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キメラ  作者: 甲羅に籠る亀


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9/12

9話

 防衛都市ハルマーンへと向かう前に俺は街の孤児院や他にもお世話になった人たちに挨拶回りをした翌日にハルマーンへと向かっていた。


 「街を離れるなんてまだ先だと思っていたんだけど、スキルのお陰だな。」


 本当は1年くらい時間を掛けて準備をしてから防衛都市ハルマーンへと向かう予定だった。


 それでもここまで強くなれたのはスキルのお陰だろう。


 【捕食変異】、【無手剛体】、【栄養貯蓄】の3つのスキル。


 どのスキルも無くてはならないスキルだ。


 【捕食変異】はモンスターへと肉体を変異させられるスキルだが、このスキルのお陰でモンスターの力を取り込んで強くなった。


 【無手剛体】で武器を持たずとも肉体の性能だけでモンスターと戦える様になり。


 【栄養貯蓄】で上記2つのスキルや激しい運動で消費するエネルギーを蓄えられているからこそ冒険者として活動出来ている。


 「なんだ?」


 今はスライムとラビットの混合変異を行なって、思考の代わりになるスライム核を変異で肉体に付けながら、ラビットの聴覚強化で周りを警戒しながらハルマーンへと続く街道を歩いていた。


 スライムやラビットや大鼠が生息している草原を抜けて森に入ろうとしたところで強化された聴覚がモンスターの動きや息遣いを聞き取った。


 「これは街道を通る人を狙っているみたいだね。」


 ハルマーンへと向かうからと情報収集をした時に聞いたことがある。


 ハルマーンへと続く森には狼系モンスターや熊系モンスターが街道を通る人を待ち伏せしている時があると言う話を。


 「聞こえる息遣いは複数ある。それなら狼系モンスターのウルフだろうな。たぶん。」


 この森には狼系モンスターは大体がウルフと言うモンスターだが、時折り魔境から外に出た狼系モンスターがこの森まで来て棲み着いていることもあるそうだから警戒しないと駄目だ。


 特に魔境で生息しているモンスターなんてここら辺に現れるモンスターの数倍は強いなんてことはざらにあるらしいし。


 「奇襲を警戒しながら進むとしよう。」


 いつでもスライム、大鼠、ラビットの三重変異を行なえる様にしながらも森の街道を進み始める。


 ここまで鍛えたことで三重変異を2分は出来る様になった。


 この2分で今も街道を進んでいる俺を森の茂みに隠れて追って来ている狼系モンスターの群れを倒せる自信はある。


 さあ、いつでも来い!


 そんな心持ちで森の街道を進んでいると俺を囲む様な包囲網が完成し始めた。


 これはもうそろそろ来るな。


 俺はそう感じ取るとすぐに瞬時に三重変異を行なえる様にしながら歩いて行く。


 「来た!」


 俺を囲む包囲網が完成したからだろう。一斉に狼系モンスターの群れが茂みから出て襲い掛かってきた。


 周囲から襲う狼系モンスターの群れは少し大きさに違いがあるが見た目は似た様なものだ。


 資料の絵や情報で見たことのあるモンスターだ。あれはウルフで確定だろう。


 俺は三重変異を発動すると、正面から襲って来ているウルフへと一気に接近して首に手刀を全力で叩き込む。


 首に与えた手刀の一撃でウルフの首の骨がへし折れる感覚と音が聞こえる中で次のウルフへと蹴りで蹴り飛ばす。


 蹴りを喰らわせたウルフは木に叩き付けられて「ギャン!」と鳴いて地面に落下。


 まだまだウルフはいる。


 背後からの接近を強化された聴覚で聞き取った俺は振り向きざまに拳をウルフの頭頂部に振り下ろす。


 ウルフの頭蓋骨が砕ける感覚と共にウルフは地面に顎から叩き付けられた。


 体勢が若干低くなった俺を左右から2匹のウルフが飛び掛かって襲ってきた。


 俺は更にしゃがみ込んで体勢を低くしながら足をラビットの足へと変異。


 そして頭上をウルフ2匹が通り過ぎようとした瞬間に両足で全力のジャンプをしながら両拳でそれぞれのウルフの腹部を思い切りジャンピングパンチ。


 ウルフ2匹は悲鳴を上げながら吹き飛ばされて地面に叩き付けられながら転がっていくのが空中から見えた。


 それからも俺は襲って来るウルフの群れを次々に圧倒的な身体能力と学んだ格闘術を活かしてようやくだいたいのウルフは倒し終わった。


 「ふぅ、倒し終わったけど、逃げられたのが居たな。」


 3匹ほど取り逃がして森の奥へと逃げ去ったウルフはいるが、それでも8匹ものウルフを倒すことには成功した。


 「まだ生きてるのもいるし、トドメを刺しちゃうかな。」


 戦闘出来ないほどのダメージを受けて逃げることも出来ない状態のウルフたちにトドメを刺して回るとようやく戦闘は終了した。


 そしてここからがお楽しみタイム。


 倒し終わったウルフを集めてからまず1匹のウルフをスライムの手で捕食していく。


 周りには誰の視界もない中でスライムの手で捕食されていくグロイ状態のウルフの死骸。


 スライムの手で毛皮、皮膚、肉、内臓、骨と溶かされていく。


 そうしてスライムの手でウルフを食べ終わった獲得したウルフの情報。


 ウルフを捕食したことで得られた能力は嗅覚強化、連携強化、咬合力強化の3つとウルフとしての特徴だ。


 「さてと、どうしようかなあ。」


 残りのウルフの死骸を見ながら考える。


 まだハルマーンへと向かう道中の序盤も序盤の森の入り口でウルフの群れを倒したことから、これから先もモンスターとの戦闘は多くあると思っておいた方がいいだろう。


 そうなるとここでウルフを解体して素材を持ち歩くのはやめた方が良いのだろうな。


 お金になるだろう物も含めて魔石以外のウルフの素材は全てスライムの手で捕食してしまう。


 大型犬くらいの大きさのウルフをそれも8匹も捕食して【栄養貯蓄】に栄養やエネルギーが溜まっていくのが感じられる。


 先ほどのウルフの群れとの戦闘で消耗したエネルギーよりも多くのエネルギーが溜まった様だ。


 まだまだ森は長い。


 最低でも1日は森の中で野宿をしないといけないほどには大きい森を進まないといけない。


 ここでエネルギー補給が出来たのは良いことかもしれない。


 もしかしたらここから先に進んで全力で逃走しないといけないくらいのモンスターとだって遭遇するかもしれないのだから。


 ウルフの死骸を片付け終わった俺は森の街道を進みながら、ウルフの鼻に変異して嗅覚強化をより強くした状態で嗅ぎ取っていく。


 森の濃い匂い。生き物の生活臭。先ほどのウルフの血の臭い。


 本当に多くの臭いが感じられる中でまだそこまで近くないがモンスターだろう存在の臭いだって感じられた。

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