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第二章 橋城(きょうじょう)での邂逅と…… 第二話 橋の上の都市

  ショウが圧倒されて立ち尽くしている間にも、

  橋の上では人々の生活の音が響いていた。


  荷車の軋む音

  商人の呼び声、

  川風に揺れる布のはためき

  それらすべてが

  巨大な橋の上で鳴っている。


  「ぼさっとしてねえで行くぞ。

   セイラン侯に挨拶しねえと、橋城には入れねえ」


  「えっ、あの城に……?」


  「……こわい……

    でも……行く……」


  アララはショウの肩にしがみつきながら、

  橋城の奥をじっと見つめていた。


  橋の入口へ向かう途中、

  橋の側面に張り付くように

  広がる橋脚区が見えた。


  石造りの家々が橋脚に沿って並び、

  家の下には川へ降りる階段が伸びている。


  橋脚の間には水車が回り、

  霧を避けるための布があちこちに張られていた。


  「……橋の下にも街があるのか……」


  「あそこは職人街だ。

   橋の修理工房、船大工、霧よけの職人……

   橋城を支えてるのは、こういう連中だ」


  アララが体をピクリと震わせた


  「アララ?」  


  「……声が……少しだけ……

   でも……弱い……」


  「橋の声……?」


  「わからない……

    でも……苦しいって……」


  ショウは胸がざわつくのを感じた。


  橋の中央へ進む

  相変わらず霧が濃い

  その中に突然

  色とりどりの布や果物が並ぶ市場が現れた。


  霧灯むとうと呼ばれる魔力灯が淡く光り、

  霧の中に浮かぶように店が並んでいる。


  歩いていると


  「おーい、旅人さん!

   霧よけのマントはどうだい!」


  「霧よけ帽子もあるよー!」


  「賑やかなもんだな」


  ベルモンドは、集まってくる商人を手ではらいながら


  「霧はこの街の日常だ。

   慣れりゃどうってことねえ」


  「……でも……

    この霧……重い……」


  「重い?」


  「うん……

   風がうまく……吹かない

   誰かが泣いてるみたい……」


  市場を抜けると、

  橋の欄干に寄り添うように

  小さな祠があった。


  霧が祠の周りだけ濃く、

  うっかりすると見落としそうなくらいだ


  まるで祠が霧を吸い寄せているようだった。


  「これは?」


  「霧の祠だ。

   橋精を祀る場所だよ。

   むかしは、みんな、ここで祈ってたもんだ」



  「今は……?」


  ベルモンドは顔をしかめた

  「さあな、少なくとも

    拝んでる姿は見えねえな」


  アララは祠に近づき

  そっと手を伸ばした。


  「……ここ……

   なにかあった場所……

   でも……今は……

   なにも……聞こえない……」


  アララの瞳が滲んで揺れた。


  「俺の村じゃあ、こんなことはねえんだが」


  忌々しそうにベルモンドは言った


  「……行くぞ。

   セイラン侯が待ってる」


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