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第二章 橋城(きょうじょう)での邂逅と…… 第一話 橋城(きょうじょう)

「ずっとついて行きます。師匠!」

  「うおーっ なんじゃこりゃー」


  ショウの驚愕の叫び声がこだまする


  アララはびっくりして、ショウの肩で、ぴょこんとはねた。


  ショウの横では、ベルモンドがにやにやしている。


  「まったく、おもしれえぐらい、思ったとおりの反応をしてくれる。」


  満足げにショウの反応を見ていたベルモンドだが、


  ショウが急に自分の方へ向いて


  「師匠ーっ!」


  「な、なんだ、こいつ。こ、こら、だきつくな。

   やめろ、きもちわりぃ!」


  「ずっとついて行きます。師匠!」


  なおも抱きつこうとするショウの頭を、


  げんこつで殴っておとなしくさせると


  ふうーっと息をついた


  「おい、いったいどうゆうつもりだ?」


  「こんな、すごい橋、いや、橋なのか?

   とにかく、こんな、俺の世界でも架けられないものを

   作れるなんて、師匠は神様だ!」


  「そうゆことか。ばかやろう、あんなものが俺に作れるかよ」


  「えっ」


  「あれは、古代の遺跡だ。

   古代の橋と同じで、古代の人間が作ったもんだ。」


  「は~あっ!」


  「早とちりしやがって」


  ショウは呆然として立ち尽くす。


  それは、今のベルモンドの話に対してではない。


  ショウの目に前にある、その建造物に圧倒されたためだ。


  そこには

  橋という言葉では到底収まりきらない

  巨大建造物があった。


  霧の大河をまたぐように、

  まるで大地そのものがせり上がったかのような石の塊。

  幅は城壁のように広く、

  長さは霧の向こうへ消えて見えない。


  その上に――

   街があった。


  そして中央には

  霧を背負うようにそびえる城。


  これらが

  一本の“橋”の上に築かれている。


  「……これ……本当に……橋なのか……?」


  声が震えていた。

  アララもショウの肩の上で、ぽかんと口を開けている。


  「……でかい……

   橋の上に……街がある……

   こんなの……見たことない……」



  「当たりめえだ。

   こんなもん、今の人間に作れるわけねえ」


  ベルモンドは腕を組み、

  ショウの反応を楽しむように鼻を鳴らした。


  「橋城きょうじょうって呼ばれてる。

   古代の連中が作った、橋の上の城だ。

   中央大陸には四つある。

   ここはそのひとつ、“セイラン橋城”だ」


  ショウは言葉を失ったまま、

  ただその巨大さを目で追い続けた。


  橋脚は、まるで山のように太く、

  川の流れを受けても微動だにしない。

  石の継ぎ目には古代の紋様が刻まれ、

  霧がその紋様に沿ってゆっくりと流れていく。


  橋の側面には、

  水車や倉庫、霧よけの祠が張り付くように並び、

  橋の下には川面へ降りる階段がいくつも伸びていた。


  「……これ……どうやって……

   どうやって支えてるんだ……?」


  「知らねえよ。

   古代の技術だ。

   俺たちじゃ再現できねえ」


  ショウは橋脚の根元を見つめ、

  その巨大さに思わず息を呑んだ。


  「……これ……

   俺の世界の技術でも……無理だ……

   こんなの……どうやって……」


  「だから言ったろ。

   俺が作ったんじゃねえって」


  ベルモンドは肩をすくめた。


  「だがな――

   この橋は生きてる」


  「生きてる……?」


  「ああ。

   橋精きょうせい橋獣きょうじゅうが宿ってた。

   ……昔は、な」


  その言葉に、アララが小さく震えた。


  「……声が……しない……

   こんなに大きいのに……

   こんなに古いのに……

   ぜんぜん……聞こえない……」


  「アララ……?」


  「ここも、眠っている、と思いたいんだが……」


  ベルモンドの声は、どこか寂しげだった。


  「昔、一緒にここを調べたやつがいた。

   橋精の声が聞こえるって言ってた変わり者だ。

   ……だが、そいつはもういねえ」


  「……その人……」


  「タケルって名前だった。

   おめえと同じように、橋を見る目が異様に鋭かった。

   だが……霧の大河に飲まれちまった」


  ショウは息を呑んだ。

  アララはショウの肩で、ぎゅっと身を縮めた。


  アララ

  「……こわい……

   でも……

   橋……助けたい……

   声……取り戻したい……」


  「アララ……」


  「……まあ、心配すんな。

   橋精も橋獣も、完全に消えたわけじゃねえ。

   どっかでまだ息してる。

   この橋も……きっとな」


  ショウは橋城を見上げた。


  霧の中にそびえる巨大な橋の城。

  その奥に眠る何かが、

  静かに息を潜めているように感じた。


  「……行こう。

   この橋のこと……もっと知りたい」


  ベルモンドが大仰なしぐさをで言った


  「おう。

   橋城へようこそ、若造」


  霧の風が吹き抜け、

  三人の旅は新たな段階へと進んでいった。

橋の一言

「橋は、ただ渡るためだけにあるんじゃない。」

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