のスマホが同時に震える。


【現在生存率】


朝霧カイ 18%


羽川木更 ???


その他生存者 3〜11%


「18……?」


低すぎる。


木更の表示だけ“???”になっているのも異常だった。


カイが彼女を見る。


「なんであんただけ……」


木更は答えない。


代わりに、窓の外を見ていた。


真っ暗なはずのトンネル。


だが時々、“何か”が並走している。


白い人影。


逆さまに天井を這いながら、列車と同じ速度で追いかけてくる。


「見るな」


木更が小さく言った。


「窓の外を長く見ると、認識される」


その瞬間。


向かいに座っていた男が、震える声で呟く。


「……誰かいる」


男は窓へ顔を近づけていた。


外の闇。


そこに。


女の顔が浮かんでいた。


窓のすぐ外。


真っ白な顔。


目だけが異常に大きい。


女はニタァッと笑った。


「っ!?」


男が悲鳴を上げた瞬間。


窓の外から大量の手が伸びる。


バキバキバキッ!!


ガラスが割れた。


冷たい風が吹き込む。


白い腕が男を掴む。


「助け――!!」


ズルッ。


一瞬で男は窓の外へ引きずり出された。


列車は止まらない。


外から、男の絶叫だけが遠ざかっていく。


車内は静まり返った。


誰も助けられなかった。


そして。


顔のない乗客たちが、ゆっくり立ち上がる。


ギギ……。


関節がおかしい動き。


全員同時。


スマホ通知。


【警告】


車内に“非生存者”を確認しました。


「非生存者……?」


その時。


一番近くの乗客の顔に、亀裂が入った。


ベキッ。


顔の表面が割れる。


中から現れたのは。


大量の“目”だった。


「う、うわぁぁぁ!!」


生存者たちがパニックになる。


次々と乗客の顔が裂ける。


無数の目。


無数の口。


車内いっぱいに、笑い声が響いた。


ケタケタケタケタ――!!


木更が短刀を抜く。


「カイ!!」


「次の停車駅で降りる!」


「この列車に長くいたら、人間じゃなくなる!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ