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地獄の底まで堕ちてくれ~神子召喚に巻き込まれた闇堕ち悪役令息は復讐する~  作者: 緒沢 利乃
神子召喚と異世界転生

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お約束のドアマットヒーロー?

僕を苦しめて、僕から家族や憧れの人を奪った従弟の璃湖は、召喚された異世界でも自分が欲しいままに奪い、善良な人たちを貶めた。

でも、いつまでもそんな我儘が通用するはずがなかった。


「こうしゃくけのぎゃくしゅう?」


王太子が璃湖に騙されて篭絡されている間、厳しい王太子妃教育を続けながらも婚約者の公爵家令嬢は、神子たちの行動を監視し、周りの側近たちだけでなく見栄えのよい男たちといかがわしい関係になっていた証拠を掴んだ。

攻略対象者もとい王太子の側近たちの婚約者も協力し、誤魔化せないほどの証拠と証人を携えて、王太子からの冤罪を回避し相手有責の婚約破棄を申し出て、見事返り討ちにしてやった。


国王陛下たち重鎮の了承を得ないで行った暴挙は問題視され、王太子は王位継承権を剥奪され、当然王太子も廃太子。璃湖との婚約は認められたが王城の外れの敷地に建てられた小さな宮でほぼ幽閉、結婚は二〇年経った今でもなされていない。


婚約者だった公爵家のご令嬢は高笑いしつつ、王族の一人に嫁いだ。側近たちの婚約者たちも婚約破棄又は解消し、公爵家の紹介で問題なく嫁がれたそうだ。


反対に側近たちは……宰相の息子は廃嫡され領地の代官の助手として働き、騎士団長の息子は騎士試験を受けることも許されず辺境の軍へ送られた。


「おうたいしはゆーへー。さいしょうのむすこはへいみんでりょうちおくり。きしだんちょーのむすこはへきちでじゅうぐん」


僕は指折り数えて確認し、ぴこぴこと残った三本の指をアメデオの顔に翳してみせた。


「ああ……神子と元王太子が幽閉されている宮には、神子が寂しくないようにと異世界から共に召喚された賢者殿と聖騎士殿がおります。あと……アルベルティ公爵様は御覧になられたとおりで」


ん? なんかアルベルティ公爵のところでアメデオの舌が鈍くなったぞ? 


つまり、璃湖はこっちの世界でもイケメンを侍らかせて逆ハーを狙っていたが失敗し、いまは王城の敷地の端っこにある小さな宮で幽閉されていると。璃湖一人だと問題を起こすかもしれないから、生贄として王子を差し出し、兄と玲央さんと璃湖の四人で暮らしていると……。


そして、残ったアルベルティ公爵は御咎めなしで公爵位を継ぎ、あの悪趣味な女と子どもに囲われてウハウハだと?


「かわいい顔をそんなに顰めてはダメですよ? もう、アメデオが中途半端に話を止めるから」


「ああ、すまないソニア。えっとですねぇ……アルベルティ公爵の婚約は不貞を理由に破棄できない事情があったんです。公爵様以外に後を継げる子どももおらず、仕方なしに婚約者の方とそのままご結婚。公爵位を継いだけれども王家や他の高位貴族からの信頼もなく、大人しく領地経営に精を出す……こともなく……」


んん? あの公爵様は仕事も満足にできないのか?


「公爵家ともなれば、ある程度は王城内を闊歩できますからね。神子のいる宮へ通い詰めたらしいですよ」


「……バカなの?」































そのあと、アメデオからアルベルティ公爵と結婚しなきゃいけなかった婚約者、悲劇の公爵夫人が一人の子どもを産んだあと体調を崩し、数年前にお亡くなりなったことを聞いた。あの派手なおばさんは後妻で、あの生意気な少年は連れ子だ。


では、アルベルティ公爵の嫡男であり、前妻との間にできた子どもは……どうやら僕が見つけたあの物陰から僕らを盗み見ていた子らしい。


「……よし、ぼくたちはむかんけーで!」


子爵家の跡継ぎ問題で命の危機がある僕が、公爵家のことなんて首を突っ込んでいられない。

しかも、あの璃湖が絡んでいるなら、なおさらである。


数日は荷物を整理したり、暮らしのリズムを整えたりとバタバタしていたが、ようやく落ち着いてきた暖かな昼下がり。

離れの屋敷専用の庭に置かれたテーブルセットで。まったりと果実水を飲んでいる僕。


「……ルカ坊ちゃま?」


あー、うまい。ちょっと酸味のある果実水はスッキリしていて、今日みたいな暖かい午後には最高!


「ルカ坊ちゃま、無視するのも限界かと?」


うるさい、アメデオ! 僕はいま現実逃避をしているのだ。もう、璃湖になんて関わりたくない。幸いにして僕は六歳だし、転生したから髪の色や瞳の色、顔立ちも違う。璃湖はともかく、兄の凱に会ったとしても気づかれる心配はない。


だけど、なるべく近づきたくないの! 璃湖に騙されたアルベルティ公爵本人とその関係者とは特に!


木の影に隠れながらこちらをずっと見つめていた少年は、僕が果実水を飲み終わり屋敷へと帰るころには姿が見えなくなっていた。


「ふうっ」


まだ六歳なのに、疲れた大人のようなため息を吐いてしまった。


アルベルティ公爵と前妻の間に生まれた嫡子 ジョスト・アルナルディ 十二歳。いつも一人でぽつんと寂しげに立ち尽くしている。


「……ひとりぼっち?」


あれ? ジュストって公爵家の嫡男だよね? 後継ぎだよね? なのに、いつも一人ぼっち?


「あー、えー、ジュスト様はですねぇ、アルベルティ公爵様が無関心でして、そのぅ、後妻様とも……。なので、ほぼ放置されています」


なんだって!


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