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北方海の守護天使  作者: h.hiro
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幕間「同期生達」

「皆さんお疲れ様でした。」

シーサーペントの掃討依頼を終え帰港したまほろば乗員達を前に恵理香はそう言って見渡す。

「「「お疲れ様です。」」」

乗員達が元気に答える。

「では皆さん、無事に帰れたのにこの後事故に会いました、と言うのは止めて下さいね。」

冗談まじりの恵理香の言葉に乗員達は笑う。

「「「はい注意します艦長。」」」

恵理香は頷くと傍らの副長を見る。

「それでは解散して下さい。」

副長の言葉に乗員達が帰って行く。

「それでは副長、また明後日にお願いしますね。」

「はい分かりました、では失礼します。」

帰って行く副長を見ながら恵理香は安堵の溜息を付く、何にしろ無事帰港出来てと。

「恵理香、お疲れ様。」

「お疲れ恵理香。」

そんな恵理香に言葉を掛けてくるロベリヤと優香。

「はいお疲れさまでした、ロベリヤ、優香。」

恵理香が答え皆で笑いあう。

「それにしても先に帰っていても良かったんですよ2人とも。」

乗員でないロベリヤと優香は最後まで付き合う必要は無かったのだが。

「いいじゃないか恵理香、私が待っていたかっただけだから。」

「そうよ恵理香、自分の意思だから。」

ロベリヤと優香にそこまで言われたら文句は言えない恵理香だった。

「取り合えずこの後・・・」

「エリちゃん!!」

突然呼びかけられ恵理香達が振向くと、こちらに向かって走ってくる女性がいた。

恵理香をエリちゃんと呼ぶのは彼女が覚えている限り1人しかいなかった。

「・・・まさか?」

そして恵理香は気が付く、駆け寄ってくる女性の後ろからやはりもう1人、付いて来ると言うより追い掛けている女性が居る事に。

「知り合いかい恵理香?」

ロベリヤが聞いて来るが恵理香はその2人が誰か気づいた驚きのあまり答えられなかった。

何故なら恵理香の記憶に間違いないなら中央海ギルドのハンター養成学校時代の同期だったからだ。

恵理香は艦長としての技能を中央海のハンター養成学校で学んだのだ、もちろんこちらの世界に転生した後付けの記憶だが。

そんな状態に動けずいた恵理香に走り寄って来た女性が抱き付いてくる。

「!?」

「エリちゃんお久しぶり!元気だった?」

だが恵理香はそれに答える余裕など無かった、この身体になってから女性から抱き付かれる事が多くなったとはいえ、完全な不意打ちにはまだ駄目だったからだ。

「はあ、はあ、大谷艦長落ち着いて下さい、牧瀬さんが困っているじゃないですか。」

追い付いて来たもう1人の女性が息を切らせながらも恵理香に抱き着いた女性を止めようとする。

「だって再び会えて嬉しくて・・・イーリスちゃんもでしょ?」

「そ、それはそうですが、じゃなくて副長と呼んで下さいと何度も。」

硬直した恵理香を抱きしめる女性と彼女を追いかけてきたらしい女性、そんな彼女達のずれたやり取りに優香とロベリヤは茫然としてしまう。

そんな2人のやり取りは我に帰ったロベリヤが声を掛けるまで続いた。

「大谷 マドカさんとイーリス・エーデンさん、私が中央海ギルドの養成学校に居た時の同期です。」

何とかマドカに落ち着いてもらい、恵理香はロベリヤと優香にマドカとイーリスを紹介する。

「こちらはロベリヤ・レインバークと優香・パーク、私の友人であり商会の協力者です。」

そしてマドカ達にロベリヤ達を紹介する。

「へえ・・・そうなんだ、仲が良いんだね恵理香。」

「ホントだね。」

何だか表情は笑っているのに目が恐いロベリヤと優香を見て恵理香は胃が痛くなりそうだった。

「うんそうなの、だからよろしくねロベリヤちゃん、優香ちゃん。」

「まったく・・・まあそういう訳だからよろしくレインバークさん、パークさん。」

そんなロベリヤ達に気付いていないマドカ達に内心安堵しつつ、後が恐いなと鬱になる恵理香。

「そんな訳でロベリヤ、優香、2人とも先に帰って貰えますか、彼女達に確認したい事もあるので。」

別に除け者にするつもりは無いのだけど、状況を確認する為ここはロベリヤと優香には先に戻って貰おう恵理香は考えた。

「分かったよ恵理香。」

「うん恵理香。」

そう言ってロベリヤと優香は離れて行ったのだが2人は途中で振向き・・・

「後でゆっくり話をしよう恵理香。」

「待ってるから。」

このまま逃げ出したい気分になった恵理香を誰も攻められないだろう。

「それにしても2人共何でこちらに?」

ロベリヤと優香を先に返した後、恵理香はマドカとイーリスと共に近くの喫茶店に入って話すことになった。

恵理香としては何故マドカとイーリスが北方海に居るのか分からず質問した、何しろ彼女達は中央海で働いる筈だと思ったからだ。

「それはね、中央海から北方海へ行く船団の護衛役として来たんだ。」

「私達は船団護衛を担当する宗武商会に所属するゆきしおのクルーなんだ。」

定期的に中央海や北方海、南方海の間を船団が行き来している、どうやらマドカとイーリスは中央海から北方海へ来た船団の護衛役ということらしい。

「ちなみにあの時の練習艦のメンバーの大半がゆきしおのクルーになっているよ。」

嬉しそうに話すマドカと、苦笑するイーリス。

「これでエリちゃんが居てくれれば練習艦時代の再現になったんけどな。」

養成学校卒業後、恵理香以外は地元の宗武商会に就職したと記憶している。

「そうもいかないでしょう、牧瀬さんは卒業後は実家の艦に乗らなければならなかったんですから。」

まあ恵理香は卒業後北方海の牧瀬商会に戻らなければならなかったので、1人だけ別の進路になってしまったのだ。

卒業式後のパーティでマドカとイーリスを始め、同期の皆が別れを悲しがってくれたものだ、これも後付けの記憶だが。

そう思うと養成学校時代を懐かしそうに話す彼女達に恵理香は何だか申し訳ない気持ちになってしまうのだが。

「すいません大谷さん、あの時は出来るだけ早く商会に戻らないといけなかったものですから。」

商会の経営を軌道に乗せる為に直ぐに戻ってまほろばの艦長に就く必要があったのだ・・・万理華が早く帰ってこいと煩かったのもあったが。

「・・・・・」

「大谷艦長?」

じっと見つめてくるマドカに恵理香は戸惑って呼びかける。

「もうエリちゃん、大谷艦長なんて他人行儀だよ、マドカで良いってば。」

そういえば養成学校時代もマドカにそう呼べと言われていたなと恵理香は思い出す。

「いえ、いくら同期とはいえ今はお互い立場も有りますし。」

「そうですよ艦長、練習艦に乗って時と、いやあの時もでしたが、そこはきちんとしないと。」

恵理香の言葉にイーリスも同調してマドカに言ってくる。

「2人共そこは変わらないなあ。」

「艦長が変わらな過ぎなんです。」

練習艦乗艦時もこんなやり取りがあったなあと恵理香は苦笑する。

「そうそうエリちゃんは北方海の守護天使と呼ばれているだよね・・・すごいなぁ。」

「中央海でも有名ですよ。」

マドカとイーリスが感心した様に言ってくる

「その二つ名中央海でも知られているんですね・・・」

レイに聞いていたが一体何処まで広まっているのかと考え鬱になる恵理香だった。

「私もエリちゃんに負けていられないね。」

目を輝かせるマドカにイーリスが、苦い表情を浮かべて言ってくる。

「その前に艦長は落ち着く、という事を覚えて下さい、今回の護衛任務だって・・・・」

相変わらずイーリスはマドカに振り回されているらしいと恵理香は内心同情してしまう。

そして目の前で繰り広げられるやり取りを見ながら恵理香は笑みが零れてしまう。

「・・・まったく牧瀬さんに笑われていますよ艦長。」

イーリスが恥かしそうにマドカに言う。

「あ、すいません、でも呆れた訳では無く、養成学校時代を思い出して。」

「そうだね・・・あの時も色々有ったもんね。」

恵理香の言葉にマドカは養成学校時代の出来事を思い出し感慨深そうに返す。

「そうですね、まあ私は艦長に振り回されていた記憶しかありませんが。」

マドカと違いイーリスはそっちの方で感慨深ったらしい。

確かに振り回された記憶が強く残ってはいるが、一方で充実した学校時代だったと恵理香は思ている。

その後、お互いの卒業後の話をして旧交温め恵理香達は名残惜しいかったがそこで別れた。

ゆきしおは暫らく港に投錨するので、後日恵理香が尋ねると約束して。

その時は記憶に残っている同期の娘達との再会出来る事が楽しみな恵理香だった。

なお2人と別れ商会に戻った恵理香を優香とロベリヤそして万理華が尋問の準備をして待っていた。

恵理香が養成学校時代の事を一つ残らず話させられたのは言うまでもなかった。

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