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第十話 「選別駅」

ケタケタケタケタ――!!


異形の乗客たちが通路を埋め尽くす。


裂けた顔。


無数の目。


口の中からさらに口が覗いていた。


生存者たちは悲鳴を上げながら車両後方へ逃げる。


「来るなぁぁ!!」


一人の男が鉄パイプを振り回す。


だが。


乗客の一体が、首を180度回転させながら笑った。


次の瞬間。


男の腕が消えた。


ボトッ。


遅れて血が噴き出す。


「ぎゃああああ!!」


カイは息を呑む。


“食われた”んじゃない。


存在そのものを削られている。


木更が前へ出る。


「伏せて!」


バン! バン! バン!


銃声が車内へ響く。


目玉だらけの乗客が吹き飛ぶ。


だが床に落ちても、笑いながら這ってくる。


「キリがない……!」


列車が大きく揺れた。


その瞬間。


車内アナウンス。


『まもなく――選別駅』


『生存者は降車準備をしてください』


ブレーキ音。


ギギギギギ……。


列車が減速する。


窓の外に、駅のホームが見えた。


だが普通じゃない。


壁一面に、赤い文字が書かれている。


『人間を捨てろ』


『模倣されろ』


『ここから先は選別区域』


ホームには大量の人影が立っていた。


全員、こちらを見ている。


顔はない。


木更が舌打ちする。


「最悪……」


ドアが開く。


プシューッ。


その瞬間。


車内の怪物たちが、一斉に叫んだ。


ギャアアアアアアッ!!


「走れ!!」


木更がカイの腕を掴む。


生存者たちは雪崩れるようにホームへ飛び出した。


だが。


最後尾にいた女子高生が転ぶ。


「あっ――!」


怪物の腕が彼女の脚を掴んだ。


「助けて!! 助け――」


ズルッ。


列車の中へ引きずり込まれる。


ドアが閉まった。


ガン!! ガン!!


内側から大量の手形が窓へ叩きつけられる。


女子高生の絶叫。


そして。


沈黙。


列車は再び動き出し、闇の中へ消えていった。


ホームに残された生存者は、わずか七人。


全員、疲弊していた。


その時。


駅構内の巨大モニターが突然点灯する。


ノイズ。


砂嵐。


そして、一人の少女が映った。


白いワンピース。


長い黒髪。


顔だけがぼやけて見えない。


少女は静かに言った。


『おめでとうございます』


『第一選別を通過しました』


カイが睨む。


「お前……誰だ」


少女は少しだけ首を傾けた。


『私は管理者です』


『この区域を観測しています』


木更の目が鋭くなる。


「……管理者」


少女は続ける。


『次の区域では、“人格複製”が始まります』


『自分自身を信じないでください』


その瞬間。


カイのスマホに、新しい通知が届いた。


【複製開始】


朝霧カイのデータを取得しました。

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