第七話 「七番ホーム」
ガン!! ガン!! ガン!!
鉄製シャッターが次々と閉まる。
地下通路が震え、生存者たちの悲鳴が響いた。
「閉じ込められる!!」
「走れ!!」
羽川木更が先頭に立つ。
「七番ホームへ向かう!」
「遅れたら死ぬわよ!」
カイたちは暗い地下通路を走り出した。
後ろでは模倣者たちが、壁と天井を這いながら追ってくる。
ケタケタケタ……。
人間の笑い声を真似しながら。
「速すぎるだろあいつら……!」
カイが息を切らす。
木更は振り返りもせず答えた。
「音に反応してる!」
「騒ぐな!」
その瞬間。
後方で転倒する音。
女子高生が足を滑らせた。
「あっ――!」
模倣者が一斉に動く。
天井から白い腕が伸びた。
「いやぁぁぁ!!」
木更が即座に発砲。
バン! バン!
一体の腕を吹き飛ばす。
「立ちなさい!!」
女子高生は涙を流しながら立ち上がった。
だが次の瞬間。
通路の電気が消える。
真っ暗。
「……っ!?」
誰かの荒い呼吸。
走る音。
そして。
耳元で囁き声。
「みぃつけた」
カイは反射的に振り向く。
白い顔。
目の前。
「――ッ!!」
ドン!!
カイは壁へ叩きつけられた。
模倣者が四つん這いで覆い被さってくる。
その顔は、半分カイ自身だった。
「お前……に……なる……」
口が裂ける。
白い指がカイの首を掴んだ。
息ができない。
その瞬間。
銀色の閃光。
ザンッ!!
模倣者の腕が切断された。
「立て!!」
木更だった。
彼女は拳銃ではなく、黒い短刀を持っていた。
模倣者が悲鳴を上げる。
人間みたいな声で。
木更はカイを引き起こした。
「急ぐわよ!」
「七番ホームまで、あと少し!」
再び走り出す。
そして前方に、古びた駅の看板が見えた。
七番ホーム
だが。
ホームへ続く階段の前に、“誰か”が立っていた。
黒い制服。
血だらけの顔。
カイは目を見開く。
「……嘘だろ」
それは。
数日前に失踪したはずの、同じクラスの担任教師だった。
しかし様子がおかしい。
首が不自然に曲がっている。
口元だけが笑っていた。
教師はゆっくり口を開く。
「おかえり」
その瞬間。
ホームの奥から、列車の音が響いた。
ゴォォォォォ――。
地下に、あり得ない“電車”が入ってくる。




