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水の記憶50


今年、通常版、水の記憶ラスト投稿になります。


くぎりの50話。


全体的にラストに近づいてきたので。さらにサラシアナの成長とファンがサラシアナを口説くまでを丁寧に書いていきたいと思います


ここまでたどりつくのに一年の休憩中をはさんでR 18板の水の記憶を書くことでようやく本編のラストがみえてきました。


2022年もよろしくお願いします。





ゾドの少女、ルルは8歳の少し痩せたどこにでもいる村の少女だ。


ルルが住んでいる国は水の女神様の加護があり、辺境の荒れ地でも開拓すれば、作物はそだつ。


水は生命の源で、ルルの住む村、ゾドも平和な村だった。


あの日、オークが村を襲うまでは。


いつも通りぐっすり眠っていたルルが、いつも優しい母に乱暴にすごい力で起こされて、家の外にでた時、


あたり一面火の海だった。


「あぶない!外にでるな!」


父の声に母が叫ぶ。


「むりよ!火の回りがはやすぎて家にいるいたら焼け死んでしまうわ!消化は?」


「井戸に毒を入れられて.どうしょうもないんだ!とにかく女たちはー!」


「あなたっ!」


不意に篝火の火がきえた。


「えっ?お母さん?」


「ルル!」


優しい母の腕の中に強く抱きしめられた時、顔布を強引に押しつけられた。


「ごめんね」


即効性の睡眠薬を吸い込んで混濁したルルの耳に泣きそうな優しい声が聞こえた気がした。


それからあとのルルの記憶は曖昧だ。


狭い馬車の檻のような客車に何人も村の女性たちが押し込められた。


ルルは周囲を村の女性たちに守られるようにかこまれて、客車の真ん中で母に抱きしめられていた。


ゴトゴト、ガタゴト。


整地のされていない荒れた道を馬車はすすんでいた。


途中、何かの諍いがあって、村の女性たちの間から啜り泣く声や叫び声がきこえた気もする。


ルルの耳はつよく母によっておさえられていたし、なにより大人用の睡眠薬はルルの思考を麻痺させていた。


本当の意味で目覚めた時には、母やほかの村人たちとも引き離されて、ルルはひとりぼっちで小さな小屋に閉じ込められていた。


声が枯れるくらい泣き叫んで、母に助けをもとめた。


でも、優しい母の返事はなく、気が狂ったように泣き叫ぶ若い女性のこえだけが暗闇に響いている。


村人の声ならルルは全員わかる。それくらい小さなゾド村だ。


なのに、ルルには叫び声の主が誰かわからなかった。


泣き叫んでいるのは、ひとりじゃない気もする。


目が慣れてくるとかすかに星あかりが天窓からはいっくるが、室内にはなにもなく、当然だが扉には鍵もかかっていた。


泣き叫びつかれて座り込んだ冷たい床の上。


膝の間に顔をうめて、それでも嗚咽が止まらない。


それに、寝ていた時に焼け出された少女の衣類は薄着で、肌寒い。


「さむいよ」


ポツリとつぶやいたとき、ふわりと温かな光がルルの身体を包みこんだ。


「だぁれ?」


パチパチと薄茶色の瞳を瞬かせて、じーっとくらやに目を凝らすと、


ほのかに金色に人影が浮かび上がる。


驚くほどきれいなひとだった。


金色の空気とは違う清流のようなプラチナブロンドにアクアマリンの可憐な瞳。


この国のものなら誰もが、辺境の幼子ですら知っているー。


「私がみえてるの?私の名前はサラシアナ。シャンフィールの第五王女であなたを助けにきたの」


少し驚いた顔をしたあと、ルルの目線にあわせてしゃがみこんだ王女はやさしく微笑んだ。



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