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第二章 橋城(きょうじょう)での邂逅と…… 第九話 修復への苦闘

理論的には、可能だ!

その時――。

ガランの体が大きく痙攣した


「……ガ……ァ……ッ……!」


巨体が軋み、杭が悲鳴を上げる

導管が一斉に脈動し、

ガランの体からさらに霊力を吸い上げようとした


アララが叫ぶ。


「やめて……! ガランをこれ以上、苦しめないで……!」


アララの光が強く瞬き、

導管の一部が焼き切れた。


だが――。


その反動で、ガランの体が大きく沈み込む。


「アララ! 無理するな!」


「でも……止めないと……ガランが……!」


アララの光は揺れ、

彼女自身の輪郭が薄くなっていく。


ショウは叫んだ。


「アララ! 守る光に集中しろ!

 攻撃じゃない……ガランの痛みを和らげる光だ!」


アララははっと目を見開き、

胸の前で両手を重ねた。


「……うん……!

ガラン……少しだけ……楽になって……!」


アララの光が柔らかく変質し、

ガランの体を包み込む。


苦痛の唸りが、わずかに弱まった。


解析スキャン開始!」

 ショウの瞳には、もう迷いはない

  

仲間に守られた背中で、

彼はタケルが遺した「最後のパズル」に指をかけた


仲間たちが稼いでくれた、僅かな時間

ショウは震える呼吸を整え、

距離計の赤いレーザーを壁の数式へと叩き込んだ


ショウの瞳には、ゴーレムは映っていない

ただ、タケルが命を懸けて守り抜いた「数式の続き」が、

光り輝く道筋となって見えていた


「理論的には、可能だ!

 いや、俺たちの技術なら、これ以上は壊させない!!」


地獄の底で、

現代の技術士、

伝説の職人、

そして精霊の末裔による、

世界を繋ぎ止めるための

「逆転のオペレーション」


(……スキャン完了

視界のグリッドがタケルさんの遺した血文字と同期する

予想通りだ。この杭はただ霊力を吸っているんじゃない

 

  

自分たちを『仮の支柱』に書き換えてやがる

一本でも抜く順番を間違えれば、

バランスが崩れ

ガランの脊椎ごとこの橋は自重で砕ける


杭を抜く瞬間、橋全体に衝撃が走る。

その揺れを“打ち消す力”が必要だ。


タケルさんの数式に足りなかった最後の変数……

それが、アララの力(加振かしんデータ)だ!)


「アララ! 俺の距離計から送る信号に合わせて、

 北側から光を弾け!

 衝撃を『いなす』んだ!」


「分かった、やってみる! 」


ショウの背後で、凄まじい火花が散った

黒い導管を纏った自動人形が、

岩の棍棒を振り下ろす


ベルモンドはそれを、

愛用の大槌の柄で真っ向から受け止めた。


「ぐっ……おおおおお!」

  

鋼と石がぶつかり合い、

橋柱の空洞に鼓膜を裂くような衝撃音が反響する。


ベルモンドの視界には、

依然として妖精も守護獣も見えていない


だが、ショウが必死に叫び、

虚空に向かって指示を出すその先に、

「守るべき何か」があることだけは、理解していた。


(あの日、俺は何もできずに立ち尽くした

 何が起きているかも分からず、

 ただタケルの背中を見ていただけだった


 だが今は違う

 こいつが、あいつの続きをやってのけようとしてる

 

 なら、俺の仕事は一つだけだ

 こいつの背中に指一本触れさせねえ!)


「野郎……どこを向いてやがる!

 貴様の相手は、このおれだ!!」

 

ベルモンドは一歩も引かず、

自動人形の巨体を力任せに押し返した


計算シミュレート終了……!

 ガランの心音と、

 橋の固有振動数が重なる一瞬

 そこが、唯一のデッドポイント

 杭を抜くための『隙』ができる

 

 行ける。いや、行かせる!

 タケルさん、あんたが命懸けで『現場』を守った意味を

 こんなことをした奴らに思い知らせてやる!)

  

「アララ、一瞬でいい、ゴーレムの動きを止めてくれ!」


「わかった」


ベルモンドの前のゴーレムが、アララの光の渦に動きを止める


「ベルモンド、今だ!

 右から二番目、杭の基部に全体重を乗せろ!

 破壊バラすんじゃない、

 その槌で『魂』を叩き起こしてくれ!!」


ベルモンドはショウの指示を疑わなかった

自身の全力と技術を槌の頭に集中させる


「――ぶっ叩け、相棒ツチ!!」


ガァァァァァァァァン!!


その一撃は、ガランに突き刺さっていた黒鉄の杭を正確に捉えた


黒鉄の杭が、悲鳴を上げて砕けた。


同時に――

橋全体が大きく揺れた。


「アララ!! 制振光を最大に!!」


「うんっ!!」


アララの光が爆ぜ、

揺れを吸収するように空間を包み込む。


ガランの体を縛っていた鎖が次々と外れ、

黒い管が悲鳴を上げて弾け飛んだ。


ガランの巨体が、ゆっくりと持ち上がる。


「……ガ……ァ……」


その声は、苦痛ではなく――

解放の声だった。

第一歩は成功だ、だが――

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