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水の記憶45


その幼子の声はファンとレディ・ミアの間にあった冷たい空気を一転させた。


反射的にカインをはじめ騎士たちの中でも年齢が若い者が剣を抜いてしまったのだ。


ファンもアーゼルもとめる隙もなかった。


「チッ!」


ファンが舌打ちと同時にレディ・ミアの前から飛び退くと、サラシアナを抱きしめる。


そして、ざわりとなにかが空気を揺るがす。


ゾクリと剣を抜いたカインの背筋がこおる。


本能がつげた。


自分は決して犯してはならない過ちを犯したのだと。


レディ・ミアは無言でカインたち剣を抜いた者たちを観た。


そう観ている。


マントから人間なら白眼が金色で真っ黒な瞳が無機質に、カインをみた。


ー魚の目玉だ。


そしてにいっと大きく開く裂けた口。


「狭間の民に剣を抜いたな?」


ギィ〜っときしむような低い声。


「災禍を招くことは許されない」


そう告げた瞬間にカインの周りが霧のような赤紫に包まれる。


「グボっ!」


まるで水に落とされたように息ができない。


「サラッ!カインたちに水の防壁を!はやく!」


遠のく意識の隅でファンの叫び声が聞こえたきがした。





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