第十五話 決戦
第十五話 『決戦』
その日は、なぜだか早起きできた。夜更かしして散歩していたのに。とても楽しみで、それでいて緊張していたのに。
健康的な朝日で目が覚めた。誰よりも早く起きたような気分だったが、それがみんなの普通だったようで、もうすでに朝食は並んでいた。
「今日は早いな」
「そりゃあ、一世一代の大仕事ですから、寝坊はできません!」
覚悟の決まった様子のマヒロにも、胸を張って返事ができた。
みんなが朝食を終え、それぞれの準備に向かう中、私は町の大通りに来ていた。『緑亭山田』ののれんをくぐると、前に見かけた子供が店内の掃き掃除をしていた。
「あの、山田さんは起きてらっしゃいますか?」
「あ、ユリシアさん。はい、奥様はもう朝の支度を終えられて、お二階におられます。」
「ありがとう、ございます!」
返事を聞いて、急いで階段を上がった。そして、障子の前で息を整え、ゆっくりと開いた。
「失礼します!」
「あら、えらいどたばたうるさい思うたら、なんやこの前の嬢ちゃんやないの。そんなに息切らしはってどないしたん?」
山田さんは静かに私の方を見てそう聞いた。
「あの、私見つけました! 私の目標、私の戦う理由! それは――」
「ユリシアはん」
言葉の続きをさえぎるように彼女は言った。
「見つけたんやったら、無くさへんように心にしまっとき。あんはんの悩みとか、正直ウチには分からへんけど、前よりはマシな顔したはるんとちゃう?」
「はい!」
元気よく返して、私は集合場所に向かった。
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スカイウガツビルの正面に大きな更地が広がっていた。来る決戦に備え、近隣の住民は避難し、拡張された居住スペースが、戦闘用に拓かれている。
広いスペースに、正義陣営の最後の精鋭二名が面する。そして、彼らの眼前、黒い汚れが地面をうごめき、沸騰しているかのように泡を立てるその中から、悪陣営の刺客五名、そして悪に堕ちた女騎士が一名。
「ようやくお出ましか、悪の徒よ」
「くっくっく。貴様らも、最後の日を長く味わえたことだろう。我が尊大な心に感謝するといい」
マヒロ、ユリシア、三体の怪人の後ろで、一回り大きい悪の総統が笑った。
「悪いが、そうはならない! この世界は、明日もその先もずっと続いていく!」
ハーヴィンの言葉に、様子が中継された街のあちこちで黄色い声援が上がる。
「この世界は終わらんさ、ワタシがいる限りな!」
「くっくっく。強がりもそれで最後だ……やってしまえ、お前たち!」
総統が命令し、影へと消える。そして、正義と悪の最終決戦が始まった。




